登録販売者試験では、人体の構造と機能に関する基礎知識が問われます。中でも「呼吸器系」と「循環器系」は頻出分野であり、薬の適切な説明や販売を行う上でも、しっかりとした理解が求められます。本記事では、呼吸器系と循環器系の基本的な構造・働きから、よく出題される用語や症状、関連する薬のポイントまで、試験対策に役立つ内容をわかりやすく解説します。これから学習を始める方も、復習したい方にも役立つ内容ですので、ぜひ最後までご覧ください。
呼吸器系の構造と役割
呼吸器系は、空気から酸素を取り入れ、体内の二酸化炭素を排出する働きを持つ器官の集合体です。主な構成要素は以下の通りです。
- 鼻腔(びくう):空気を取り込む入口。粘膜と鼻毛で異物を除去。
- 咽頭(いんとう)・喉頭(こうとう):空気と食べ物の通り道を振り分ける機能。
- 気管・気管支:空気を肺へ導く管。
- 肺:ガス交換(酸素と二酸化炭素の交換)を行う器官。
呼吸には「外呼吸」と「内呼吸」があります。外呼吸は肺で行われるガス交換、内呼吸は細胞内でのエネルギー産生に関わる呼吸を指します。
呼吸器系の主な疾患と症状
試験では、呼吸器系の疾患やそれに伴う症状についても頻出です。代表的なものを押さえておきましょう。
- かぜ(感冒):ウイルス感染が原因。くしゃみ、鼻水、せき、発熱などが現れます。
- 気管支炎:気管支の炎症。強いせきやたんを伴う。
- 喘息(ぜんそく):気道が慢性的に炎症し、発作的に息苦しさが起こる。
- 肺炎:細菌やウイルスによる肺の感染症。高熱、呼吸困難など。
呼吸器系に用いられる主な医薬品
呼吸器系の症状を緩和するための薬剤も出題されます。市販薬でよく見られるものを確認しましょう。
- 鎮咳薬(ちんがいやく):せきを抑える。デキストロメトルファンなどが有名。
- 去痰薬(きょたんやく):たんを出しやすくする。カルボシステインなど。
- 抗ヒスタミン薬:鼻水・くしゃみを抑える。クロルフェニラミンなど。
- 解熱鎮痛薬:熱や痛みを和らげる。アセトアミノフェンなど。
これらの薬は症状に応じて使い分けることが大切です。特に喘息のある方への鎮咳薬の使用は注意が必要です。
循環器系の構造と役割
循環器系は、血液を全身に循環させることで、酸素や栄養を運搬し、老廃物を排出する働きを持っています。主な構成は以下の通りです。
- 心臓:血液を送り出すポンプ。左心房・左心室・右心房・右心室の4つの部屋で構成されます。
- 血管:
- 動脈:心臓から血液を運ぶ。
- 静脈:心臓に血液を戻す。
- 毛細血管:酸素や栄養の受け渡しを行う。
血液循環には「体循環(大循環)」と「肺循環(小循環)」があります。体循環は全身への血液供給、肺循環は肺でのガス交換を担います。
循環器系の主な疾患と症状
循環器系は全身の健康に直結する重要な器官です。試験では以下のような病態が問われます。
- 高血圧症:血圧が慢性的に高い状態。頭痛や動悸、場合によっては自覚症状が乏しい。
- 動脈硬化:血管が硬くなり、血流が悪くなる。心筋梗塞や脳卒中の原因に。
- 心不全:心臓のポンプ機能が低下し、血液を十分に送れなくなる状態。
- 狭心症・心筋梗塞:心臓の冠動脈が狭くなる、あるいは詰まることで起こる疾患。胸痛が特徴。
循環器系に用いられる主な医薬品
登録販売者試験では、医師の処方が必要な医薬品については詳細までは問われませんが、一般用医薬品で販売される範囲の薬については理解しておく必要があります。
- 血圧降下薬(登録販売者が扱うものは限られますが、一般的な理解は必要)
- 強心薬成分(カフェインなど):一部のかぜ薬に配合されていることもあります。
- ビタミンEやビタミンC:血管の健康を保つサプリメントとして販売されることがあります。
- 漢方薬:動悸や息切れに使われる「牛黄」や「人参」配合のものもあります。
試験に出やすいポイントまとめ
以下のような点は試験でよく問われます。復習の際の参考にしてください。
- 呼吸器系では「かぜ症候群」「鎮咳薬と去痰薬の違い」「抗ヒスタミン薬の副作用」など。
- 循環器系では「心臓の構造」「動脈と静脈の違い」「体循環と肺循環」など。
- それぞれの症状に合わせた適切な薬の選択と注意点。
- 高齢者や持病のある人への服薬指導に関する基礎的な理解。
まとめ
呼吸器系と循環器系は、登録販売者試験において非常に重要なパートです。身体の基本的な仕組みを理解することで、医薬品の正しい使用や適切な接客につながります。本記事を参考に、繰り返し学習しながら知識を定着させていきましょう。過去問演習とセットで学ぶことで、合格への近道となります。