route add コマンドは、Windowsで手動でルーティングテーブルにエントリを追加するためのコマンドです。
ネットワークルーティングテーブルは、パケットを適切なネットワーク経路に送信するためのルールです。
このコマンドを使用することで、特定のネットワークやホストに対する通信が、指定した経路を通るように設定できます。
「 route add 」 基本的な使用方法
route add destination MASK subnet_mask gateway
destination: ルーティング対象のネットワークアドレスまたはホストアドレス。宛先です。
MASK subnet_mask: サブネットマスクを指定。省略した場合、デフォルトで 255.255.255.255 となります。
gateway: パケットが通る次のルーターやゲートウェイのアドレス。
オプション
metric: 経路の優先順位を示すメトリック値。値が小さいほど優先順位が高くなります。
route add destination MASK subnet_mask gateway metric 1
if: ルートが適用されるインターフェースの番号を指定できます。
route add destination MASK subnet_mask gateway metric 1 if 2
-p: ルートを永続的に追加します。再起動後もルートが保持されます。このオプションを指定しない場合、ルートは次回の再起動で消えます。
route add destination MASK subnet_mask gateway -p
使用例
例えば、192.168.1.0/24 ネットワークへのトラフィックを 192.168.0.1 のゲートウェイを通して送る場合、以下のようにします。
route add 192.168.1.0 MASK 255.255.255.0 192.168.0.1
確認
追加したルートを確認するには、route print コマンドを使用します。
削除
追加したルートを削除するには、route delete コマンドを使います。
route delete 192.168.1.0
route add コマンドの使用例 「VPN 接続で特定のトラフィックを別経路に誘導する」
状況:
会社のVPNに接続してリモートワークをしているとき、通常はすべてのトラフィックがVPN経由でインターネットに送信されます。
しかし、特定のウェブサイト(例えば、Googleなど)は、VPNを通さずに自宅のインターネット接続を使用してアクセスしたい場合があります。
例:
自宅のネットワークが 192.168.1.0/24 で、GoogleのIPアドレスが 8.8.8.8 とします。
次のコマンドで、Googleへのトラフィックを自宅のネットワーク経由で送るように設定できます。
route add 8.8.8.8 MASK 255.255.255.255 192.168.1.1
192.168.1.1 は自宅のルーターのゲートウェイアドレスです。
これにより、GoogleにアクセスするトラフィックはVPNを通さず、直接自宅のインターネット接続を経由するようになります。
route add コマンドの使用例 「複数のネットワークインターフェースを使用してトラフィックを分割する」
状況:
PCに有線と無線の両方のネットワーク接続があり、有線接続をオフィス内の社内ネットワーク専用に、無線接続をインターネット専用に使いたい場合。
例:
社内ネットワークが 10.0.0.0/24、インターネット接続が 192.168.1.0/24 とします。
次のコマンドで、社内ネットワークへのアクセスを有線インターフェース (インターフェース番号が2) に割り当て、
インターネットアクセスはデフォルトルートで無線インターフェース (インターフェース番号が3) を使うようにします。
route add 10.0.0.0 MASK 255.255.255.0 10.0.0.1 IF 2
route add 0.0.0.0 MASK 0.0.0.0 192.168.1.1 IF 3
10.0.0.0/24 ネットワークのトラフィックは有線接続を使用し、それ以外のトラフィックは無線接続を使用します。
route add コマンドの使用例 「特定のサーバーに接続するためにカスタムルートを追加」
状況:
ネットワーク管理者が特定のサーバー (例: 172.16.0.10) に接続するために、通常とは異なるルートを設定する必要がある場合。
例:
社内ネットワークのデフォルトゲートウェイが 192.168.1.1 であるが、特定のサーバーには別のゲートウェイ (192.168.1.254) 経由で接続する必要がある場合。
route add 172.16.0.10 MASK 255.255.255.255 192.168.1.254
特定のサーバーへのトラフィックは他のトラフィックと異なるゲートウェイを通るようになります。
route add コマンドの使用例 「バックアップインターネット接続を設定」
状況:
2つのインターネット接続がある場合で、通常はプライマリ接続を使用し、プライマリがダウンしたときにセカンダリ接続を使用するようにしたい場合。
例:
プライマリゲートウェイが 192.168.1.1、セカンダリゲートウェイが 192.168.1.2 とします。
route add 0.0.0.0 MASK 0.0.0.0 192.168.1.1 METRIC 1
route add 0.0.0.0 MASK 0.0.0.0 192.168.1.2 METRIC 10
通常はメトリック値の低いプライマリ接続を使用し、問題が発生した場合にはセカンダリ接続が使われます。
まとめ
今回は、Windowsコマンドで「route add」について解説しました。