業務の中で「同じファイルを別のフォルダにコピーしたい」「Excelデータを自動で複製したい」「SharePointのデータを別の場所に移したい」などの場面は少なくありません。これを手作業で繰り返すと、地味ですが時間がかかります。そんなときに役立つのがPower Automateです。Microsoftが提供するこの自動化ツールを使えば、ファイルやデータのコピー作業を完全自動で実行可能です。本記事では、Power Automateを使った「コピー処理」の具体的なやり方を、初心者にも分かりやすく丁寧に解説していきます。
Power Automateとは?コピー処理との関係
Power Automateは、Microsoftが提供するクラウドベースの自動化サービスです。Excel、SharePoint、OneDrive、Outlookなどと連携して、さまざまなアクションを自動化できます。
その中でも「コピー処理」は基本かつ重要な機能です。具体的には以下のような使い方が可能です:
- OneDriveやSharePoint上のファイルを別フォルダにコピー
- Outlookの添付ファイルを特定のフォルダに保存
- Excelの行を別のシートにコピー
- データベースから取得した情報を別のサービスにコピー
これらの処理を人が手動で行うと時間も手間もかかりますが、Power Automateなら一度作ってしまえばボタン1つ、もしくは完全自動で実行できます。
Power Automateでのファイルコピー基本手順(OneDriveの場合)
Power AutomateでOneDrive内のファイルをコピーする基本的な手順は以下のとおりです。
- Power Automateポータルにログイン
MicrosoftアカウントでPower Automate(https://flow.microsoft.com)にログインします。 - 新しいフローを作成
「自動フロー」を選び、トリガー(例:ファイルが追加されたとき)を選択します。 - トリガーを設定
例:「OneDriveにファイルが作成されたとき」
→ フォルダを選択します。 - アクション「ファイルのコピー」を追加
次に、「OneDrive for Business」コネクタから「ファイルのコピー」を選びます。 - コピー元とコピー先を指定
- コピー元:トリガーで得たファイル
- コピー先:コピー先のパス(例:/バックアップ/)
- フローを保存・テスト
これで、指定のフォルダにファイルが追加されると、自動で別のフォルダにコピーされるフローが完成します。
SharePointでのファイルコピー手順
OneDriveと似た手順で、SharePointライブラリ内のファイルもコピー可能です。
- トリガー:「SharePointでアイテムが作成されたとき」
- アクション:「Get file content using path(パスでファイルの内容を取得)」
- 次に:「Create file(新規作成)」アクションで別のドキュメントライブラリに保存
注意点として、URLの正確な指定とライブラリ名の表記には要注意です。エラーになる場合はファイルパスの取得やアクセス権限に問題がないか確認しましょう。
Excel行の自動コピー(Excel Online使用)
Excelファイルの中のデータを別シートや別ファイルにコピーしたいケースもあります。これには少し工夫が必要です。
- トリガー:手動 or 定期的なトリガー
- アクション:「List rows present in a table」(テーブル形式にしておく必要あり)
- 「Apply to each」で各行をループ処理
- コピー先のExcelファイルの**「Add a row into a table」**を使って追加
ポイントは、コピー元もコピー先も「テーブル形式」であることです。単なる範囲指定では動作しません。
添付ファイルを自動で保存(Outlookとの連携)
メールの添付ファイルをOneDriveやSharePointに自動コピーするケースは実務でよくあります。
- トリガー:「Outlookでメールを受信したとき」
- 条件:「特定の件名・送信者など」にフィルタをかける
- アクション:「添付ファイルを取得」+「OneDriveにファイルを作成」
このフローを使えば、請求書やレポートなどの定期的なファイルを自動で保存できます。人手が不要になるため、大きな業務効率化につながります。
コピー処理時に気をつけたいポイント
Power Automateでコピー処理をする際には、以下の点に注意してください。
- ファイル名の重複回避
→ 日時をファイル名に追加するなどの工夫が必要です。 - 接続権限
→ SharePointやOneDriveにアクセスするには正しいアカウントで接続する必要があります。 - トリガーの頻度と制限
→ 無料プランや環境によってトリガーの回数に制限があるため、業務用なら有料プランが安心です。 - エラー処理の設定
→ Try-Catchのような構文はないため、「条件分岐」や「Scope」を使ってエラー時の通知や停止処理を設けましょう。
コピーを活用した業務改善アイデア
Power Automateのコピー処理を活かすと、次のような改善が可能です。
- 日報ファイルを定期的にバックアップ
- 毎月の帳票データを複製し、指定フォルダに保存
- Googleフォーム → Excelに蓄積 → SharePointにコピー
- アンケート結果を自動で部門別フォルダに分けて保存
こうした仕組みを一度作っておけば、手間をゼロにして、ミスを減らすことができます。
まとめ:コピー処理を自動化して「仕組みで働く」時代へ
Power Automateでのコピー処理は、単純作業を減らす強力な武器です。初めての方でも、一度フローを組んでしまえば誰でも使える再現性の高い仕組みになります。
人がやらなくていい作業は、ツールに任せましょう。コピーというシンプルな作業から始めることで、Power Automateの可能性を実感できるはずです。