Excelを使っていると「小数点以下を切り上げたい」「一定の単位で数値を丸めたい」といった場面がよくあります。
そんなときに便利なのが「切り上げ」「切り下げ」「四捨五入」の関数です。Excelには目的に応じてさまざまな丸め関数が用意されており、使い方をしっかり理解すれば業務の効率も大幅にアップします。
この記事では、Excelの代表的な丸め関数である ROUND
、ROUNDUP
、ROUNDDOWN
、CEILING
、FLOOR
の違いや使い方を、具体的な例とともに解説していきます。
ROUND関数|指定桁数で四捨五入する
ROUND
関数は、指定した桁数で数値を四捨五入する関数です。
基本的な書式は以下のとおりです。
=ROUND(数値, 桁数)
- 数値:丸めたい対象の値
- 桁数:丸めたい位置(0なら整数、1なら小数第1位など)
使用例:
=ROUND(123.456, 2) → 結果:123.46
=ROUND(123.456, 0) → 結果:123
=ROUND(123.456, -1) → 結果:120
負の桁数を指定すると、十の位や百の位で丸めることが可能です。
日常業務でよく使われる関数であり、数値の表示を整えるのに便利です。
ROUNDUP関数|常に切り上げる
ROUNDUP
関数は、常に切り上げて指定の桁数に丸める関数です。
書式は以下の通りです。
=ROUNDUP(数値, 桁数)
使用例:
=ROUNDUP(123.451, 2) → 結果:123.46
=ROUNDUP(123.451, 0) → 結果:124
=ROUNDUP(123.451, -1) → 結果:130
桁数を正にすると小数点以下、負にすると整数部の桁を切り上げます。
割引率などで「少し多めに見積もる」場合などに有効です。
ROUNDDOWN関数|常に切り捨てる
ROUNDDOWN
関数は、常に切り捨てて指定の桁数に丸める関数です。
書式は以下の通りです。
=ROUNDDOWN(数値, 桁数)
使用例:
=ROUNDDOWN(123.459, 2) → 結果:123.45
=ROUNDDOWN(123.459, 0) → 結果:123
=ROUNDDOWN(123.459, -1) → 結果:120
ROUNDUP
の逆で、「過少に見積もる」「利益を控えめに計算する」などで使われます。
CEILING関数|指定した倍数の最小の倍数に切り上げる
CEILING
関数は、指定した倍数に切り上げる関数です。
=CEILING(数値, 基準値)
- 基準値に指定した倍数で切り上げを行う
使用例:
=CEILING(123, 10) → 結果:130
=CEILING(12.3, 0.5) → 結果:12.5
100円単位の金額処理や、時間を15分単位で計算したい場合などに重宝します。
FLOOR関数|指定した倍数の最大の倍数に切り下げる
FLOOR
関数は、CEILING
と対になる関数で、指定の倍数に切り下げます。
=FLOOR(数値, 基準値)
使用例:
=FLOOR(123, 10) → 結果:120
=FLOOR(12.3, 0.5) → 結果:12.0
「端数を切り捨ててコストを計算する」などの場面で便利です。
MROUND関数|指定した倍数に最も近い値に丸める
MROUND
関数は、基準値にもっとも近い倍数に四捨五入します。
=MROUND(数値, 基準値)
使用例:
=MROUND(123, 10) → 結果:120
=MROUND(127, 10) → 結果:130
「50円単位で最も近い金額に丸める」など、現場での実用性が高い関数です。
INT関数とTRUNC関数の違いにも注意
INT関数
小数点以下を切り捨てて、整数部分だけを返します(負の数は遠ざかる方向に切り捨て)。
=INT(12.9) → 12
=INT(-12.9) → -13
TRUNC関数
指定した桁数で切り捨てます。負の数も絶対値方向に丸められます。
=TRUNC(-12.9) → -12
特にマイナス値の扱いで違いが出るため注意が必要です。
どの関数を使うべき?選び方のポイント
使用目的 | おすすめ関数 |
---|---|
四捨五入したい | ROUND |
常に切り上げたい | ROUNDUP or CEILING |
常に切り下げたい | ROUNDDOWN or FLOOR |
基準値に一番近い数にしたい | MROUND |
小数点を単純に切り捨てたい | TRUNC |
関数の性質を理解しておけば、間違いなく目的に合った処理ができます。
まとめ|業務に活かせる「丸め処理」
Excelの「切り上げ」「切り下げ」「四捨五入」は、単なる数値処理ではなく、
請求書の金額調整、見積もりの精度管理、統計分析など、多くの業務に密接に関わる機能です。
それぞれの関数の特徴を把握し、状況に応じて使い分けられるようになることで、
Excelを使った業務の効率と正確性が格段に向上します。
この記事を参考に、ぜひ実務で活用してみてください。