退職金は勤続年数でどう変わる?損をしないために知っておきたい基礎知識

退職金は、長く働けば働くほどもらえる額が増えると思われがちですが、実は会社ごとに仕組みや計算方法が異なります。
勤続年数がどれくらい影響するのか、自分がどのくらいの退職金をもらえるのか、気になる方も多いでしょう。
この記事では、「退職金」と「勤続年数」の関係に焦点を当てて、わかりやすく解説していきます。
これから転職を考えている方や、退職を検討している方にも役立つ情報を紹介します。


退職金の基本的な仕組みとは

退職金とは、会社を退職する際に支給されるお金のことです。
これは長年の勤労に対する功労金や生活支援金として支給される意味合いがあり、法的な義務はありませんが、多くの企業が制度として導入しています。

支給方法は大きく分けて2種類あります。

  • 一時金型:退職時にまとまった額を一括で支給するもの
  • 年金型:退職後、定期的に一定額を受け取るもの(企業年金など)

さらに、退職理由によって金額に差が出るのも特徴です。
一般的には「定年退職」「自己都合退職」「会社都合退職」で金額に違いが生じます。


勤続年数が退職金に与える影響

退職金の計算において、勤続年数は非常に重要な要素です。
多くの企業では「勤続年数×基本給×係数」や「退職金テーブル(支給率表)」を用いて計算しています。

たとえば、以下のようなイメージです:

  • 勤続10年で支給率が30%
  • 勤続20年で支給率が60%
  • 勤続30年で支給率が100%

このように、長く勤務するほど支給率が上がる仕組みになっていることが一般的です。
ただし、「10年未満は支給なし」といった制限を設けている企業もあるので注意が必要です。


勤続年数別・退職金の目安額

では実際に、どのくらいの勤続年数でどの程度の退職金がもらえるのでしょうか。
以下は、厚生労働省が公表している調査結果(退職金制度実態調査)を元にした目安です。

  • 勤続5年以下:数万円〜50万円程度(支給なしの企業も多い)
  • 勤続10年程度:100万円〜300万円程度
  • 勤続20年程度:500万円〜1,000万円程度
  • 勤続30年以上:1,000万円〜2,000万円以上

もちろん、これはあくまで平均値であり、業種や企業規模、就業形態によって大きく変わります。
たとえば、大企業や公務員では高額になる傾向がありますが、中小企業では退職金制度がないケースも少なくありません。


退職理由と退職金の関係

同じ勤続年数でも、退職理由によって支給額が大きく変わる場合があります。

自己都合退職

自分から申し出て退職する場合は、退職金が減額されることが一般的です。
支給率が低くなるか、一定年数以下では不支給ということもあります。

定年退職

最も高い支給率が適用されるケースが多いです。
勤続30年以上かつ60歳以降の退職など、いわゆる満了型の退職です。

会社都合退職(リストラなど)

企業側の理由による退職では、自己都合よりも有利な条件で支給されることが多く、割増退職金が支給される場合もあります。


退職金制度がない会社もある?

意外に思われるかもしれませんが、中小企業やベンチャー企業では、退職金制度そのものがないところも増えています。
理由としては、終身雇用制度の崩壊や、コスト負担の問題、柔軟な人材確保の方針などが挙げられます。

その代わりに、確定拠出年金(DC)やiDeCoなど、自分で積み立てるタイプの制度を導入している企業も増えています。


転職や早期退職で退職金はどうなる?

「転職を考えているが、退職金が減るのが気になる…」という声も多く聞かれます。
勤続年数が短くなると当然退職金額も減る可能性が高いですが、企業によっては「中途採用でも同等の退職金制度」が用意されている場合もあります。

また、近年では「企業型確定拠出年金(DC)」を採用している会社もあり、転職時に資産を持ち運べるポータビリティがあるため、個人型iDeCoなどへの移行も可能です。


退職金を増やすためにできること

退職金は基本的に企業が制度として用意するものですが、個人でできる準備や工夫もあります。

  • 勤続年数を長くする(転職を控える)
  • 会社の退職金制度を事前に把握する
  • iDeCoやつみたてNISAなどで資産形成を併用する
  • 退職時期を調整する(年度末・定年到達など)

とくに「退職金の規定」をしっかり確認しておくことが重要です。就業規則や人事部への問い合わせで確認できます。


まとめ:退職金と勤続年数の関係を理解しておこう

退職金は、人生後半の経済基盤に大きく影響するお金です。
勤続年数が長ければ長いほど有利になる傾向はあるものの、企業の制度や退職理由によってその金額は大きく変わります。

転職や早期退職を検討する際は、退職金制度を事前に調べ、自分のライフプランにどれくらい影響するのかを考えることが大切です。
また、自分でできる資産形成を併せて行うことで、将来の不安を減らすことができます。

「今の会社に何年勤めるか?」それが将来の退職金に直結する時代だからこそ、今のうちから備えておきましょう。

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