今回は、「行かせていただきます」という表現について解説します。
「行かせていただきます」とは?誤った敬語?
「行かせていただきます」は、以下の要素から成り立っています:
行く 動作を表す動詞。
~させて: 「自分が行く」という行為について、相手の許可を得ることを示す補助動詞の形式。
いただきます: 「~もらう」の謙譲語。自分の行為をへりくだり、相手に敬意を表す形。
「行かせていただきます」は、「(自分が)行くことを相手に許可していただきます」という意味を持ちます。
これにより、単に「行きます」と言うよりも、相手への敬意や配慮が込められた表現になります。
この表現は敬語として正しいですが、注意が必要です。以下の点を考慮してください。
・許可が関係する場合
相手の許可や同意を得る必要がある状況では適切です。
例えば、目上の人に「この会議に参加させていただきます」と伝える場合、「自分が参加することを許可していただく」というニュアンスが自然です。
・単なる報告には不適切な場合
許可や同意が関係しない場面で使うと、不自然に感じられる場合があります。
例えば、「すぐに行かせていただきます」と常に使用すると、やや過剰な表現に思われることもあります。
この場合、「すぐに参ります」や「ただいま伺います」の方が適切です。
「行かせていただきます」の使用方法
「行かせていただきます」が適切な場合の例文を紹介します。
「行かせていただきます」が適切に使用するパターンは、「相手に許可を求めたい場合」と「自分の行動を控えめに表現したい場合」です。
上司に伝える場合
「この資料の準備ができましたので、会議室に行かせていただきます。」
お客様に伝える場合
「少々お待ちくださいませ。資料を準備して、お客様のもとへ行かせていただきます。」
イベントに参加する場合
「本日はこのような素晴らしいイベントにご招待いただき、誠にありがとうございます。それでは、会場に行かせていただきます。」
顧客訪問する場合
「お客様先へ行かせていただきます。何かお申し付けがございましたら、遠慮なくお申し付けください。」
外出の許可を求める場合
「少し外まで行かせていただきます。すぐに戻ります。」
「行かせていただきます」の言い換え
状況や相手との関係性に合わせて、「行かせていただきます」を以下の表現に置き換えることもできます。
「この資料の準備ができましたので、会議室に行かせていただきます。」
→ 「この資料の準備ができましたので、会議室に参ります。」
「ちょっと外まで行かせていただきます。すぐに戻ります。」
→ 「ちょっと外まで行ってきます。すぐに戻ります。」
「少々お待ちくださいませ。資料を準備して、お客様のもとへ行かせていただきます。」
→ 「少々お待ちくださいませ。資料を準備して、お客様のもとへお伺いいたします。」
「本日はこのような素晴らしいイベントにご招待いただき、誠にありがとうございます。それでは、会場に行かせていただきます。」
→ 「本日はこのような素晴らしいイベントにご招待いただき、誠にありがとうございます。それでは、会場に参ります。」
「お客様先へ行かせていただきます。何かお申し付けがございましたら、遠慮なくお申し付けください。」
→ 「お客様先へお伺いいたします。何かお申し付けがございましたら、遠慮なくお申し付けください。」