Power Automate for Desktopの「変数」を完全理解する


Power Automate for Desktop(以下PAD)でフローを作っていると、必ずと言っていいほど登場するのが「変数」です。
しかし、変数の仕組みを曖昧なまま使っていると、「値が思った通りに入らない」「途中でフローが止まる」「なぜか空になる」といったトラブルに直面しがちです。
本記事では、PADにおける変数の基本的な考え方から、種類、使い分け、実務でつまずきやすいポイントまでを体系的に解説します。
初心者の方でも「変数が何をしているのか」をイメージでき、実務で安定したフローを作れるようになることを目標に解説していきます。


Power Automate for Desktopにおける変数とは何か

変数とは、一言で言えば「データを一時的に入れておく箱」です。
PADのフローは、人が操作している画面の情報や、Excel・Web・ファイルなどから取得した値を使って処理を進めます。
その際、取得した値をそのまま使うのではなく、変数に格納して次のアクションで使い回します。

例えば、
・Excelのセルの値
・Webページから取得したテキスト
・日付や時刻
・計算結果
これらはすべて変数に格納され、フローの中で受け渡しされます。

変数を理解することは、PADを理解することとほぼ同義と言っても過言ではありません。


変数はどこで作られるのか

PADでは、変数を「自分で作る」だけでなく、「アクションが自動で作る」ケースが非常に多いのが特徴です。

多くのアクションには「出力」があり、その出力結果が自動的に変数として作成されます。
たとえば、
・「Excelから読み取り」
・「Webページからテキストを取得」
・「ファイルをコピー」
といったアクションでは、実行結果が変数として保存されます。

そのため、初心者の方が混乱しやすいのは、
「変数を作った覚えがないのに、変数が存在している」
という状態です。

PADでは、変数はフローの中で自然に生まれ、自然に使われていくものだと理解するとよいでしょう。


変数の基本的な命名ルール

変数名は、フローの読みやすさと保守性に大きく影響します。
PAD自体は日本語の変数名も使用できますが、実務では次のようなルールを意識すると混乱を防げます。

・何の値かが分かる名前にする
・動作や目的を含める
・似た変数名を量産しない

例えば、
・ExcelValue
・UserName
・DownloadFilePath
など、見ただけで中身が想像できる名前が理想です。

変数名が曖昧だと、後からフローを見返したときに理解できなくなります。


Power Automate for Desktopの主な変数の種類

PADには複数の変数タイプが存在します。
ここでは、特によく使うものを中心に解説します。


テキスト型変数

最も基本となる変数がテキスト型です。
文字列、URL、ファイルパス、メッセージなど、ほとんどの情報はテキストとして扱われます。

例として、
・ユーザー名
・メール本文
・Webページの文章
などが挙げられます。

初心者のうちは、「とりあえずテキスト」と考えても大きな問題はありません。


数値型変数

数値型変数は、計算やカウント処理で使用されます。
ループ回数、合計値、比較処理などで頻繁に登場します。

注意点として、テキストとして取得した数字は、そのままでは数値として扱えない場合があります。
計算を行う際は、数値に変換されているかを意識することが重要です。


ブール型変数

ブール型変数は、「真(True)」か「偽(False)」のどちらかの値を持ちます。
条件分岐で非常によく使われる変数です。

例として、
・ファイルが存在するか
・処理が成功したか
などの判定に利用されます。

条件分岐の可読性を高めるためにも、ブール型変数は積極的に使うとフローが整理されます。


リスト型変数

リスト型変数は、複数の値をまとめて保持できる変数です。
Excelの行データや、Webから取得した複数要素などを扱う際に活躍します。

リストを使うことで、
・繰り返し処理
・一括処理
が非常に簡単になります。

PADの中級者以上を目指すなら、リスト型変数の理解は必須です。


ディクショナリ型変数

ディクショナリ型変数は、「キー」と「値」のセットで情報を管理する変数です。
項目名と値をセットで扱えるため、構造化されたデータを扱う際に便利です。

少し難易度は高いですが、
・Web API
・JSONデータ
を扱う場合には欠かせない存在になります。


変数のスコープを理解する

変数には「どこまで有効か」という範囲、いわゆるスコープがあります。
PADでは基本的に、フロー全体で変数は共有されます。

ただし、
・サブフロー
・例外処理
・ループ
などでは、変数の扱いを意識しないと思わぬ上書きが発生します。

同じ変数名を再利用すると、前の値が消えてしまうこともあるため注意が必要です。


よくある変数トラブルと原因

PADでよくあるトラブルの多くは、変数の理解不足が原因です。

・値が空になる
・前の処理の値が残っている
・条件分岐が思った通りに動かない

これらは、
・変数の初期化をしていない
・別のアクションで上書きされている
・型が合っていない
といった原因がほとんどです。

トラブルが起きたときは、「今この変数には何が入っているのか」を必ず確認する習慣をつけましょう。


デバッグ時に役立つ変数の確認方法

PADには、変数の中身を確認するための手段が用意されています。

・メッセージボックスで表示する
・フローの実行ログを確認する
・ステップ実行を行う

特に初心者の方は、メッセージボックスを使って変数の中身を目で確認する方法がおすすめです。

目で確認することで、変数の流れが一気に理解できるようになります。


実務で使える変数設計の考え方

実務では、動くだけのフローでは不十分です。
後から修正できる、他人が見ても分かるフローであることが重要です。

そのために、
・変数名を統一する
・役割ごとに変数を分ける
・一時的な変数と固定値を区別する
といった設計を意識しましょう。

変数設計を意識するだけで、フローの品質は大きく向上します。


まとめ

Power Automate for Desktopにおける変数は、フローの心臓部とも言える存在です。
変数を正しく理解すれば、処理の流れが明確になり、トラブルも激減します。

特に重要なのは、
・変数は「箱」であるという考え方
・型の違いを意識すること
・値の流れを常に把握すること

これらを意識するだけで、PADのフロー作成は格段に安定します。
まずは基本的な変数の扱いを確実に身につけ、少しずつ応用へとステップアップしていきましょう。

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