学術誌や研究会から査読依頼を受けることは、研究者にとって光栄なことです。
しかし、研究の繁忙期や専門分野外の内容など、やむを得ない理由で引き受けられない場合も少なくありません。
その際に大切なのは、相手に失礼にならないよう誠実かつ簡潔に断ることです。
本記事では、査読依頼を断る際の基本的なマナーや注意点を解説し、すぐに使える例文を紹介します。
「断るのが申し訳ない」と感じる方も安心できるよう、状況別の文例をまとめましたので、ぜひ参考にしてください。
査読依頼を断るときの基本マナー
査読は学術活動における重要な役割ですが、すべての依頼を無理に引き受ける必要はありません。断る際には以下の点を意識しましょう。
- できるだけ早く返答する
編集者や依頼者は査読者の確定を待っています。断る場合でも早めに伝えることがマナーです。 - 理由は簡潔に伝える
「多忙のため」「専門外のため」など、簡潔で正直な理由を添えましょう。詳細に説明する必要はありません。 - 感謝を伝える
依頼してもらったこと自体が評価の証です。「光栄に存じます」「ご依頼いただきありがとうございます」などの言葉を添えると丁寧です。 - 代替案を提示する場合もある
もし可能なら、他の適任者を紹介するなど、協力的な姿勢を見せるとより好印象です。
査読依頼を断る際の注意点
- 感情的な言葉は避ける:「面倒なのでできません」などは絶対NGです。
- 断る決意を明確にする:「できればお引き受けしたいのですが…」と曖昧にすると、相手に期待を持たせてしまいます。
- 今後の関係を考慮する:学会や研究者コミュニティは狭い世界です。礼儀を欠いた対応は自分の評価に影響する可能性があります。
査読依頼を断る例文(多忙の場合)
件名:査読依頼の件について(辞退のお願い)
○○編集委員会
○○先生
このたびは査読のご依頼をいただき、誠にありがとうございます。
大変光栄に存じますが、現在研究・業務が立て込んでおり、十分な時間を確保することが難しい状況です。
誠に申し訳ございませんが、今回の査読につきましては辞退させていただきたく存じます。
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。
査読依頼を断る例文(専門外の場合)
件名:査読依頼の件について(辞退のお願い)
○○編集委員会
○○先生
このたびは査読のご依頼を賜り、厚く御礼申し上げます。
大変光栄ではございますが、今回の論文は私の専門分野からやや外れており、適切に査読を行うことが難しいと判断いたしました。
そのため、誠に恐縮ながら辞退させていただければと存じます。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
査読依頼を断る例文(期限が合わない場合)
件名:査読依頼の件について(辞退のお願い)
○○編集委員会
○○先生
このたびは査読のご依頼をいただき、誠にありがとうございます。
大変光栄に存じますが、提示いただいた期限までに査読を完了することが難しい状況でございます。
ご期待に沿えず誠に申し訳ございませんが、今回は辞退させていただきたくお願い申し上げます。
査読依頼を断る例文(健康上の理由)
件名:査読依頼の件について(辞退のお願い)
○○編集委員会
○○先生
このたびは査読のご依頼をいただき、心より感謝申し上げます。
誠に光栄なことでございますが、現在体調不良により、十分な時間を確保して責任ある査読を行うことが困難な状況です。
大変心苦しいのですが、今回の査読については辞退させていただきたく存じます。
査読依頼を断る例文(代替案を提示する場合)
件名:査読依頼の件について(辞退のお願い)
○○編集委員会
○○先生
このたびは査読のご依頼を賜り、誠にありがとうございます。
大変光栄ではございますが、現在の業務状況から査読をお引き受けすることが難しい状況です。
誠に恐縮ながら今回は辞退させていただきたく存じます。
なお、本件に関しては、○○大学の△△先生がご専門であり、適任かと存じます。
ご参考までにお伝え申し上げます。
まとめ
査読依頼を断ることは決して悪いことではなく、自分の状況を誠実に伝えることが重要です。
ポイントは「感謝」「簡潔な理由」「早めの連絡」です。
今回紹介した例文を参考に、自分の状況に合わせて調整すれば、相手に不快感を与えず丁寧に断ることができます。
学術活動は長い付き合いになるものですので、断る場合でも誠意ある対応を心がけましょう。