「夏至の候(げしのこう)」という表現は、ビジネス文書や手紙などで季節感を伝える際に使われる時候の挨拶の一つです。特に6月下旬、昼が最も長くなる「夏至」の時期にぴったりの言葉で、相手への気遣いや日本ならではの四季の移ろいを表現できます。しかし、「実際にどうやって使えばいいの?」「どんな文と組み合わせれば失礼がないの?」と悩む方も多いのではないでしょうか。
この記事では、「夏至の候」の意味と使い方、ビジネスやプライベートで活用できる例文をたっぷりご紹介します。中学生にもわかるやさしい言葉で解説しますので、文章に自信のない方でも安心してご活用いただけます。
「夏至の候」の意味とは?
「夏至の候」とは、「夏至」という季節の節目を表す言葉に、「候(こう)」という形式的な表現を組み合わせた時候の挨拶です。「候」は「時期」「頃」という意味があり、「夏至の頃=6月下旬」を意味します。
一般的には6月21日頃から6月30日くらいまでの文書や手紙の冒頭に用いられます。この時期の自然や気候をふまえた挨拶として、相手への配慮や教養を感じさせる効果もあります。
「夏至の候」が使える期間と注意点
「夏至の候」は、以下の期間に使用するのが一般的です。
- 使用時期:6月21日頃~6月30日頃
ただし、使う日付よりも「暦の上での夏至」の期間に合っているかがポイントです。7月に入ってしまうと、季節感がズレてしまうため注意しましょう。
また、時候の挨拶は「目上の人に対して使う丁寧な表現」なので、くだけたメールやLINEではあまり使用されません。手紙、案内状、挨拶状、ビジネス文書などで使うのが基本です。
「夏至の候」を使った基本構成の例
時候の挨拶を使った文書は、次のような構成が基本です。
- 頭語(拝啓、謹啓など)
- 時候の挨拶(「夏至の候、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます」など)
- 本文(伝えたい内容)
- 結びの挨拶(「今後ともご指導ご鞭撻のほどお願い申し上げます」など)
- 結語(敬具、敬白など)
これに沿って書けば、形式的な印象の手紙も整います。
ビジネスで使える「夏至の候」の例文5選
例文1:取引先へのお礼
拝啓
夏至の候、貴社ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
先日は多大なるご協力を賜り、誠にありがとうございました。
今後とも変わらぬお付き合いのほど、よろしくお願い申し上げます。
敬具
例文2:お詫びの文書
謹啓
夏至の候、貴社におかれましてはますますご盛栄のことと存じます。
このたびは、弊社の不手際により多大なるご迷惑をおかけいたしましたこと、深くお詫び申し上げます。
今後はこのようなことのないよう、社員一同努めてまいります。
敬白
例文3:季節のあいさつ+商品案内
拝啓
夏至の候、皆様におかれましてはお健やかにお過ごしのことと存じます。
このたび、夏季限定商品のご案内をさせていただきます。
ご興味のある方は、同封のパンフレットをご覧いただければ幸いです。
敬具
例文4:会議のお知らせ
拝啓
夏至の候、貴社におかれましてはますますご繁栄のこととお慶び申し上げます。
さて、下記の通り定例会議を開催いたしますので、ご出席くださいますようお願い申し上げます。
敬具
例文5:契約更新のお知らせ
拝啓
夏至の候、貴社ますますご清栄のことと拝察いたします。
さて、現在ご契約いただいております〇〇につきまして、更新の時期が近づいてまいりました。
ご確認のうえ、手続きを進めさせていただきたく存じます。
敬具
プライベートで使える「夏至の候」の例文3選
例文1:友人への手紙
拝啓
夏至の候、いかがお過ごしでしょうか。
日中は日差しが強く、いよいよ夏本番が近づいてきましたね。
お体に気をつけて、元気にお過ごしください。
敬具
例文2:親戚への季節の挨拶
拝啓
夏至の候、皆さまにおかれましてはご健勝のことと存じます。
こちらでは紫陽花がきれいに咲いており、季節の移ろいを感じる毎日です。
機会があればぜひ、またお会いしましょう。
敬具
例文3:先生へのお礼状
拝啓
夏至の候、先生にはますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
先日は貴重なお時間を割いていただき、誠にありがとうございました。
頂いたご助言を胸に、今後も精進してまいります。
敬具
「夏至の候」に続ける言葉のコツ
「夏至の候」のあとは、以下のような表現で相手への気遣いを示すと自然です。
- 「貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」
- 「皆さまにはお変わりなくお過ごしのことと存じます」
- 「ご健勝にてお過ごしのこととお慶び申し上げます」
これらは定型的な表現ですが、文章全体の流れをスムーズにし、相手に対する敬意を伝えることができます。
季節の挨拶としての「夏至の候」の魅力
「夏至の候」は、ただの季節表現にとどまらず、「相手の健康や成功を気遣う気持ち」と「日本の四季を大切にする心」が込められた言葉です。書き手の丁寧な姿勢が伝わるため、ビジネスでもプライベートでも好印象を与えやすいのです。
メールやSNSが主流の今だからこそ、こうした言葉の使い方を知っていると、一歩先を行く印象を持たれます。
まとめ
「夏至の候」は、6月下旬の季節感を美しく表現できる時候の挨拶です。正しい時期に使えば、相手への気遣いや教養が伝わり、ビジネスシーンや手紙での印象がグッと良くなります。
文例を参考に、ぜひご自身の文章に取り入れてみてください。言葉一つで心が通じる、そんな日本語の奥深さを感じられるはずです。