Windows環境でIPアドレスを設定する方法として、GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)を使うのが一般的ですが、PowerShellを活用すれば、より高速かつ効率的に設定変更が可能です。特にサーバー管理やスクリプト化された運用では、PowerShellの活用が大きな力となります。この記事では、New-NetIPAddress
コマンドを使って新しいIPアドレスを設定する方法をわかりやすく解説します。
PowerShellでIPアドレスを設定するメリット
PowerShellによるIP設定には、以下のようなメリットがあります。
- 作業の自動化ができる:複数台のPCに同じ設定を適用する場合、スクリプトを使えば手動操作の手間を省けます。
- 設定変更が迅速:GUIよりも短時間で設定を変更でき、特にリモート操作時に有効です。
- トラブル時の再設定が容易:設定内容を記述したスクリプトを用意しておけば、障害復旧時にも迅速に対応できます。
管理者やネットワークエンジニアにとって、PowerShellによるIPアドレス管理は知っておきたいテクニックです。
New-NetIPAddressコマンドとは?
New-NetIPAddress
は、Windows PowerShellのコマンドレットの一つで、新しいIPアドレスをインターフェースに設定するために使用されます。このコマンドは、netsh
に代わる最新のIP構成方法として推奨されています。
主な用途:
- IPアドレスの静的設定
- サブネットマスクの指定
- デフォルトゲートウェイの指定
- 複数のIPアドレスの設定(マルチIP)
基本的な構文と使用例
New-NetIPAddress
コマンドの基本構文は以下の通りです。
New-NetIPAddress -InterfaceAlias "<インターフェース名>" -IPAddress "<IPアドレス>" -PrefixLength <プレフィックス長> -DefaultGateway "<ゲートウェイ>"
例1:IPアドレスを固定で設定する
New-NetIPAddress -InterfaceAlias "Ethernet" -IPAddress "192.168.1.100" -PrefixLength 24 -DefaultGateway "192.168.1.1"
この例では、「Ethernet」という名前のインターフェースに、IPアドレス「192.168.1.100」、サブネットマスク「255.255.255.0(=/24)」、ゲートウェイ「192.168.1.1」を設定しています。
パラメーターの解説
パラメーター | 意味 |
---|---|
-InterfaceAlias | 設定を行うネットワークインターフェースの名前(例:”Ethernet”) |
-IPAddress | 設定するIPアドレス |
-PrefixLength | サブネットマスクをCIDR表記で指定(例:24は255.255.255.0) |
-DefaultGateway | デフォルトゲートウェイのIPアドレス |
-AddressFamily | IPv4またはIPv6の指定(省略可) |
インターフェース名(Alias)の調べ方
InterfaceAlias
は正確に指定する必要があります。以下のコマンドでインターフェース名を確認できます。
Get-NetAdapter
出力されるName
列に表示されている値が、InterfaceAlias
として使用可能です。
IPアドレスを複数設定する場合
1つのインターフェースに複数のIPアドレスを設定したい場合も、New-NetIPAddress
を複数回使えば対応できます。
New-NetIPAddress -InterfaceAlias "Ethernet" -IPAddress "192.168.1.101" -PrefixLength 24
New-NetIPAddress -InterfaceAlias "Ethernet" -IPAddress "192.168.1.102" -PrefixLength 24
ただし、デフォルトゲートウェイは1つだけ設定するのが基本です。
既存のIPアドレスを削除するには
IPアドレスを新しく設定する前に、既存のIP設定を削除したい場合は、Remove-NetIPAddress
コマンドを使います。
Get-NetIPAddress -InterfaceAlias "Ethernet" | Remove-NetIPAddress
※削除の際は-Confirm:$false
を追加すると確認なしで実行されますが、慎重に扱いましょう。
実行前の注意点
- 管理者権限で実行する必要があります。PowerShellは「管理者として実行」で開いてください。
- IP設定を変更すると、一時的にネットワーク接続が切れる場合があります。特にリモート環境では注意が必要です。
- DHCPから静的IPへの変更になるため、自動割当から外れたIPアドレスを使用することが重要です。
エラーが出たときの対処法
1. Access Denied のエラー
PowerShellが管理者モードで実行されていない可能性があります。右クリックで「管理者として実行」しましょう。
2. Instance MSFT_NetIPAddress already exists のエラー
このエラーは、指定されたIPアドレスがすでに設定されている場合に発生します。Remove-NetIPAddress
で事前に削除してください。
まとめ:PowerShellでIPアドレス設定を効率化しよう
New-NetIPAddress
コマンドを使えば、手動でのIP設定がより効率的に行えます。管理者やネットワーク担当者にとっては、必須レベルの知識とも言えるでしょう。GUIでは難しい一括設定やスクリプト化も可能になるため、ぜひPowerShellでのIPアドレス操作にチャレンジしてみてください。