12月24日は「クリスマスイブ」として知られ、多くの人が楽しみにしている特別な日です。家族や恋人、友人と過ごす人もいれば、一人で静かに楽しむ人もいるなど、その過ごし方はさまざまです。
しかし、「イブ」という言葉の本当の意味や、世界や日本での過ごし方の違いを正確に知っている人は少ないかもしれません。この記事では、12月24日がどんな日なのか、由来や歴史、文化的な意味、そして現代の楽しみ方まで詳しく解説します。
12月24日は「クリスマスイブ」
12月24日は「クリスマスイブ」と呼ばれています。「イブ（Eve）」という言葉は、英語の「evening（夕方）」が短縮されたもので、「クリスマス前夜」という意味ではありません。
実際には、キリスト教の暦では日没から新しい日が始まるため、「クリスマスイブ」は12月24日の夜、すなわち“クリスマスの始まり”を意味します。
つまり、私たちが「クリスマス前夜」と考えている日こそ、実は「クリスマス当日の始まり」なのです。
日本では多くの人が24日の夜をメインにお祝いをしますが、キリスト教圏では25日が本番とされています。
クリスマスイブの由来と歴史
クリスマス（Christmas）は「Christ（キリスト）」＋「Mass（ミサ）」、つまり「キリストのミサ」という意味です。
イエス・キリストの誕生を祝う日として、古くからキリスト教徒によって12月25日に祝われてきました。
その前夜である24日の夜は、教会でミサ（礼拝）が行われる特別な夜とされ、信徒たちが集まり祈りを捧げます。これが「クリスマスイブ」と呼ばれるようになった由来です。
また、古代ヨーロッパでは12月24日から25日にかけて冬至の祭りが行われていました。
日照時間が最も短くなるこの時期に「太陽の復活」を祝う風習があり、のちにキリストの誕生祭と融合して現在のクリスマス文化へと発展していきました。
世界でのクリスマスイブの過ごし方
アメリカ・ヨーロッパの場合
欧米では、家族と過ごすのが一般的です。
24日の夜には家族全員が集まり、食卓を囲み、七面鳥やローストビーフなどのごちそうを楽しみます。
また、子どもたちはサンタクロースの訪れを楽しみに早めに就寝し、翌朝、ツリーの下に置かれたプレゼントを開けるのが恒例です。
ドイツや北欧諸国では
ドイツやフィンランドなどの北欧では、イブの夜にプレゼントを交換する習慣があります。
教会での礼拝を終えた後、キャンドルの灯りのもとで静かに家族と過ごす「聖なる夜」として大切にされています。
日本の場合
日本では宗教的な意味よりも「恋人の日」「家族イベントの日」として定着しています。
街はイルミネーションで輝き、レストランやホテルは予約でいっぱいになります。
また、ケンタッキーフライドチキンやクリスマスケーキを食べる文化も日本独自の楽しみ方です。
日本でのクリスマスイブの定着
クリスマス文化が日本に広まったのは明治時代以降です。
もともとキリスト教徒が少ない日本では、宗教的な意味は薄く、商業イベントとして発展していきました。
昭和中期になると、デパートや百貨店がクリスマス商戦を仕掛け、イルミネーションやプレゼント文化が広がりました。
また、1970年代以降には「恋人と過ごす日」というイメージがテレビCMなどで定着し、現在のような「ロマンチックな夜」という印象が生まれました。
特に1980年代のバブル期には、ホテルの予約やレストランのクリスマスディナーが競争になるほど人気を集め、「クリスマス＝カップルの日」という文化が確立しました。
サンタクロースの起源
クリスマスに欠かせない存在が「サンタクロース」です。
そのモデルは4世紀に実在した「聖ニコラウス」という司教です。
彼は貧しい人々を助けるために密かに贈り物をしたことから、後に「子どもたちにプレゼントを配る聖人」として語り継がれました。
この伝説がヨーロッパからアメリカへ伝わり、19世紀に現在の赤い服を着たサンタクロース像が確立されました。
コカ・コーラ社の広告で描かれた陽気なサンタの姿が世界中に広まり、今のイメージが定着したのです。
クリスマスイブの食べ物と習慣
日本では、イブの夜に「チキン」と「ケーキ」が定番になっています。
これはアメリカ文化と日本企業のマーケティングの影響が大きいです。
ケンタッキー・フライド・チキンが1970年代に打ち出した「クリスマスにはケンタッキー」というキャンペーンが大ヒットし、日本中でチキンを食べる習慣が広まりました。
また、ショートケーキも「日本独自のクリスマススイーツ」として定着し、白い生クリームと赤いいちごの組み合わせが「雪とサンタ」をイメージさせます。
家庭ではシャンメリー（ノンアルコールのスパークリング）で乾杯したり、ツリーの前でプレゼントを交換したりするのが定番の楽しみ方です。
クリスマスイブに聴きたい定番ソング
クリスマスイブを彩る音楽も欠かせません。
日本では山下達郎さんの「クリスマス・イブ」が最も有名です。
1980年代にJR東海のCMで使用され、「恋人がサンタクロース」「ラスト・クリスマス（Wham!）」などとともに、冬の定番ソングとして今も愛されています。
また、マライア・キャリーの「恋人たちのクリスマス（All I Want for Christmas Is You）」も世界的な名曲で、12月になると街中で流れる定番曲です。
音楽を聴きながらツリーを飾ったり、家族で食卓を囲んだりするだけで、一気にクリスマス気分が高まります。
現代のクリスマスイブの過ごし方
現代では、過ごし方も多様化しています。
- 家族でのホームパーティー
手作り料理やケーキを囲み、プレゼント交換を楽しむ家庭が増えています。 - カップルでのデート
夜景やイルミネーションを楽しんだり、特別なレストランでディナーを楽しむ人も多いです。 - 一人で過ごす「ソロクリスマス」
NetflixやYouTubeを見ながら、好きなスイーツを食べてゆっくり過ごす人も増加しています。
SNSの普及により、「誰かと過ごさなければいけない」という意識が薄れ、自分らしい楽しみ方を選ぶ人が増えているのも現代の特徴です。
12月24日は他にもこんな記念日
実は、12月24日は「クリスマスイブ」以外にもいくつかの記念日があります。
- 終い天神（しまいてんじん）：学問の神様・菅原道真公をまつる天満宮で、1年の感謝を捧げる日です。
- 納めの不動：不動明王をまつる寺で、1年最後の縁日として多くの人が参拝します。
- 愛の日：恋人や家族に感謝を伝える日として、日本では静かに広まりつつあります。
このように、12月24日は宗教的な意味だけでなく、「感謝」「愛」「平和」を象徴する日として、多くの人にとって大切な時間となっています。
まとめ
12月24日は、単なる「クリスマス前夜」ではなく、古くから「聖なる夜」として大切にされてきた特別な日です。
宗教的な意味合いを超えて、今では家族や恋人、友人と「愛を伝える日」「感謝する日」として広く親しまれています。
過ごし方は人それぞれですが、大切なのは「誰かを想う気持ち」。
一年の終わりに近いこの日、自分や周りの人に感謝の気持ちを伝えながら、心温まる夜を過ごしてみてはいかがでしょうか。