退職金は、長年働いた成果への報酬とも言えるお金です。しかし、「退職金っていくらもらえるのが普通?」「自分の会社は少ないのでは?」と気になる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、退職金の相場について、年代別・業種別・勤続年数別に詳しく解説します。あわせて、退職金制度の種類や計算方法、受け取り方による税金の違いまで、わかりやすくご紹介します。将来の生活設計や転職・退職を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
退職金とは?基本的な仕組みと目的
退職金とは、会社を退職する際に企業から支給される一時金や年金のことです。多くの企業では、長期間勤めた社員に対して、功労金や慰労金の意味を込めて支払われます。
目的としては、次のようなものが挙げられます。
- 長期勤続を促すインセンティブ
- 老後資金の支援
- 離職後の生活安定
制度としては「退職一時金制度」と「確定給付企業年金」や「確定拠出年金(企業型DC)」など、いくつかの形があります。退職金制度は企業ごとに異なるため、自社の制度の内容を理解することが重要です。
退職金の平均相場(全体の平均)
厚生労働省「退職給付(一時金・年金)制度の実態調査」(直近の調査)によると、定年退職(勤続35年以上)の場合の平均退職金額は以下の通りです。
- 大卒:2,288万円
- 高卒:1,984万円
ただし、これは大企業や公務員などを含む全国平均のため、中小企業の場合はもっと低い傾向にあります。
勤続年数別の退職金相場
退職金は、一般的に勤続年数に応じて支給額が増えていきます。以下は目安となる金額です。
勤続年数 | 退職金の目安(大卒・一般企業) |
---|---|
10年 | 100万〜300万円程度 |
20年 | 500万〜800万円程度 |
30年 | 1,200万〜2,000万円程度 |
35年以上 | 2,000万円以上 |
企業の規模や業種によって大きく差が出るため、参考値として見てください。
業種別の退職金の違い
退職金の額は、業種によっても大きく異なります。
- 公務員・インフラ系(電力・ガスなど):退職金が高く、2,500万以上も珍しくありません
- 製造業・大手メーカー:1,500万〜2,000万円前後
- IT・広告・ベンチャー系:退職金制度がそもそもない場合もある。あっても数百万円程度
- 小売・外食・サービス業:数十万〜300万円程度にとどまることも
退職金制度がない企業では、自主的な資産形成が重要になります。
中小企業と大企業の退職金格差
中小企業と大企業では、退職金の額に大きな開きがあります。
- 大企業(従業員1000人以上):平均1,500万〜2,000万円
- 中小企業(従業員100人未満):平均500万〜1,000万円程度
理由は、資金余力・制度の整備状況・人件費構造の違いです。中小企業では退職金制度そのものがない場合もあります。
退職金の計算方法と具体例
退職金は企業独自の計算式によって決まりますが、よく使われる計算方法の一例を紹介します。
コピーする編集する退職金 = 基本給 × 勤続年数 × 支給率
例:月給30万円、勤続30年、支給率1.5の場合
→ 30万円 × 30年 × 1.5 = 1,350万円
支給率は勤続年数や役職で異なり、評価や退職理由(定年、早期退職、自己都合など)でも変動します。
退職金の受け取り方と税金の違い
退職金は一時金で受け取る方法と年金として分割で受け取る方法があります。
- 一時金で受け取る場合
→「退職所得控除」により、かなりの金額が非課税になります。
→ 課税対象額が半分になる優遇あり。 - 年金で受け取る場合
→「公的年金等控除」が使えますが、一時金より税負担は大きくなることが多いです。
節税の観点では、一時金の受け取りが有利になるケースが多いです。
自分の退職金を知るには?
自社の退職金制度がどうなっているかを確認するには、以下の方法があります。
- 就業規則や退職金規程の確認
- 総務・人事部への問い合わせ
- 退職金制度があるか、また支給条件を明示しているかをチェック
また、退職前に「退職金見込み額の通知」などが出る企業もあります。将来設計に備えて、早めに確認しておくと安心です。
退職金が少ない・ない場合の備え方
退職金に頼れない場合は、以下のような備えが重要です。
- **iDeCo(個人型確定拠出年金)**の活用
- つみたてNISAなどの資産運用
- 企業年金に代わる退職金共済制度(中小企業退職金共済など)への加入
早いうちから老後資金の準備をしておくことで、不安を軽減できます。
まとめ:退職金の相場は「知って備える」ことが重要
退職金の相場は、年齢・勤続年数・業種・企業規模によって大きく異なります。
定年退職で2,000万円を超えるケースもあれば、数十万円しかもらえない場合もあるため、自社の制度を正しく理解することが必要です。
退職金に過度な期待をせず、自分でも老後資金を形成する準備を始めることが、安心した将来につながります。