パソコンを買い替えたり、業務用PCを入れ替えたりする際に、多くの人が悩むのが「Outlookのデータ移行」です。Outlookはメールだけでなく、連絡先(アドレス帳)、予定表、タスクなど、日常業務に欠かせない情報を管理しています。これらを正しく移行しないと、大切なメール履歴が消えてしまったり、顧客情報を失ったりするリスクがあります。
本記事では、Outlookのデータを別PCに移行するための基本的な手順と、バージョンごとの注意点、トラブルを避けるためのポイントを解説します。初めてPC移行を行う方でも安心して作業できるよう、わかりやすくまとめました。
Outlookのデータ移行で必要な準備
Outlookのデータは「PSTファイル(またはOSTファイル)」として保存されます。PSTファイルはメール、連絡先、予定表などがまとめて格納される重要なデータです。移行の前に、次の準備をしておきましょう。
- 移行元PCのOutlookのバージョン確認
Outlook 2016/2019/2021やMicrosoft 365版など、バージョンによって保存場所や設定が異なります。 - 保存先のメディアを用意
外付けHDD、USBメモリ、ネットワークストレージなどを用意し、PSTファイルを一時的に保存します。 - メールアカウントの設定情報を確認
移行先PCでもメールを受信できるように、アカウント情報(メールアドレス、パスワード、受信サーバー・送信サーバー情報)を控えておきましょう。
Outlookのデータ(PSTファイル)の保存場所
OutlookのPSTファイルは、通常次の場所に保存されています。
- Windows 10/11 の場合
C:\Users\ユーザー名\Documents\Outlook ファイル
- 古い環境の場合(Outlook 2010など)
C:\Users\ユーザー名\AppData\Local\Microsoft\Outlook
エクスプローラーで「Outlook.pst」や「アカウント名.pst」を検索するのも有効です。ファイルを確認したら、外付けメディアにコピーします。
移行元PCからデータをエクスポートする方法
Outlookの標準機能でデータをエクスポートしておくと、移行先でインポートしやすくなります。
- Outlookを開く
- メニューから [ファイル] → [開く/エクスポート] → [インポート/エクスポート] を選択
- 「ファイルにエクスポート」を選び、「Outlookデータファイル(.pst)」を指定
- 移行したいフォルダー(受信トレイや連絡先など)を選択し、保存先を指定
- USBメモリや外付けHDDに保存
この手順を踏むことで、必要なデータだけを抽出して移行できます。
移行先PCでデータをインポートする方法
保存したPSTファイルを新しいPCにコピーしたら、Outlookに読み込ませます。
- 移行先PCにOutlookをインストール・設定
Microsoft 365契約中ならインストールから開始します。 - アカウント設定を行う
メールアドレス・パスワード・サーバー情報を入力して、送受信できるか確認します。 - PSTファイルをインポート
- Outlookを開き、[ファイル] → [開く/エクスポート] → [インポート/エクスポート] をクリック
- 「別のプログラムやファイルからのインポート」 → 「Outlookデータファイル(.pst)」を選択
- 保存しておいたPSTファイルを指定し、データを取り込みます。
この作業で、旧PCのメールや連絡先、予定表が新PCに統合されます。
Microsoft 365やExchange環境の場合の移行
企業で使われるMicrosoft 365やExchangeサーバー環境では、データはサーバー側に保存されるため、基本的にはPCを変えてもアカウント設定を行えば自動的にデータが同期されます。
この場合、PSTファイルを手動で移行する必要はありません。ただし、ローカルに保存している「アーカイブ」や「個人用フォルダー」は別途PSTファイルの移行が必要です。
移行作業で注意すべきポイント
データ移行は失敗すると業務に大きな影響を与えます。次の点に注意しましょう。
- 大容量ファイルの扱い
PSTファイルが10GBを超える場合、コピーに時間がかかるほか、破損のリスクも高まります。分割や整理を検討しましょう。 - パスワード付きPSTファイル
セキュリティのためにパスワードを設定している場合、インポート時に入力が必要です。忘れないようにしましょう。 - エクスポート・インポートの順序
必ず新PCでメールアカウントを設定してからPSTをインポートしてください。そうしないと、フォルダーの統合がうまくいかない場合があります。
トラブルが起きたときの対処法
- PSTファイルが読み込めない → 「scanpst.exe」(受信トレイ修復ツール)を使って修復可能。
- メールが重複してしまった → インポート時の「重複をインポートしない」を選択する。
- 連絡先や予定表が表示されない → フォルダー選択を間違えていないか確認する。
まとめ
Outlookのデータ移行は、PSTファイルを中心に考えるのが基本です。個人利用では手動でPSTをコピー・インポートする方法が主流ですが、Microsoft 365やExchangeを利用している場合はアカウント設定だけでほとんどのデータが同期されます。
PCの買い替え時や業務PCの入れ替え時に備えて、今回の手順を知っておくと安心です。大切なメールや予定を確実に引き継ぎ、新しい環境でも快適にOutlookを利用しましょう。