バージョン管理システム「Git」は、開発現場や個人のプロジェクト管理に欠かせないツールです。Gitの導入にあたり、最初のステップとして行うのが「リポジトリの作成」です。その際に使用されるのが、今回ご紹介する git init
コマンドです。この記事では、Linux環境でGitリポジトリを作成する方法として、git init
の基本的な使い方から、よくある注意点、便利な応用方法まで、丁寧に解説します。Git初心者の方でも、この記事を読めばスムーズにGitの導入ができるようになります。
git initとは?基本の役割を理解しよう
git init
は、Gitを使ったバージョン管理を始めるための第一歩として使われるコマンドです。このコマンドを実行すると、指定したディレクトリに .git
という隠しフォルダが作成され、そのディレクトリがGitリポジトリとして認識されます。つまり、git init
を実行した瞬間から、そのディレクトリ以下のファイル・フォルダはGitによるバージョン管理の対象となるのです。
Gitリポジトリには、以下の2種類があります。
- ローカルリポジトリ:開発者自身のマシン内に作成される
- リモートリポジトリ:GitHubやGitLabなど、ネットワーク上に配置された共有リポジトリ
git init
は、ローカルリポジトリを作成するためのコマンドであり、リモートリポジトリと連携するには追加の設定が必要です。
実践!Linuxでgit initを使ってみよう
Linux環境において、Gitがインストールされている前提で、実際にgit init
を使う流れを見ていきましょう。
1. Gitのインストール確認
まずは、Gitがインストールされているかを確認します。
git --version
インストールされていない場合は、以下のコマンドでインストール可能です(Ubuntuの場合):
sudo apt update
sudo apt install git
2. プロジェクトディレクトリの作成
次に、Git管理を始めたいプロジェクト用のディレクトリを作成します。
mkdir myproject
cd myproject
3. git initの実行
以下のコマンドでGitリポジトリを初期化します。
git init
実行後は、以下のようなメッセージが表示されるはずです。
Initialized empty Git repository in /home/user/myproject/.git/
この時点で .git
フォルダが作成され、このディレクトリはGitによって管理されるようになります。
.gitディレクトリの中身とは?
git init
実行後に作成される .git
ディレクトリは、リポジトリのすべての管理情報を保持する重要な場所です。中身を確認すると、以下のようなファイル構成になっています。
ls -la .git
主なディレクトリ構成:
config
:Gitリポジトリの設定ファイルHEAD
:現在のブランチの情報objects/
:コミットやブロブ(ファイルのスナップショット)などのオブジェクトが格納されるrefs/
:ブランチやタグの情報
この .git
フォルダを誤って削除してしまうと、リポジトリとしての機能が失われるので注意が必要です。
初期設定も忘れずに!ユーザー情報を登録する
Gitは、コミットするたびに「誰が変更したか」を記録します。そのため、Gitを使い始める前にユーザー情報を設定しておく必要があります。
git config --global user.name "Your Name"
git config --global user.email "you@example.com"
この設定は ~/.gitconfig
ファイルに保存され、すべてのリポジトリで共通して使用されます。
個別のプロジェクトで異なる情報を設定したい場合は、--global
を省略してリポジトリごとに設定します。
git initのオプション:ベアリポジトリの作成
git init
には、--bare
オプションを付けることで、ベアリポジトリを作成できます。
git init --bare project.git
ベアリポジトリとは、作業ディレクトリを持たず、共有用・リモート用のGitリポジトリとして使われる形式です。チームでの開発やサーバー上に置くリポジトリはこの形式で作られます。
通常のリポジトリでは .git
フォルダの中に情報が格納されますが、ベアリポジトリではその構成が直接ルートに展開されます。
よくあるエラーと対処法
「fatal: not a git repository」
fatal: not a git repository (or any of the parent directories): .git
このエラーは、Git管理されていないディレクトリでGitコマンドを実行したときに表示されます。git init
を忘れていないか確認しましょう。
「Permission denied」エラー
Linuxでは、特定のディレクトリに書き込み権限がない場合、git init
が失敗することがあります。この場合は、適切なパーミッションを設定するか、ユーザーの権限で操作できるディレクトリを使いましょう。
git init後に行うべき基本操作
Gitリポジトリを初期化したら、以下のような流れでファイルのバージョン管理を進めていきます。
- ファイルの作成・編集
- ステージングエリアへ追加(git add)
git add ファイル名
- コミット(git commit)
git commit -m "初回コミット"
- リモートリポジトリの登録(必要に応じて)
git remote add origin https://github.com/username/repo.git
git push -u origin main
この一連の流れで、バージョン管理のサイクルが始まります。
まとめ:git initはGit管理の出発点
git init
は、Gitによるバージョン管理を始める上で欠かせない、シンプルかつ重要なコマンドです。Linux環境での基本的な使い方から、ベアリポジトリの作成、初期設定、エラー対処までをしっかりと理解することで、安心してGitを使いこなすことができます。
「git init」で自分だけのリポジトリを作り、開発の第一歩を踏み出しましょう。慣れてくれば、複数人での共同開発やCI/CDへの応用もスムーズになります。ぜひこの記事を参考に、Gitの第一歩を踏み出してみてください。