Laravelでの開発をスムーズに進めるには、開発環境と本番環境をきちんと分けて運用することが大切です。
本記事では、ローカル(テスト環境)でVisual Studio Code(VSCode)を使ってLaravelを開発し、ConoHa WingのLinuxサーバー上の本番環境に効率的にデプロイ(更新)する方法をわかりやすく解説します。
SSH接続、Git運用、VSCode拡張機能などを組み合わせた「ミスの少ない効率的な仕組み」を構築する手順を紹介します。
VSCodeとLaravelの相性の良さ
LaravelはPHPフレームワークの中でも生産性が高く、VSCodeとの相性も抜群です。
特に以下の点で効率的な開発が可能になります。
- コード補完(IntelliSense):Laravel SnippetsやPHP Intelephenseでルート・モデル・メソッド補完が可能。
- デバッグ:Laravel DebugbarやVSCodeのPHP Debug拡張を使えば、ブレークポイントを設定してデバッグ可能。
- Git連携:VSCode内でコミット・プッシュ・差分管理ができる。
- ターミナル統合:VSCode内でArtisanコマンド(例:
php artisan migrate
)を直接実行できる。
つまりVSCodeは「IDE+ターミナル+Gitツール」が一体化したLaravel開発の最適な環境といえます。
ローカル開発環境の構築手順
まずはローカル環境をセットアップして、Laravelアプリを動かします。
① PHP・Composer・Laravelのインストール
WindowsまたはmacOSで以下をインストールします。
# Composerインストール確認
composer -V
# Laravelプロジェクト作成
composer create-project laravel/laravel testapp
cd testapp
# 開発サーバー起動
php artisan serve
ブラウザで http://127.0.0.1:8000
にアクセスできれば、開発環境は成功です。
② VSCode拡張機能の導入
次の拡張機能を導入すると開発効率が大幅に上がります。
- PHP Intelephense:Laravel補完が強力
- Laravel Blade Snippets:Bladeテンプレート補完
- Laravel Artisan:ArtisanコマンドをGUIで実行
- GitLens:Git履歴を視覚的に確認
- Remote – SSH:サーバー接続のために後述で使用
ConoHa Wingサーバー側の準備
次に、本番環境となるConoHaのLinuxサーバーをセットアップします。
① Apache・PHP・Composerをインストール
ConoHa VPSにSSHでログインして、以下を実行します。
sudo dnf install -y httpd php php-mbstring php-xml php-pdo php-mysqlnd unzip composer git
sudo systemctl enable httpd
sudo systemctl start httpd
② Laravelを配置
/var/www/html 配下にアプリを置きます。
ただし、後述のGit運用を前提とするため、ここでは空のディレクトリを作っておきます。
sudo mkdir -p /var/www/html/laravelapp
sudo chown -R ec2-user:ec2-user /var/www/html/laravelapp
③ ApacheのVirtualHost設定
/etc/httpd/conf.d/laravel.conf を編集して以下のように設定します。
<VirtualHost *:80>
DocumentRoot "/var/www/html/laravelapp/public"
ServerName example.com
<Directory "/var/www/html/laravelapp">
AllowOverride All
Require all granted
</Directory>
</VirtualHost>
保存後にApacheを再起動。
sudo systemctl restart httpd
Gitでローカルと本番を連携する方法
ここからが「効率化の肝」です。
VSCode+Gitを使うことで、ローカルの更新を本番に安全かつ簡単に反映できます。
① ローカルでGitリポジトリを作成
cd testapp
git init
git add .
git commit -m "initial commit"
② サーバー側に「ベアリポジトリ」を作成
ConoHaサーバー上で、アプリを配置する場所とは別にリポジトリ専用ディレクトリを作ります。
mkdir ~/repo.git
cd ~/repo.git
git init --bare
③ post-receiveフックを設定
本番ディレクトリに自動デプロイするためのスクリプトを設定します。
nano ~/repo.git/hooks/post-receive
以下を記入:
#!/bin/bash
GIT_WORK_TREE=/var/www/html/laravelapp git checkout -f
cd /var/www/html/laravelapp
composer install --no-dev
php artisan migrate --force
権限を付与:
chmod +x ~/repo.git/hooks/post-receive
④ ローカルからプッシュ設定
ローカルのVSCodeターミナルで以下を実行します。
git remote add production ssh://user@your-server-ip/home/user/repo.git
git push production master
これで、本番サーバーの /var/www/html/laravelapp
に最新コードが反映されます。
VSCodeのRemote-SSHを使って直接編集
Git運用が基本ですが、軽微な修正やサーバー調査にはVSCodeの「Remote – SSH」拡張機能が便利です。
設定手順
- VSCodeの拡張機能から Remote – SSH をインストール。
- コマンドパレット(Ctrl+Shift+P) → 「Remote-SSH: Connect to Host」
- SSH設定ファイル(
~/.ssh/config
)に以下を追加。
Host conoha
HostName your-server-ip
User ec2-user
IdentityFile ~/.ssh/id_rsa
conoha
を選択して接続。- サーバー上の
/var/www/html/laravelapp
を開いて編集可能になります。
この機能を使えば、VSCodeの中から本番環境に直接アクセスしてログや設定を確認できます。
自動デプロイの高度化(オプション)
もしGit操作を毎回行うのが面倒であれば、以下のような仕組みも導入可能です。
① GitHub経由で自動デプロイ
- GitHub Actionsで「push時にConoHaへSSHで自動デプロイ」する設定を行う。
- テストブランチはローカル、本番はmainブランチ、と使い分けると安全。
② rsyncコマンドで差分アップロード
変更分のみを同期したい場合は、VSCodeターミナルで以下を使います。
rsync -avz --delete ./ user@your-server-ip:/var/www/html/laravelapp
これもVSCodeのタスクに登録すれば、ワンクリック更新が可能です。
効率的な開発・運用のまとめ
Laravel開発を効率化するためのポイントは次の通りです。
- ローカル環境(VSCode+Artisan)で快適に開発
- Gitでバージョン管理して本番に安全デプロイ
- VSCode Remote-SSHでサーバーを直接操作
- rsyncやGitHub Actionsで自動化も可能
この仕組みを整えておくことで、毎回FTPでアップロードしたり、環境を壊したりするリスクを最小限にできます。
特にConoHa VPSは安定しており、Laravelとも相性が良いため、中小規模の本番運用にも最適です。
まとめ
VSCodeは単なるエディタではなく、Laravel開発を加速させる「統合開発プラットフォーム」です。
ローカルで開発し、ConoHaサーバーにGitまたはSSH経由で効率的に反映する流れを身につけておけば、開発から本番反映までを一人でも安心して管理できます。
この構成を一度整えておけば、次のプロジェクトでも同じ仕組みを再利用できるため、今後のLaravel開発を大幅にスピードアップできるでしょう。