御歳暮を贈る際に欠かせない「のし紙」。
しかし、表書きはどう書くのか?名前の書き方、外のしと内のしの違いは?水引の本数は?など、いざ書こうとすると意外と迷うポイントが多いものです。特にビジネスの場面では、相手に失礼がないよう正しいマナーを知っておくことが大切です。本記事では、御歳暮ののし紙の基本から実際の書き方、伝統的なマナー、よくある間違い、シーン別の使い方まで、初めての方でも安心して準備できるよう、丁寧にわかりやすく解説していきます。
御歳暮の「のし」とは?基本の意味と役割
御歳暮に添える「のし」は、日本の贈答文化の中で重要な役割を果たします。のしとは、正式には「熨斗(のし)」と書き、もともとは「あわび」を薄く伸ばしたものを祝い事に添える風習がルーツです。現在ではその名残として、のし紙の右上に小さく印刷されている黄色いのし飾りが象徴的な存在となっています。
のし紙は、贈り物をより丁寧に見せるためのものであり、「気持ちを込めて贈ります」という贈り手の礼儀を表すものです。御歳暮の場合、年末の感謝やお礼の気持ちを形として相手へ伝えるため、のし紙を正しく使うことが大切です。
御歳暮ののし紙の基本構成(表書き・水引・名前)
御歳暮ののし紙には、以下の3つの要素が含まれます。
● 表書き(上段)
御歳暮の場合、表書きには「御歳暮」と記載します。
11月末〜12月25日頃までに贈る贈答品に使用し、それ以降は「御年賀」や「寒中見舞い」へ表書きを変えるのが一般的です。
● 水引(中央)
御歳暮には「紅白の蝶結び(花結び)」が使われます。
蝶結びは「何度あっても良いこと」を表すため、季節の挨拶や贈り物に用いられます。婚礼用の「結び切り」を使うと意味が異なるため注意しましょう。
● 贈り主の名前(下段)
一般的にはフルネームを記載します。会社名を添える場合は、
・会社名
・部署名
・氏名
という順番で書くのが丁寧です。
御歳暮 のしの正しい書き方【表書き編】
表書きは、のし紙の上部中央に記載します。
基本は「御歳暮」と楷書で書くのが一般的で、筆ペンまたは毛筆を使うと正式な印象になります。
【表書きの注意点】
- 濃い黒の墨で書く
薄墨は弔事に使用するためNGです。 - 印刷でも失礼に当たらない
最近は百貨店やオンラインショップの印刷のしが主流で、ビジネスでも問題ありません。 - 略字や崩し字を使わない
正式な贈答品のため丁寧な書き方を意識することが大切です。
御歳暮 のしの正しい書き方【名前編】
名前は表書きよりもやや小さく、のし紙の下段中央に記載します。
【個人の場合】
・フルネーム(山田太郎)
・名字だけでも可(山田)
ただし、ビジネスの場合はフルネームがより丁寧です。
【家族名義で贈る場合】
・「山田家」
・「山田一同」
などが用いられます。
【会社名義で贈る場合】
以下のように段階的に記載します。
例:
西原商事株式会社
営業部
山田太郎
会社名を一番上に、次に部署名、最後に氏名という順番です。横書きではなく縦書きが基本ですが、欧文社名の場合は横書きになることもあります。
外のしと内のしの違いと使い分け
のし紙には「外のし」と「内のし」があり、どちらも使えるものですが、シーンによってマナーがあります。
● 外のしとは?
贈り物の箱の外側にのし紙をかけ、さらに包装紙で包む方法です。
直接相手に手渡しする場合や、贈り物の存在をはっきり伝えたいときに適しています。
● 内のしとは?
贈り物にのし紙をかけ、その上から包装紙で包む方法です。
控えめな贈り方で、配送などで箱が汚れる可能性がある場合に好まれます。
【御歳暮での一般的な使い分け】
・手渡し:外のしが多い
・宅配便・配送:内のしが一般的
ビジネスの場合は、実務的な理由から「内のし」を選ばれることが多いです。
H2:のし紙のサイズの選び方と水引の種類
のし紙にはいくつかのサイズがありますが、一般的に贈り物の箱の大きさに合わせて選びます。
● よく使われるサイズ
・5号:小型
・7号:標準
・10号:大型の箱向け
贈る品物が食品、調味料のセット、洗剤などのギフトの場合は、7号・8号あたりが多く使用されます。
● 水引の種類
御歳暮は「紅白蝶結び(または花結び)」が基本です。
間違っても下記の水引を選ばないよう注意しましょう。
・結び切り(婚礼・弔事)
・黒白(弔事)
水引の間違いは大きな失礼となるため、選び方を必ず確認しましょう。
御歳暮 のしの書き方の例文(ビジネス・個人)
【個人向けの例】
表書き:御歳暮
名前:山田太郎
【家族名義の例】
表書き:御歳暮
名前:山田家
【ビジネス:社名+氏名】
表書き:御歳暮
名前:西原商事株式会社
営業部
山田太郎
【ビジネス:会社名のみ】
表書き:御歳暮
名前:西原商事株式会社
個人宛ての御歳暮でも、会社名義で贈ることは問題ありません。相手の立場やシーンに合わせて柔軟に選ぶことが大切です。
よくある間違いと注意点まとめ
● 間違った水引を使う
結び切りを選ぶと婚礼用途となり失礼になります。必ず紅白蝶結びを選びましょう。
● 表書きを時期に合わせて変更していない
・12月25日頃まで:御歳暮
・年始(1/1〜1/7):御年賀
・1/8〜寒中見舞いの時期:寒中御見舞
時期を外した表書きはマナー違反になることがあります。
● 宛名と贈り主名の書き方がアンバランス
表書きより下段の名前は少し小さく丁寧に書くのが基本です。
● 薄墨を使ってしまう
薄墨は弔事。御歳暮には必ず濃墨を使います。
● 横書きで書いてしまう
フォーマルな贈り物は縦書きが基本。ただし欧文社名は横書きでもOK。
御歳暮ののしを書くタイミングと贈る時期のマナー
御歳暮を贈る時期は地域によって若干異なりますが、一般的には以下の通りです。
● 御歳暮の時期
・関東:12月初旬〜12月20日頃
・関西:12月10日〜12月25日頃
それ以降になると表書きを「御年賀」へ変更する必要があります。
● のしを書くタイミング
贈り物を準備した段階でのし紙を書いておくとスムーズです。
百貨店などでは自動的にのし紙を掛けてもらえるため、事前に記載内容を確認して注文するとミスがありません。
● 手書きの場合のコツ
・筆ペンでゆっくり丁寧に書く
・書き損じがないよう予備を用意する
・中心線を意識して文字を配置する
H2:御歳暮ののし紙は印刷でも失礼に当たらないのか?
現在は百貨店・ネット通販ともに「印刷のし」が主流ですが、これは決して失礼には当たりません。
むしろ、間違いが起きにくく綺麗に仕上がるため、ビジネスの場ではこちらが推奨されることも多いです。
【手書きが良いとされるケース】
・取引先の社長へ直接手渡す
・長年お世話になっている個人への丁寧な贈り物
・特別な感謝を示したい場合
ただし、印刷のしでも十分礼儀は整っているため、個人・会社問わず安心して利用できます。
御歳暮ののし紙に関するQ&A(よくある質問)
Q1:表書きを「御礼」にしても問題ない?
御歳暮の時期であれば「御歳暮」を使うのが基本です。
特別な感謝を伝えたい場合でも、季節の挨拶として「御歳暮」を書くほうが丁寧です。
Q2:のし紙をつけずに贈るのは失礼?
相手との関係性によりますが、正式な贈り物であればつけるのが無難です。
特にビジネスでは必須と考えておきましょう。
Q3:二人の連名で贈る場合はどう書く?
・夫婦:右から夫→妻
・ビジネス同僚:右から年齢(役職)が上の人→下の人
縦書きの場合、右側が優先順位が高くなります。
まとめ|のし紙を正しく使って御歳暮の気持ちを丁寧に伝えよう
御歳暮は、1年の感謝を伝える日本ならではの美しい習慣です。
のし紙の表書きや名前の書き方、外のし・内のしの使い分け、水引の選び方などを正しく理解するだけで、相手により好印象を与えることができます。形式ばかりが重要なのではなく、「心を込めて贈る」という気持ちを丁寧な形にすることが、御歳暮の本来の意味です。
本記事のポイントを押さえておけば、ビジネスでも個人でも迷わず御歳暮を準備できるはずです。今年のご挨拶がより良いものとなるよう、ぜひ参考にしてみてください。
