Excelでデータを比較する際、「見た目は同じだけど結果が一致しない」という経験はありませんか?
それは、文字列の比較において大小文字やスペースが影響しているからです。
そんな時に便利なのが「EXACT関数」です。EXACT関数は、2つの文字列が完全に一致するかどうかを判定する関数で、大文字と小文字の違いもきちんと見分けてくれます。
本記事では、EXACT関数の基本的な使い方から、実務で役立つ具体的な活用例まで丁寧に解説します。
Excel初心者の方から、効率的なデータチェック方法を探している中級者の方まで、ぜひ参考にしてみてください。
EXACT関数とは?
EXACT関数は、Excelにおける文字列の完全一致を判定する関数です。
構文は以下のとおりです。
=EXACT(文字列1, 文字列2)
この関数は、2つの文字列が「まったく同じ」であれば**TRUE(真)を返し、少しでも違いがあればFALSE(偽)**を返します。
特に重要なのは、大文字と小文字も区別される点です。
例:
A列 | B列 | C列(=EXACT(A1, B1)) |
---|---|---|
Apple | Apple | TRUE |
Apple | apple | FALSE |
Orange | Orange | TRUE |
このように、たとえ内容が似ていても大文字小文字が異なると一致とみなされません。
EXACT関数の基本的な使い方
単純な比較
まずは2つのセルの文字列を比較してみましょう。
=EXACT(A1, B1)
A1に「Hello」、B1に「hello」と入力されていた場合、結果はFALSE
になります。これはHとhが異なると判断されるためです。
定数との比較
セルと定数文字列を比較することもできます。
=EXACT(A1, "Admin")
A1に「admin」と入力されていれば、結果はFALSE
になります。
EXACT関数が役立つシーン
1. 名簿やリストの照合に
同じ名前が登録されているか確認する際、EXACT関数は有効です。たとえば、氏名リストに誤記がないかをチェックする場合、大文字小文字まで一致しているかが確認できます。
=IF(EXACT(A2, B2), "一致", "不一致")
2. パスワードやユーザー名の一致確認
ログイン情報などでは、大文字・小文字の違いも厳密に扱われるため、EXACT関数で厳密な比較が必要です。
3. 入力ミスのチェック
データ入力時、「ABC123」と「abc123」のようなわずかな違いを見落とすことがあります。EXACT関数で比較することで、こうしたミスを検出できます。
EXACT関数の注意点
空白も一致判定に含まれる
例えば「Admin」と「Admin 」は、スペースがあるかないかで異なる文字列と判定されます。
=EXACT("Admin", "Admin ")
→ FALSE
このため、データに余分な空白が含まれていないかも確認する必要があります。
対策としてTRIM関数
(余分な空白を削除)を組み合わせることがあります。
=EXACT(TRIM(A1), TRIM(B1))
数値同士の比較は避けるべき
EXACT関数は文字列を比較する関数です。数値の比較には適していません。
数値同士であれば、単に =A1=B1
での比較で十分です。
=EXACT(100, 100)
→ TRUE(ただし両方が文字列である場合に限る)
Excelでは ="100"
は文字列、「100」は数値です。これもEXACTでは区別されます。
EXACT関数と他の比較方法との違い
比較方法 | 大文字小文字を区別 | 結果 |
---|---|---|
=A1=B1 | 区別しない | TRUEまたはFALSE |
EXACT(A1, B1) | 区別する | TRUEまたはFALSE |
通常の「=」比較演算子では、「Apple」と「apple」を同じとみなすため、正確な一致を求める場合はEXACTを使う必要があります。
実務での応用テクニック
結果を条件付き書式でハイライト
EXACT関数を使って、不一致のセルを自動で色付けすることも可能です。
例えばA列とB列の内容が異なる場合に赤く表示する設定:
- B列を選択
- 条件付き書式 → 新しいルール
- 数式に以下を入力: コピーする編集する
=NOT(EXACT(A1, B1))
- 書式で塗りつぶしを「赤」に設定
これで、一致していないセルが自動でハイライトされます。
EXACT関数と組み合わせたい関数
- IF関数:一致・不一致で結果を分ける excelコピーする編集する
=IF(EXACT(A1, B1), "OK", "NG")
- TRIM関数:余計なスペースを除去 excelコピーする編集する
=EXACT(TRIM(A1), TRIM(B1))
- UPPER関数 / LOWER関数:大文字小文字をそろえる excelコピーする編集する
=EXACT(UPPER(A1), UPPER(B1)) ← 大文字比較 =EXACT(LOWER(A1), LOWER(B1)) ← 小文字比較
これにより、「見た目は同じ」でも「内部的に違う」というミスを防ぐことができます。
まとめ
EXACT関数は、文字列を完全一致で比較するための強力なツールです。
データの検証やミスの洗い出しなど、業務においてさまざまな場面で活用できます。
ポイントは以下のとおりです。
- 大文字・小文字を厳密に区別する
- 空白や全角・半角の違いも反映される
- IF関数やTRIM関数と組み合わせることで実用性が高まる
- 条件付き書式と連携することで視覚的なエラー検出も可能
文字列比較の精度を高めたい場合は、ぜひEXACT関数を活用してみてください。