Excelで大量のデータを扱うと、「不要な列を削除したい」「複数のファイルをまとめたい」「条件に応じて並び替えたい」といった作業が頻繁に発生します。
そんなときに役立つのが Power Queryエディター です。
Power Queryエディターを使えば、手作業で行っていたデータ整理や加工を自動化し、ボタン一つで再利用できる形に変換できます。
本記事では、Power Queryエディターの基本操作から、具体的な使い方、よく使う機能、そして業務で役立つ活用事例まで、初心者にもわかりやすく解説します。
Power Queryエディターとは?基本の概要を理解しよう
Power Queryエディターは、Excelに標準搭載されている データ変換ツール です。
「データの取得と変換」というメニューを開くと利用できます。
このツールの最大の特徴は、データの加工手順を記録して自動化できる 点にあります。
たとえば次のような処理が簡単にできます。
- CSVやExcelファイルを読み込み、不要な列を削除
- 列の並び替えや条件付き抽出
- 複数のシートを一つの表にまとめる
- 日付や数値のフォーマット変換
- 列の分割・結合
- 外部データベース(SQL、SharePointなど)との接続
一度設定すれば、元データが更新されたときに「更新」ボタンを押すだけで、同じ加工を自動的に適用できます。
まさに、Excelでのデータ整理を効率化する最強の自動化機能 です。
Power Queryエディターの起動方法
Power Queryエディターは、Excelの上部リボンから簡単に起動できます。
- データタブをクリック
- 「データの取得」→「ファイルから」→「ブックから(またはCSVから)」を選択
- 読み込みたいファイルを指定
- 「変換データ」をクリック
すると、「Power Queryエディター」が別ウィンドウで開きます。
ここで、データの整形や加工、列操作などを行っていきます。
この画面では、左に「クエリ一覧」、中央に「データプレビュー」、右に「適用したステップ(操作履歴)」が表示されます。
初心者の方は、右側のステップが「自動記録されている」という点を意識するのがポイントです。
Power Queryエディターの画面構成を理解する
Power Queryエディターの画面は、主に以下の4つの領域に分かれています。
- リボンメニュー
データの変換や列の追加、結合などの操作を行うボタンが並んでいます。
特に「変換」タブは最もよく使います。 - クエリ一覧(左側)
現在編集中のデータセット(クエリ)の一覧が表示されます。
複数のデータを扱うときに便利です。 - データプレビュー(中央)
実際に加工しているデータの内容を確認できます。
ここで列を選択したり、右クリックで変換操作を行ったりします。 - 適用したステップ(右側)
行った操作の履歴が自動的に記録されます。
このステップを削除・修正することで、やり直しも簡単に行えます。
この「操作履歴を自動記録する仕組み」が、Power Queryの大きな魅力です。
一度設定すれば、次回から同じ処理をワンクリックで再現できます。
よく使う操作①:不要な列・行の削除
データをきれいに整理するうえで最初に行うのが、「不要な列や行の削除」です。
列を削除する場合
- 不要な列を選択
- 右クリック → 「列の削除」
または「ホーム」タブ → 「列の削除」ボタン
行を削除する場合
「行の削除」メニューから、上位または下位の行を削除したり、条件を指定して削除したりできます。
例:
「売上が0の行を削除」 → フィルター機能を使って条件を設定します。
このように、フィルターを使う感覚で簡単に行削除ができます。
よく使う操作②:列の分割と結合
Power Queryでは、文字列を柔軟に扱うことができます。
列を分割する方法
「変換」タブ → 「列の分割」から、
- 区切り文字で分割(例:カンマ、スペースなど)
- 固定幅で分割
が可能です。
例:「山田 太郎」という列を姓と名に分けたい場合:
→ 「スペース」で分割を選択すると、「山田」「太郎」に自動で分割されます。
列を結合する方法
複数の列を一つにまとめたい場合は、「列の結合」を使用します。
区切り文字(例:カンマ、スペース)を指定できるので、住所や氏名の整形に便利です。
よく使う操作③:複数データの結合(マージ・追加)
Power Queryの強力な機能の一つが、「データの結合」です。
これにより、別ファイルの情報をまとめたり、複数月分の売上データを一括で集約したりできます。
マージ(縦方向の結合)
2つのテーブルをキー列(例:商品ID)で結合する操作です。
「クエリのマージ」を選択し、結合条件を設定するだけでOKです。
追加(横方向の結合)
複数のシートやCSVファイルを一つの表にまとめる場合は、「クエリの追加」を使います。
フォルダ内のファイルを一括で読み込み、連結させることも可能です。
これにより、毎月のCSVデータを「フォルダに保存→更新ボタン」で自動的に統合できるようになります。
よく使う操作④:データ型の変更と日付の整形
Power Queryエディターでは、各列のデータ型を明示的に指定できます。
列見出しの左にある「ABC」や「123」などのアイコンをクリックすると、
「テキスト」「数値」「日付」「日時」などに変更できます。
日付データを「年」「月」「日」に分けたいときは、
「列の追加」→「日付」→「年/月/日」などを選ぶだけでOK。
たとえば「2025/11/02」という日付を「2025」「11」「02」に自動で分解できます。
よく使う操作⑤:ステップの編集と再利用
右側の「適用したステップ」では、各操作が自動的に記録されています。
ステップ名の右にある「×」をクリックすれば削除、
歯車アイコンをクリックすれば再編集が可能です。
たとえば、「列の分割」をやり直したいときは、歯車をクリックして区切り文字を変更するだけ。
また、完成したクエリは別ブックに コピー&ペーストで再利用 できます。
これにより、同じ形式のデータ処理を複数のファイルに展開するのも簡単です。
Power Queryエディターを使うメリット
Power Queryを使うことで、従来の「手作業Excel」とは比べものにならない効率化が可能になります。
主なメリット:
- 毎月のデータ更新が「1クリック」で完了
- 手作業による入力ミスを防止
- 加工手順がステップとして保存され、再現性が高い
- 大量データでも高速に処理できる
- 外部システム(Access、SQL、SharePointなど)とも連携可能
特に「定期レポート」「営業データ集計」「在庫管理」など、繰り返し行う業務に絶大な効果を発揮します。
Power Queryエディター活用の実例
① 毎月の売上レポート作成を自動化
各店舗から送られてくるCSVをフォルダにまとめておくだけで、Power Queryが自動で統合。
売上表やグラフも更新ボタン一つで最新化できます。
② システム出力データの整形
基幹システムから出力したデータを、Excelで見やすい形に自動変換。
不要な列の削除、日付の変換、桁数調整などを一度設定すれば、再利用が可能です。
③ 顧客リストの重複削除
複数部署から集めたリストを結合し、「重複の削除」機能でクリーンなデータベースを作成。
営業管理やメール配信の効率化にも役立ちます。
まとめ
Power Queryエディターは、Excelユーザーが一度は覚えておきたい“最強のデータ整理ツール”です。
マクロやVBAのようなプログラミング知識がなくても、マウス操作だけでデータの取得・整形・結合・自動化が可能になります。
Excelでの作業時間を大幅に短縮し、正確で再現性のあるデータ管理を実現できます。
業務効率化を目指す方は、ぜひ今日からPower Queryエディターを使ってみてください。
一度使えば、その便利さに驚くはずです。
