心理留保(しんりりゅうほ)とは、意思表示に関する民法上の概念です。
簡単に言うと、「本心ではない意思表示」をすることを指します。
意思表示をした本人が、内心では別の意思を持っている状態を指します。
つまり、相手に特定の意思表示をしても、心の中ではその意思表示を撤回したいと考えている状態です。
例1.ある人が冗談のつもりで「この家を100万円で売る」と言った場合、それが心理留保に該当する可能性があります。
例2.ある不動産物件の売買契約で、「この物件は瑕疵(かし)はありません」と表示したものの、
実は建物の基礎に問題があることを知っている場合、この「瑕疵はありません」という表示が心理留保に該当します。
心理留保の効果
心理留保によってなされた意思表示は原則として有効です。
つまり、相手方がその意思表示を信頼して取引を行った場合、たとえ本心でなくてもその内容が有効とされます。
例外
ただし、相手方がその意思表示が本心でないこと(留保された心理)を知っていた場合、
または知るべき状況にあった場合、その意思表示は無効となります。
たとえば、相手が「どうせ本気じゃない」と知っていた場合には、契約自体が無効になることがあります。
心理留保が問題となる理由
相手方が、心理留保の存在を知らなかった場合(善意無過失)、契約は有効とされます。
相手方が、心理留保の存在を知っていたり、知りうる立場にあったりする場合(悪意または過失がある場合)、契約は無効とされる可能性があります。
心理留保に関する注意点
心理留保があっても、善意の第三者がその不動産を取得した場合、その第三者の権利は保護されます。
心理留保を主張するためには、客観的な証拠が必要となります。
宅建士試験における心理留保の出題傾向
宅建士試験では、心理留保に関する問題は、意思表示や契約の有効性に関する問題で頻出です。
具体的には、以下の様な問題が出題されます。
心理留保の定義を問う問題
心理留保があった場合の契約の有効性を問う問題
心理留保と他の概念(虚偽表示、錯誤など)との違いを問う問題