ビジネスにおいて契約を依頼される場面は少なくありません。
しかし、すべての契約を受けられるわけではなく、条件が合わない場合や自社の方針にそぐわない場合、丁寧にお断りする必要があります。
その際に気をつけたいのは、相手との関係を悪化させないことです。強く拒絶したり、曖昧に濁したりすると、誤解やトラブルの原因になりかねません。
本記事では「契約を断るときのポイント」と「実際に使える例文」をまとめました。メールや対面でのやりとりに活用できる内容になっていますので、ぜひ参考にしてください。
契約を断るときに意識すべきポイント
契約を断る際には、単に「できません」と伝えるのではなく、理由や背景を丁寧に伝えることが大切です。ここでのポイントは以下の3点です。
- 相手を否定しない表現を使う
→「御社の提案は素晴らしいのですが」など前置きを入れると、相手の努力を尊重できます。 - 断る理由を明確にする
→「予算の都合」「自社方針」「既存取引先との関係」など、相手が納得できる理由を添えましょう。 - 今後の関係を示唆する
→「また機会があればぜひ」など、将来的なつながりを残す表現が望ましいです。
契約を断るときに避けたいNG表現
一方で、以下のような表現は避けた方が良いでしょう。
- 曖昧な返事：「検討しておきます」「また連絡します」など曖昧な断りは、相手に期待を持たせてしまいます。
- 感情的な言葉：「そんな条件では無理です」など強い否定は印象を悪くします。
- 一方的な拒否：「必要ありません」など、理由を一切伝えない断り方も避けましょう。
契約を断る例文①：条件が合わない場合
「このたびはご提案をいただき、誠にありがとうございます。大変魅力的な内容ではございますが、現在の弊社の予算と条件が合わず、契約を進めることが難しい状況です。せっかくご検討いただいたにもかかわらず恐縮ですが、今回は見送らせていただきます。また機会がございましたら、ぜひご相談させていただければ幸いです。」
解説：予算や条件はよくある理由です。相手を否定せず「条件が合わない」と伝えることで角が立ちません。
契約を断る例文②：社内方針による場合
「ご提案内容を拝見し、社内でも検討を重ねましたが、現行の方針と異なるため、今回の契約を見送らせていただくこととなりました。御社の取り組みには大変関心を持っておりますので、別の機会に改めてご相談させていただければと存じます。」
解説：会社方針を理由にすると、個人の判断ではないため角が立ちにくくなります。
契約を断る例文③：すでに他社と取引している場合
「このたびは丁寧なご提案をいただき、心より感謝申し上げます。大変ありがたいお話ではございますが、現在すでに同様のサービスを他社様と契約しており、重複を避けるため今回は見送らせていただきます。今後、新たな機会がございましたらぜひご連絡をいただければ幸いです。」
解説：既存契約を理由にするのは正当性が高く、相手も理解しやすい断り方です。
契約を断る例文④：タイミングが合わない場合
「ご提案いただき誠にありがとうございます。大変興味深い内容でございますが、現在は新規契約を進められる体制が整っておらず、今回は見送らせていただきます。時期を改めて検討できる際には、ぜひご連絡を差し上げたいと存じます。」
解説：「今は難しい」という理由は柔らかい断り方です。将来的な可能性を残しておけます。
契約を断る例文⑤：サービスが自社に適していない場合
「このたびはご丁寧なご提案をいただき、ありがとうございます。内容を検討いたしましたが、現状の弊社業務には十分に適合しないと判断し、今回は契約を見送らせていただきます。貴重なお時間をいただきながら、このような結果となり大変心苦しく存じます。」
解説：「適していない」という表現で、サービス自体を否定するのではなく「自社に合わない」と伝えるのがポイントです。
契約を断る例文⑥：見積もりが高額な場合
「ご提案をいただきありがとうございました。大変参考になる内容でしたが、見積金額が当初の想定を超えており、今回は契約を見送らせていただく判断となりました。コスト面で調整が可能な機会があれば、ぜひご相談させていただければと存じます。」
解説：金額の問題は正直に伝えても角が立ちにくい理由のひとつです。
契約を断る例文⑦：取引を拡大する余裕がない場合
「このたびはご丁寧にご説明いただき、ありがとうございました。誠に申し訳ございませんが、現在の弊社の体制では新たな取引を増やす余裕がなく、契約を進めることが難しい状況です。将来的に体制が整いました際には、ぜひ改めてお話を伺いたく存じます。」
解説：リソース不足を理由にすることで、相手を否定せずに断ることができます。
契約を断る際のまとめ
契約を断る場面では、相手の提案を尊重しつつ、自社の事情を丁寧に伝えることが重要です。
「条件が合わない」「方針と違う」「タイミングが合わない」など、よくある理由を活用することで相手も納得しやすくなります。
また、完全に関係を断つのではなく「またの機会に」「今後もよろしくお願いいたします」と添えることで、今後のビジネスチャンスを残すことができます。
契約を断るのは気が重いことですが、適切な言葉選びをすれば円満に関係を保つことができます。ぜひ本記事の例文を参考に、実際のやりとりに活かしてみてください。