Microsoftの業務自動化ツール「Power Automate」は、日々のルーチンワークを効率化するうえで非常に役立ちます。中でも「メールの添付ファイルを自動取得する」機能は、営業報告書や請求書、注文書など、添付ファイルでのやりとりが多い業務において強力な武器になります。この記事では、Power Automateを使ってOutlookメールの添付ファイルを自動で保存する手順を、初心者にもわかりやすく解説します。
Power Automateとは?添付ファイルの取得がなぜ重要か
Power Automateは、Microsoftが提供するクラウドベースの自動化ツールです。メール、ファイル、クラウドサービス、業務アプリなどをつなげ、タスクを自動で処理できます。
特に添付ファイルの自動取得は以下のような場面で効果的です。
- 毎朝送られてくる報告書の保存
- 取引先からの注文書をOneDriveに整理
- 添付ファイルをPDFに変換してSharePointへ転送
人手でやっていた作業を自動化することで、ヒューマンエラーを防ぎ、作業時間を大幅に削減できます。
フローの全体像を理解しよう
まずは、「メールの添付ファイルを自動で取得する」処理の流れを簡単に整理しましょう。
- Outlookの特定フォルダに新しいメールが届いたときにトリガー
- メールに添付ファイルがあるかを確認
- 添付ファイルをOneDriveやSharePointへ保存
この流れをPower Automate上で構築していきます。
トリガーの設定:メール受信時にフローを開始
「Outlookでメールを受信したとき」のトリガーを選択
- Power Automateにログインし、「新しいフロー」を選択
- 自動フローを選択し、任意のフロー名を入力
- トリガーとして「Outlook365」の「メールが届いたとき(V3)」を選びます
ここでは、すべての受信メールを対象にしてもよいですし、特定のフォルダ(例:注文書フォルダ)や件名・差出人で絞り込みも可能です。
条件分岐で添付ファイルの有無を判定
受信メールすべてが添付ファイル付きとは限りません。ここで条件分岐を設定します。
条件の設定例
- 条件式:
@greater(length(triggerOutputs()?['body/Attachments']), 0)
- 意味:添付ファイルが1つ以上ある場合
この条件で分岐し、「はい」の場合のみ添付ファイルを処理するようにしましょう。
添付ファイルを保存するアクションの追加
添付ファイルを保存する先は以下のいずれかが一般的です:
- OneDrive for Business
- SharePoint
- Google Drive(他の連携サービス)
OneDriveに保存する例
- アクションとして「OneDriveにファイルを作成」を選択
- パスに保存先のフォルダを指定(例:/注文書)
- ファイル名は
Attachments Name
動的コンテンツを使用 - ファイルコンテンツには
Attachments Content
を指定
複数の添付ファイルがある場合には「Apply to each(各アイテムに対して)」のループが自動で挿入されます。
保存ファイルにタイムスタンプや件名を含める工夫
保存先のファイル名が重複すると、上書きされてしまうことがあります。それを防ぐために、ファイル名にタイムスタンプを加えるのがおすすめです。
ファイル名にタイムスタンプを付加する式例:
concat(formatDateTime(utcNow(), 'yyyyMMdd_HHmmss'), '_', items('Apply_to_each')?['Name'])
これで「20250527_092301_注文書.pdf」のようなユニークなファイル名が生成されます。
よくあるトラブルと解決法
フローが実行されない
- トリガーの対象フォルダを間違っている可能性あり
- 対象アカウントが正しくログインされているか確認
添付ファイルが保存されない
- 添付ファイルが0件の場合、ループ自体が処理されない
- 保存先パスにアクセス権限がないケースも
応用編:ファイルの種類で振り分ける
PDFとExcelファイルで保存フォルダを変えたいといった場合、以下のような条件分岐が使えます。
endsWith(items('Apply_to_each')?['Name'], '.pdf')
この条件でPDFなら「PDFフォルダ」、Excelなら「Excelフォルダ」に保存することも可能です。
まとめ:添付ファイルの取得を自動化して業務効率アップ
Power Automateを活用すれば、メールの添付ファイルを自動で取得し、保存・整理する作業が自動化できます。これにより、日々の雑務から解放され、本来集中すべき業務に時間を使えるようになります。
業務改善の第一歩として、まずは一つのフローから作ってみましょう。操作に慣れてきたら、ファイルの分類や通知の追加など、さらに応用も効きます。