LPIC-1(Linux Professional Institute Certification Level 1)は、Linuxの基本操作からシステム管理の初歩までを網羅する資格です。その中でも「マウント」「パーティション」「ファイル属性」「fstabの設定」といったストレージ管理に関する知識は非常に重要です。
本記事では、LPIC-1試験の出題範囲を意識しながら、実務でも役立つコマンドや設定方法をわかりやすく解説します。これから試験を受ける方はもちろん、復習したい方にも役立つ内容となっています。
マウントとは?基本の考え方とコマンド
Linuxでは、ハードディスクやUSBメモリなどの記憶デバイスを使うには「マウント(mount)」する必要があります。マウントとは、デバイスをディレクトリ構造に組み込む作業です。
マウントの基本コマンド
mount /dev/sdb1 /mnt/usb
この例では、/dev/sdb1
というデバイスを /mnt/usb
というディレクトリにマウントしています。
オプションの使用例
mount -t ext4 -o ro /dev/sdb1 /mnt/usb
-t ext4
: ファイルシステムの種類を指定(ext4, vfat, ntfsなど)-o ro
: 読み取り専用でマウント
現在マウントされているデバイスの確認
mount
もしくは
findmnt
findmnt
はツリー構造で視覚的に見やすく表示されるためおすすめです。
パーティションの仕組みと管理コマンド
パーティションとは、ハードディスクなどのストレージを分割して使用するための仕組みです。Linuxでは「/boot」「/home」「/var」などを分ける設計がよくあります。
パーティションの確認
lsblk
このコマンドで、デバイスとそのパーティションが一覧で表示されます。
fdisk -l
より詳細なパーティション情報を表示できます(root権限が必要)。
パーティションの作成(fdisk使用例)
sudo fdisk /dev/sdb
n
を押して新しいパーティションを作成w
を押して保存して終了
その後、ファイルシステムを作成する必要があります:
sudo mkfs.ext4 /dev/sdb1
ファイル属性の基本と重要コマンド
ファイルには「所有者」「グループ」「アクセス権」といった属性が存在します。これはLinuxのアクセス制御の基本です。
属性の確認
ls -l
-rw-r--r-- 1 user group 1234 Apr 5 12:00 sample.txt
最初の -rw-r--r--
がパーミッションです。
パーミッションの変更(chmod)
chmod 755 script.sh
7
= 読み取り4 + 書き込み2 + 実行1 →rwx
5
=r-x
5
=r-x
シンボリックモードもあります:
chmod u+x script.sh
(ユーザーに実行権限を追加)
所有者の変更(chown)
chown user1:group1 file.txt
特殊パーミッション
- SUID(Set User ID):実行時に所有者の権限で動作
- SGID(Set Group ID):グループ単位のアクセス制御
- スティッキービット:ファイル削除の制限(/tmpなど)
chmod 4755 file # SUIDの例
chmod 2755 dir # SGIDの例
chmod 1777 /tmp # スティッキービットの例
fstabファイルの役割と設定方法
/etc/fstab
は、Linuxが起動時に自動でマウントするための設定ファイルです。
fstabの基本フォーマット
<デバイス> <マウントポイント> <ファイルシステム> <オプション> <dump> <fsck>
例:
UUID=xxxxxxxx-xxxx-xxxx-xxxx-xxxxxxxxxxxx /home ext4 defaults 0 2
UUID=
:一意の識別子。blkid
コマンドで確認可能/home
:マウントポイントext4
:ファイルシステムの種類defaults
:標準的なオプション(rw, suid, dev, exec, auto, nouser, async)0
:バックアップ対象(通常は0)2
:fsckの順序(rootは1、それ以外は2)
UUIDの確認方法
blkid
または
ls -l /dev/disk/by-uuid/
fstabに新しいマウント設定を追加する例
USBメモリを /mnt/usb
に自動マウントしたい場合:
- UUIDを調べる:
blkid /dev/sdb1
/etc/fstab
に以下を追記:
UUID=1234-5678 /mnt/usb vfat defaults,noauto,user 0 0
noauto
:自動マウントしない(ユーザーが明示的にマウント)user
:一般ユーザーでもマウント可
よくあるfstabのトラブルと対処法
システムが起動しなくなる
fstabの設定ミスがあると、システムが起動時に止まってしまうことがあります。その際は「緊急モード」や「リカバリーモード」からログインし、/etc/fstab
を修正しましょう。
マウント失敗時にシステムが止まるのを防ぐには?
以下のように nofail
オプションを付けると、マウントできなくても起動は継続されます。
UUID=xxxx /mnt/usb vfat defaults,nofail 0 0
まとめ
LPIC-1試験では、ストレージ関連の設定やコマンドについて幅広く問われます。特に以下の点を重点的に復習しましょう。
mount
コマンドの書き方とオプションfdisk
やlsblk
によるパーティションの確認と作成chmod
やchown
によるファイル属性の変更/etc/fstab
の書式とUUIDの使用法- 自動マウントの設定やトラブル対応
学習のポイントは「実際に手を動かして確認すること」です。仮想環境などを使って練習すれば、より理解が深まります。