ご葬儀に参列した際に包む「香典」は、故人への弔意とご遺族への支援の気持ちを込めたものです。
そのお礼としてお渡しするのが「香典返し」ですが、時には「香典返しは不要です」と伝えたい場面もあります。
たとえば、親しい間柄で金銭のやり取りを避けたい場合や、少額の香典でお気持ちだけ伝えたい場合などです。
しかし、辞退の伝え方を間違えると、かえってご遺族に失礼になってしまうこともあります。
本記事では、香典返しを丁寧に断るためのマナーや注意点、そして実際に使える例文を具体的にご紹介します。
形式張らず、しかし思いやりをもって伝える方法を知っておけば安心です。
香典返しを辞退するのは失礼ではない?
香典返しを辞退することは、決して失礼ではありません。
むしろ「ご遺族に余計なご負担をかけたくない」という配慮の気持ちから生まれるものです。
ただし、断り方には注意が必要です。
単に「いりません」と伝えると冷たい印象を与えかねません。
「お気持ちだけで十分です」「どうぞご遺族のためにお使いください」といった、相手を思いやる言葉を添えることが大切です。
香典返しを辞退するシーン
香典返しを辞退するのは、以下のようなケースが多いです。
- 親しい友人や親戚に対して
身近な人ほど「お返しはいらない」と思う方は多いものです。 - 会社関係やご近所付き合い
少額の香典を包んだ場合は「お気持ちだけで十分」と伝えることがあります。 - 弔意を示す気持ちが第一の場合
「お返しをいただくために渡すのではない」という意味を込めて辞退するケースです。
香典返しを辞退する際の基本マナー
香典返しを辞退するときは、以下の点を押さえましょう。
- 感謝の言葉を必ず添える
例:「ご丁寧なお心遣いはどうぞなさらずに」 - 一方的にならないようにする
強い言い方ではなく「お気持ちだけで十分です」と伝える。 - 書面や言葉で簡潔に伝える
手紙・メール・弔問時の言葉など、場面に合わせて使い分ける。
香典返しを断る例文(手紙・はがき)
例文1:親しい親戚へ
「このたびは大変な中、ご丁寧なお心遣いをいただき誠に恐れ入ります。
どうか香典返しなどはご放念いただき、皆さまのお身体を大切になさってくださいませ。
心より故人のご冥福をお祈り申し上げます。」
例文2:友人へ
「このたびは突然のことで大変お疲れのことと存じます。
香典返しのお心遣いはどうかご不要に願います。
どうぞご家族の皆さまの安らぎを優先なさってください。」
例文3:職場関係の方へ
「このたびはご愁傷様でございました。
香典は弔意のしるしでございますので、香典返しはどうぞお気になさらないでください。
皆さまのお心が少しでも安らがれますようお祈り申し上げます。」
香典返しを断る例文(メール)
例文4:会社の同僚へ
「このたびはご愁傷様でございました。
香典はほんの気持ちでございますので、どうか香典返しのお心遣いはご不要にお願いいたします。
大変な時期ですので、どうぞご自愛ください。」
例文5:取引先の方へ
「ご尊父様のご逝去に際し、心よりお悔やみ申し上げます。
香典は弔意のしるしとしてお届けしたものでございますので、返礼などはご放念いただければ幸いに存じます。」
香典返しを断る例文(口頭)
例文6:弔問時
「ほんの気持ちですので、どうかお返しなどはお気遣いなく。」
例文7:葬儀後のご遺族との会話
「どうか香典返しのことはご心配なさらず、ご家族の安らぎを第一になさってください。」
香典返し辞退の伝え方で注意すること
- ストレートに断りすぎない
「要りません」ではなく「お気持ちだけで十分です」と表現。 - 一度だけ伝える
繰り返すと逆に気を遣わせるので控える。 - 相手がどうしても用意している場合は受け取る
相手の気持ちを尊重し、受け取ってから感謝を伝えるのもマナーです。
香典返しを断った後の対応
辞退したにもかかわらず香典返しをいただいた場合は、ありがたく受け取りましょう。
その際には「ご丁寧にいただき恐れ入ります。どうぞお気を遣わないでください」と一言添えると、相手に安心していただけます。
まとめ
香典返しを断ることは、ご遺族の負担を思いやる優しさから生まれる行為です。
ただし、伝え方を間違えると冷たい印象になってしまうため、感謝の気持ちを必ず添えることが大切です。
- 「お気持ちだけで十分です」
- 「どうぞご放念ください」
- 「ご遺族のお身体を第一になさってください」
こうした言葉を選ぶことで、相手に安心してもらえる丁寧な断り方ができます。
香典返しを断るときは、思いやりを言葉に乗せることを忘れずに伝えましょう。