Windows 11でVLANを設定する方法|自宅や社内ネットワークの仮想化対応

VLAN(Virtual LAN)は、ネットワークを論理的に分割する技術であり、セキュリティの向上や通信の効率化に欠かせません。企業ネットワークはもちろん、自宅の環境でもVLANを活用することで、IoT機器とPCを分離したり、ゲスト用ネットワークを構築するなどの利点があります。この記事では、Windows 11でVLANを設定する方法を、できるだけわかりやすく解説します。VLAN対応のNICやドライバ、設定ツールについても取り上げ、初心者の方でも一通りの設定が行えるよう構成しています。


VLANとは何か?基本をおさらい

VLANとは「Virtual Local Area Network」の略で、物理的には同じネットワーク上にある複数の機器を、論理的に分離して使用できるネットワーク構成のことです。これにより、例えば部署ごとにネットワークを分けたり、セキュリティ要件に応じて通信を制御することができます。

VLANはIEEE 802.1Qという規格に基づいて実装されており、各パケットにVLANタグを付加することで識別します。VLAN IDは1〜4094まで指定可能で、ルーターやスイッチがこれを基に通信を振り分けます。


Windows 11でVLANを設定するための前提条件

Windows 11でVLANを利用するには、以下の要件を満たす必要があります。

  • VLANに対応したネットワークアダプター(NIC)
  • VLAN機能を有効にできるNICドライバ
  • 管理者権限を持つユーザーアカウント

特に注意したいのが、ネットワークアダプターの対応状況です。標準のドライバではVLAN機能が無効化されていることがあり、IntelやRealtekなどの公式サイトからドライバをインストールすることで有効化できるケースが多いです。


Intel製NICでのVLAN設定手順

1. 最新のドライバをインストール

Intel製のNICを使用している場合、まずはIntel公式サイトから「PROSet for Windows Device Manager」ドライバをダウンロードしてインストールしてください。

2. デバイスマネージャーで設定

  1. Win + Xキー →「デバイスマネージャー」を開く
  2. 「ネットワークアダプター」から対象のNICを右クリック →「プロパティ」
  3. 「詳細設定」タブを選択
  4. 「VLAN ID」または「Priority & VLAN」などの項目を探す
  5. 有効にして、希望するVLAN IDを入力

ドライバによっては、VLANを複数作成するには「Intel Advanced Network Services(ANS)」を使って仮想アダプターを作成する必要があります。


Realtek製NICでのVLAN設定手順

Realtek NICの場合、VLAN対応はドライバに大きく依存します。以下の手順で確認します。

  1. Realtek公式サイトから最新版ドライバを入手
  2. インストール後、「デバイスマネージャー」 → 対象のアダプター →「詳細設定」タブへ
  3. 「VLAN ID」や「Tagged VLAN」等の項目が表示されていれば、設定が可能です

表示されない場合は、VLAN設定に非対応の可能性が高く、別のNICの利用を検討する必要があります。


PowerShellを使ってVLANを設定する方法

一部の状況では、PowerShellを使用してVLANの仮想アダプターを構成することも可能です。以下はその基本的な例です。

仮想アダプターの作成

Add-VMNetworkAdapter -ManagementOS -Name "VLAN100" -SwitchName "ExternalSwitch"
Set-VMNetworkAdapterVlan -ManagementOS -VMNetworkAdapterName "VLAN100" -Access -VlanId 100

これはHyper-Vの仮想スイッチを使用する場合の例です。通常の物理NICのVLANタグ設定は、PowerShell単体では行えないことが多く、NICドライバの機能に依存します。


スイッチやルーター側の設定も忘れずに

VLANはPC側だけでなく、ネットワーク機器(スイッチやルーター)側でも同様の設定が必要です。

例:スイッチ側の設定イメージ

  • VLAN 10 をポート1と2に割り当て
  • VLAN 20 をポート3と4に割り当て
  • PCが接続されたポートがどのVLANに属するかを設定

VLANを通したネットワーク構築をする際には、**タグ付きポート(Trunk)タグなしポート(Access)**の区別も理解しておきましょう。


VLANが設定されているか確認する方法

設定が反映されているかを確認するには、以下の方法があります。

  • ipconfig /all コマンドでVLAN用の仮想アダプターが表示されているか確認
  • ルーター側で、通信が意図通り分離されているかpingやtracertで確認
  • VLANを分けた他の機器と通信できるか試す

正常に分離されていれば、異なるVLAN IDを持つ機器同士では通信ができないはずです。


VLANが使えない場合の対処方法

VLAN設定がうまくいかない場合、以下を確認しましょう。

  • ドライバが最新かどうか
  • 「詳細設定」タブにVLAN関連項目が表示されているか
  • BIOSやUEFIでセキュリティ設定が干渉していないか
  • 企業用のセキュリティポリシー(ドメイン管理等)により制限されていないか

NICによっては、VLAN非対応であるケースも多いため、Amazonなどで「VLAN対応」と明記されたUSB LANアダプタなどを使うのも選択肢です。


まとめ|Windows 11でVLANを活用するメリット

VLANをWindows 11で設定することで、以下のようなメリットがあります。

  • ネットワークセキュリティの向上(IoTやゲスト用端末の分離)
  • トラフィックの制御によるパフォーマンス最適化
  • 社内ネットワークの部署・役割ごとの分離構築

多少の知識と機材は必要ですが、一度構築してしまえば管理がしやすくなります。ぜひ、VLAN設定を導入して、快適で安全なネットワーク環境を手に入れてください。

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