11月16日、今日は何の日? ~意義ある記念日5選~

秋の深まりが感じられる11月16日。暦の上では平凡な一日かもしれませんが、実は「寛容」「教育」「色彩」「文化」「自然」といったテーマに関わる複数の記念日が置かれています。日常の当たり前を振り返るきっかけとして、11月16日にちなんだ記念日を5つピックアップし、それぞれの背景や意義、現代に活かせる視点を交えて紹介します。

1. 国際寛容デー(International Day for Tolerance)

まず最初に押さえておきたいのが、「国際寛容デー」です。これは1996年、国連総会で制定された国際デーの一つで、1995年11月16日にユネスコ総会で採択された「寛容原則宣言」と、その後のフォローアップ計画を記念するものです。

この記念日の趣旨は、人種・宗教・文化・価値観などが異なる人々が共生していくための寛容の重要性を再確認すること。差別や偏見をなくし、多様性を尊重しあう社会づくりを促すことを目的としています。

現代社会では、グローバル化や情報化の進展により、人と人との接点が増える一方、異なる価値観との軋轢も生じやすくなっています。国際寛容デーは、そうした状況において「他者を受け入れる余裕」「違いから学ぶ姿勢」を意識する機会となります。学校や地域、企業などでも、ワークショップ、対話会、アート企画などを通じて「寛容とは何か」を問い直すイベントが行われています。


2. 幼稚園記念日

日本国内の記念日として、11月16日は「幼稚園記念日」にも定められています。1876年(明治9年)のこの日、東京・神田に「東京女子師範学校附属幼稚園」が開園し、日本初の官立幼稚園としての歩みが始まりました。

この幼稚園はその後、教育制度の変遷を経ながら発展し、現代のお茶の水女子大学附属幼稚園につながっています。明治期という時代背景を考えると、近代化と教育制度の整備を進める流れのなかで、早期教育への関心が高まりつつあったことがうかがえます。

今日、幼稚園は子どもの社会性や集団生活・基礎的な生活習慣を育む場として位置づけられています。幼児教育の重要性が改めて問い直される現代において、「幼稚園記念日」はその源流を振り返る象徴的な日でもあるでしょう。


3. 録音文化の日

11月16日は「録音文化の日」としても知られています。1878年のこの日、蓄音機を使った最初の録音および再生実験が日本で行われたとされ、この出来事を記念して制定された記念日です。

録音技術は、音声・音楽・言語の保存や再生という点で、文化や歴史の継承と密接に結びついています。過去の声・語り・歌を現代に残すことは、時間を超えたコミュニケーションでもあります。この記念日は、録音技術という「音を記録する手段」を見つめ直す契機にもなります。

今日では、スマートフォンやデジタル録音機器が一般化しています。私たちは日常的に“録音する/される”環境にありますが、この記念日は技術の歩みを振り返る節目として意味深いものです。


4. いいいろ塗装の日

日本の産業界・業界団体が制定した記念日として、「いいいろ塗装の日」も11月16日に置かれています。この日は「いい(11)いろ(16)」という語呂合わせから、塗装・塗料と“色”への関心を高めることを目的としています。

具体的には、塗装の美観・機能性・保護性など、塗装や塗料に関する正しい知識の普及や啓発を図る日です。日常の建築・インテリア・外装など、私たちの周囲には塗装が隠れた形で存在しており、その役割は美しさだけでなく、耐久性や防錆、保護作用など多岐にわたります。

この記念日は、色彩や外装デザイン、建築分野、さらには色彩心理という観点からも、改めて“色”“表面仕上げ”の意義を見つめ直すきっかけを与えてくれます。


5. ぞうさんの日

最後に紹介するのが、「ぞうさんの日」です。これは、童謡「ぞうさん」で知られる作詞家・まど・みちおさんの誕生日である11月16日に合わせて、山口県周南市の「絵本と物語のある街」構想の一環として制定された記念日です。

制定のねらいは、絵本や物語の大切さ、親子・地域のつながりを育むこと、そして地域文化の発信です。周南市がまど・みちおさんをゆかりとしていることもあり、地元の絵本イベントや読み聞かせ会、動物園と連動した企画などが行われることがあります。

この記念日は、物語や絵本という“言葉とイメージ”の世界を改めて味わう機会。大人でも子どもでも、昔読んだ絵本を手にとるきっかけになれば、という願いが込められています。


締めくくりに:記念日を日常に生かすヒント

11月16日に関する5つの記念日を通して見えてくるテーマは、「他者を尊重すること」「幼児教育」「文化の記録」「色・デザイン」「物語と地域文化」などです。これらは一見バラバラに見えつつ、日々の暮らしのなかで互いに響き合う要素でもあります。

たとえば、「国際寛容デー」を機に、自分とは異なる価値観の人と話をしてみる。「録音文化の日」に、自分や家族の声を録音してみる。「いいいろ塗装の日」に部屋の壁や家具の色を意識してみる。「ぞうさんの日」に絵本を贈ったり読み聞かせをする――そんな小さなアクションが、記念日をただの“名前がある日”から、意味ある一日に変えてくれます。

今年の11月16日には、ぜひこれらの記念日のいずれかを意識して、自分なりの“記念日を祝う方法”を試してみてください。日常が少し、豊かになるかもしれません。

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