Microsoft Wordで長文の資料や報告書を作成すると、「一部のページだけ横向きにしたい」「一部のページ番号を非表示にしたい」といった場面に出くわします。そんな時に役立つのが「セクション区切り」という機能です。
本記事では、セクション区切りの基本的な使い方から活用例、よくあるトラブルの解消法までを丁寧に解説します。初心者の方でも理解しやすいように、図解付きの操作手順を交えながら紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
セクション区切りとは?通常の改ページとの違い
Wordには「改ページ」と「セクション区切り」という2つの区切り機能があります。
改ページは単純にページを分けるだけの機能で、前後のページは同じレイアウト設定(余白、段組、ページ番号の位置など)を共有します。
セクション区切りは、ページを分けるだけでなく、「レイアウト」「ヘッダーとフッターの設定」「段組」「用紙の向き」などをセクションごとに別々に設定できるのが特徴です。
これにより、文書の途中だけ横向きにしたり、ページ番号をリセットしたりといった柔軟な構成が可能になります。
セクション区切りの挿入手順
Wordでセクション区切りを挿入する方法は以下の通りです。
【手順】
- セクションを区切りたい場所にカーソルを置く
- メニューから「レイアウト」または「ページレイアウト」を選択
- 「区切り」をクリック
- 「セクション区切り」から任意の種類を選ぶ
【選べる4種類のセクション区切り】
- 次のページから開始
→ 新しいページでセクションを開始します。 - 現在の位置から開始
→ ページを変えずに、カーソル位置で新しいセクションを開始します。 - 奇数ページから開始
→ 次の奇数ページでセクションを開始します。冊子などで活用されます。 - 偶数ページから開始
→ 次の偶数ページでセクションを開始します。
セクション区切りを使った便利な活用例
セクション区切りは次のような場面で非常に役立ちます。
1. 文書の途中からページ番号を非表示・変更
報告書などで、表紙と目次にはページ番号を付けず、本編から「1ページ」と表示したいときに便利です。
2. ページの一部だけ用紙の向きを変える
縦書き文書の中に横向きのグラフや表を挿入したい場合、該当ページだけ横向きにできます。
3. 段組を途中で変更する
1段組の文章の途中から2段組のレイアウトに変更したいときにも有効です。
セクションごとにページ設定を変える方法
セクションを分けた後、各セクションごとに異なる設定を行うには以下の手順を使います。
例:ページの向きをセクションごとに変える
- セクション区切りを挿入する
- 「レイアウト」タブの「印刷の向き」を変更する
- 「このセクションのみ」を選択してOKをクリック
これにより、文書の一部だけ横向きにできるようになります。
ヘッダーとフッターをセクションごとに分けるには
セクション区切りを入れただけでは、前後のセクションのヘッダーやフッターが連動しています。これを切り離すには以下の操作が必要です。
- 新しいセクションのヘッダーまたはフッターをダブルクリック
- 「前と同じヘッダー/フッター」のボタンをクリックして解除
- これで独立したヘッダー・フッターを設定できます
セクション区切りの削除方法と注意点
間違って入れてしまったセクション区切りを削除するには、非表示文字を表示して操作する必要があります。
- 「ホーム」タブから「編集記号の表示/非表示」をクリック
- 「セクション区切り」と書かれたラインを探す
- その行を選択して「Delete」キーで削除
注意点: セクション区切りを削除すると、前後のセクションの設定が統合されてしまうため、意図しないレイアウト変更が発生することがあります。削除前には設定を確認しましょう。
セクション区切りがうまく動作しない時の対処法
よくあるトラブル例と対応方法
- ヘッダーが消えない/変わらない
→「前と同じヘッダー/フッター」の設定を解除できていない可能性があります。 - レイアウトが変わらない
→「セクション区切り」ではなく「改ページ」になっていないか確認してください。 - 段組みが文書全体に反映される
→セクション区切りが「現在の位置から開始」で入っているか確認しましょう。
まとめ
Wordのセクション区切りを活用することで、文書の自由度が大きく広がります。ページ番号の制御、レイアウトの一部変更、段組の切り替えなど、用途に応じた設定を柔軟に行えるのが最大のメリットです。
一見すると難しく感じるかもしれませんが、基本の使い方と設定方法を理解すれば誰でも扱える機能です。業務文書、企画書、報告書、論文など、さまざまなシーンで活用してみてください。