Linuxでシステムの状態を詳しく確認したいとき、コマンドラインから得られる情報は非常に重要です。中でも「CPU」の情報は、パフォーマンスのチューニングやシステム構成の把握に欠かせません。今回は、LinuxでCPUの詳細情報を確認するための基本コマンド「cat /proc/cpuinfo
」について、具体的な出力例や活用方法を交えてわかりやすく解説します。初心者にも理解しやすい内容にしていますので、Linuxに詳しくない方もぜひ最後まで読んでみてください。
/proc/cpuinfoとは?
/proc/cpuinfo
は、LinuxでCPUに関する情報をテキスト形式で確認できる仮想ファイルです。これは「procファイルシステム」の一部で、実際のファイルではなく、システムが動的に生成する情報の集合です。
このファイルを直接読んでみると、CPUのベンダー名やモデル名、動作クロック数、キャッシュサイズ、対応しているフラグ(命令セット)など、実に多くの情報が確認できます。通常、以下のようにして参照します。
cat /proc/cpuinfo
このコマンドを入力するだけで、CPUに関する詳細な情報がズラリと表示されます。複数のコアがある場合、それぞれのコアごとに同様の情報が繰り返されます。
表示される主な項目の意味
ここでは、cat /proc/cpuinfo
の出力でよく見る項目について解説します。
processor
これはCPUの論理番号(0から始まる)です。デュアルコアやハイパースレッディングを搭載したCPUの場合、複数行が出力されることがあります。
vendor_id
CPUの製造元です。たとえば「GenuineIntel」や「AuthenticAMD」など。
cpu family
同じCPUベンダー内での世代を示します。たとえばIntelのCPUでは、ファミリー番号によってPentiumかCoreかが区別できます。
model
CPUファミリー内でのモデル番号です。ファミリーと合わせてモデルの特定に使われます。
model name
CPUの正式な製品名です。たとえば「Intel(R) Core(TM) i7-9750H CPU @ 2.60GHz」など。
stepping
マイクロアーキテクチャのリビジョン(バージョン)番号を示します。
cpu MHz
現在のCPUクロック周波数(MHz)を示します。CPUは負荷に応じてクロック数が変動するため、リアルタイムの数値です。
cache size
L2キャッシュサイズ(KB)が表示されます。たとえば「6144 KB」など。
flags
SSE、AVXなど、CPUが対応している命令セット拡張が列挙されます。暗号化処理や仮想化機能の確認に役立ちます。
実際の出力例とその読み方
以下は一例として、Intel CPUを搭載したマシンの /proc/cpuinfo
出力例です(一部抜粋):
processor : 0
vendor_id : GenuineIntel
cpu family : 6
model : 158
model name : Intel(R) Core(TM) i5-10210U CPU @ 1.60GHz
stepping : 10
cpu MHz : 2100.000
cache size : 6144 KB
flags : fpu vme de pse tsc msr pae mce cx8 apic sep mtrr ...
この例から、Intel製の第10世代Core i5(i5-10210U)であることが分かります。また、キャッシュサイズやクロック周波数、対応命令セットも確認できます。
複数コア・スレッドの確認方法
cat /proc/cpuinfo
をそのまま使用すると、すべてのコアごとに同じような情報が繰り返されて表示されます。すべてのCPUコアを一覧で確認する場合は、次のように集計も可能です。
CPUの総数(論理プロセッサ数)を確認する
grep -c ^processor /proc/cpuinfo
このコマンドで、使用可能な論理CPUの数が分かります。ハイパースレッディングを使っている場合は、物理コアより多い数が表示されることもあります。
ユニークな物理CPUソケットの数
grep "physical id" /proc/cpuinfo | sort | uniq | wc -l
これは、マシンに搭載されている物理CPUの数(ソケット数)を確認するのに使えます。
情報のフィルタリングに便利なコマンド
CPU名だけ知りたいときに、全文を眺めるのは面倒です。以下のようなコマンドを使うと、必要な情報だけを取り出せて便利です。
CPUモデル名の取得
grep "model name" /proc/cpuinfo | uniq
キャッシュサイズだけを見る
grep "cache size" /proc/cpuinfo | uniq
このように grep
や uniq
を組み合わせることで、情報の取得を効率化できます。
他のコマンドとの比較:lscpuとの違い
cat /proc/cpuinfo
は便利ですが、より見やすく整形された出力が欲しいときは lscpu
コマンドもおすすめです。
lscpu
このコマンドは、論理コア数やアーキテクチャ、スレッド/コア構成などを一目で確認できる形式で出力してくれます。/proc/cpuinfo
の内容と組み合わせて使うことで、より詳しいCPU分析が可能になります。
まとめ:CPUの詳細を知るための基本コマンド
cat /proc/cpuinfo
は、Linux環境においてCPUの詳細を手軽に確認できる重要なコマンドです。システムのスペック確認、パフォーマンスチューニング、仮想化機能の有無の確認など、幅広い場面で活用できます。出力内容を読み解く力をつけておくことで、より深くLinux環境を理解し、トラブル対応にも役立つはずです。
ぜひこのコマンドを実際に使って、自分のPCの「中身」をのぞいてみてください。