ビジネスマナーでは、相手への敬意を示すための「言葉遣い」が重要です。
特に、敬語(けいご)には「丁寧語」「謙譲語」「尊敬語」の3種類があり、それぞれ異なる場面で使われます。
今回は、それぞれの使い分けとよく使われるフレーズを説明します。
丁寧語
相手に対して丁寧な表現をするための言葉遣いです。
主に「です」「ます」「ございます」などを使って表現します。
相手や話の内容にかかわらず、一般的なビジネスの会話で用いられます。
よく使うフレーズ
「わかりました」→ 丁寧語:「かしこまりました」
「知っています」→ 丁寧語:「存じております」
「ありがとう」→ 丁寧語:「ありがとうございます」
使用場面
商談の開始挨拶
「本日はお時間をいただき、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。」
電話での応対
「お電話ありがとうございます。〇〇株式会社の□□でございます。」
訪問先で自己紹介
「初めまして、△△会社の□□と申します。本日はよろしくお願いいたします。」
予定確認のお願い
「〇〇様のご都合に合わせて伺いたいのですが、いつがよろしいでしょうか?」
会議終了後の挨拶
「本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。」
メールでの依頼
「お手数ですが、こちらの件についてご確認いただけますでしょうか。」
説明時の丁寧な表現
「こちらが今期の売上データとなっております。」
電話を切る際の挨拶
「では、失礼いたします。引き続きよろしくお願いいたします。」
上司に業務報告
「お忙しいところ失礼いたします。進捗状況を報告させていただきます。」
相手の意向を確認する際
「ご不明点やご要望がございましたら、どうぞお知らせください。」
尊敬語
相手の行動や状態を敬う表現です。相手に敬意を示すときに、相手の行動を高める形で表現します。
よく使うフレーズ
「する」→ 尊敬語:「なさる」
「行く・来る・いる」→ 尊敬語:「いらっしゃる」
「言う」→ 尊敬語:「おっしゃる」
「知っている」→ 尊敬語:「ご存じです」
取引先の担当者が来社された際の挨拶
「〇〇様、本日はお越しいただき、ありがとうございます。」
上司の意向を確認する
「〇〇部長、この件についてどのようにお考えでしょうか?」
お客様に製品を案内
「こちらの商品でございますが、ご覧になっていただけますか?」
取引先の行動を尋ねる
「先方は何時にいらっしゃるご予定でしょうか?」
上司の意見を伺う
「△△課長、お手数ですがご意見をお聞かせいただけますでしょうか?」
お客様に質問する際
「ご不明な点がございましたら、どうぞおっしゃってください。」
取引先の訪問を伺う際
「〇〇様、本日何時頃お越しいただける予定でしょうか?」
お客様の希望を確認
「どのような仕様をご希望でしょうか?」
上司の指示を確認する際
「先ほどの件につきまして、もう一度ご確認いただけますでしょうか?」
お客様に案内する
「お手数ですが、こちらの方にお進みいただけますか?」
謙譲語
自分の行動をへりくだって表現することで、相手を立てる言葉遣いです。自分や自分の所属する組織の行動を低く見せ、相手に敬意を示します。
よく使うフレーズ
「行く・来る」→ 謙譲語:「伺う・参る」
「言う」→ 謙譲語:「申し上げる」
「する」→ 謙譲語:「いたす」
「見る」→ 謙譲語:「拝見する」
使用場面
訪問の際の挨拶
「本日はお忙しいところ、お時間を頂戴し、誠にありがとうございます。」
資料の提出
「こちらの資料を、ぜひご覧いただければと存じます。」
自分の考えを述べる
「私どもとしましては、このように考えております。」
上司の承認を求める
「この案を承認いただければ幸いです。」
名刺を渡す際
「こちらが私の名刺でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。」
会議で発言する際
「僭越ながら、私からも一言申し上げます。」
確認依頼
「お手数をおかけしますが、こちらについてご確認いただければと存じます。」
自分の訪問を伝える
「後ほど、改めてご挨拶に伺わせていただきます。」
お礼を伝える際
「貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございました。」
手伝いの申し出
「お困りのことがございましたら、何なりとお申し付けください。」
よく使うビジネスフレーズと使い分け例
行動・状態 | 普通の表現 | 丁寧語 | 尊敬語 | 謙譲語 |
言う | 言う | 言います | おっしゃる | 申し上げる |
知っている | 知っている | 知っています | ご存じです | 存じております |
する | する | します | なさる | いたします |
行く | 行く | 行きます | いらっしゃる |
伺います/参ります
|
見る | 見る | 見ます | ご覧になる | 拝見します |