Excelで数値を掛け合わせたいとき、どのような方法を使っていますか?「=A1B1C1…」と1つ1つ手入力するのは手間がかかりますし、数が多くなるほどミスも増えがちです。そんなときに便利なのが「PRODUCT関数」です。PRODUCT関数を使えば、複数のセルを一気に掛け合わせることができ、計算ミスを防ぎ、作業効率も大きくアップします。この記事では、PRODUCT関数の基本的な使い方から実用的な応用例、さらに注意点まで丁寧に解説します。Excel初心者から中級者まで、知っておいて損はない関数のひとつです。
PRODUCT関数とは?
PRODUCT関数は、指定した数値やセルの値をすべて掛け合わせた積を求める関数です。加算にはSUM関数、平均にはAVERAGE関数があるように、掛け算にはこのPRODUCT関数が最適です。
構文
=PRODUCT(数値1, [数値2], …)
- 数値1, 数値2, …:掛け合わせたい数値やセル範囲を指定します。
- 最大255個まで引数を指定可能です。
例
=PRODUCT(2, 3, 4) → 結果:24
=PRODUCT(A1:A3) → A1~A3の値をすべて掛け合わせた結果
このように、単体の数値もセルの範囲も、どちらも指定することができます。
PRODUCT関数の基本的な使い方
実際にExcelでPRODUCT関数を使ってみましょう。
セル範囲を掛け算する
A列 |
---|
2 |
3 |
4 |
この場合、「=PRODUCT(A1:A3)」と入力すると、「2×3×4=24」が返されます。
複数の数値やセルを指定する
=PRODUCT(A1, B1, C1)
複数の離れたセルを掛け合わせたいときには、このようにカンマ区切りで個別に指定します。
直接数値を指定する
=PRODUCT(5, 10, 0.2)
計算機代わりに使うこともできます。掛け算のミスを減らせるので便利です。
PRODUCT関数の応用例
売上金額を求める
商品 | 単価 | 数量 | 売上金額 |
---|---|---|---|
A | 100 | 3 | =PRODUCT(B2,C2) |
B | 200 | 2 | =PRODUCT(B3,C3) |
このように、単価と数量の積として売上金額を求める際に、PRODUCT関数は簡潔でミスのない表現が可能です。
複数項目の合計乗率を求める
たとえば、複利や成長率など、複数の要素が掛け合わせで計算されるような場面では、PRODUCT関数が特に効果を発揮します。
年度 | 成長率 |
---|---|
2021 | 1.05 |
2022 | 1.03 |
2023 | 1.02 |
=PRODUCT(B2:B4) → 合計成長率
PRODUCT関数を使う際の注意点
空白セルは「1」として扱われる
PRODUCT関数では、空白セルを「1」として計算します。つまり結果には影響しません。
A列 | 結果 |
---|---|
2 | |
(空白) | =PRODUCT(A1:A2) → 2 |
これはSUM関数とは違う動作なので注意しましょう。
文字列が含まれていると無視される
PRODUCT関数に文字列を含めてもエラーにはならず、自動的に無視されます。ただし、「0」と表示される文字列(たとえば「”0″」)は計算結果に影響を与えないため、意図しない結果になる場合もあります。
PRODUCT関数と他の関数との違い
PRODUCT関数と「*」演算子の違い
- 「=A1A2A3」と「=PRODUCT(A1:A3)」は基本的に同じ結果になります。
- ただし、PRODUCT関数はより多くの引数を扱うのに向いており、範囲指定が可能です。
SUMPRODUCT関数との違い
SUMPRODUCT関数は「配列の対応する要素を掛けた後、合計する」関数であり、PRODUCT関数とは目的が異なります。
例:
A列 | B列 |
---|---|
2 | 3 |
4 | 5 |
=SUMPRODUCT(A1:A2, B1:B2) → (2×3)+(4×5)=6+20=26
一方で、PRODUCTではこのような対応計算はできません。
PRODUCT関数を使うメリット
- 多くの数値を一括で掛け算できる
- 関数内でセル範囲が使えるため、式が短くて済む
- 構文がシンプルで初心者にもわかりやすい
- エラーに強く、空白セルや文字列にも柔軟に対応
特に、列単位で大量のデータを扱う業務では、PRODUCT関数を使うことで作業効率が大きく変わります。
PRODUCT関数を活用するシーン
- 数量×単価で売上を計算する表
- 製品の重ねがけ工程(工程1の歩留まり × 工程2の歩留まり × …)
- 複利計算(1+利率)を年数分掛ける
- 積上げ式の構成比率計算 など
業務や家計管理、学習記録など、さまざまな場面で使える関数です。
まとめ
PRODUCT関数は、Excelにおける「掛け算専用の関数」として非常に便利です。複数のセルや数値をまとめて掛けたいときには、従来の「*」演算子よりもシンプルでミスの少ない方法として活躍します。特に数が増えてくると手入力では非効率になるため、PRODUCT関数を使いこなすことで作業の正確さとスピードが格段に向上します。まだ使ったことがない方は、ぜひ一度試してみてください。Excel作業の質がひとつ上のレベルに進むこと間違いなしです。