7月は本格的な夏の訪れを感じさせる時期です。梅雨が明ける頃には蝉の声が聞こえ、日差しも一段と強くなってきます。こうした季節感を上手に表現する「時候の挨拶」は、手紙やメール、暑中見舞いなどで大いに活用されます。本記事では、7月にふさわしい時候の挨拶の使い方やマナー、ビジネス・個人それぞれのシーンで使える例文を紹介し、文章に自然な季節感を添えるヒントをお伝えします。
7月の季節感を言葉で表現するポイント
7月は季節の変わり目であり、前半と後半で印象が異なります。前半は梅雨の終盤、後半は本格的な夏という具合に気候の違いがあるため、時候の挨拶もその流れを意識して使い分けることが大切です。
たとえば、7月上旬には「長雨が続いておりますが」など梅雨を意識した表現が好まれます。一方、7月下旬には「猛暑が続いております」や「夏本番を迎え」などの言い回しが適しています。季節に寄り添った言葉を使うことで、より丁寧で心のこもった印象を与えることができます。
時候の挨拶とは？7月における役割と基本マナー
時候の挨拶とは、季節の移り変わりを表現しながら、相手の安否を気遣う日本独特の文章文化です。ビジネスメールや手紙、挨拶状、暑中見舞いなどでよく使われ、文章全体の冒頭部分に入れるのが基本です。
形式としては次の2つのパターンがあります：
- 漢語調の時候の挨拶（例：盛夏の候、猛暑の折）
- 和文調の時候の挨拶（例：暑さが厳しくなってまいりましたが）
7月では、梅雨明けを挟んでこれらを使い分けると、より自然で丁寧な文章になります。
7月上旬に使える時候の挨拶（梅雨を意識した表現）
7月初旬は、まだ梅雨が明けていない地域も多いため、湿度や長雨に言及した挨拶が適しています。
例文：
- 「長雨が続いておりますが、皆さまお変わりございませんか。」
- 「湿気の多い毎日が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。」
- 「梅雨冷えの日が続いております。どうぞご自愛ください。」
これらは個人間の手紙にもビジネスにも使える汎用的な表現です。
7月中旬に使える時候の挨拶（梅雨明けや夏本番前の表現）
7月中旬は、梅雨明け間近の地域も多く、日差しが強まってきます。この時期は、季節の変わり目を意識したフレーズが効果的です。
例文：
- 「梅雨明けが待たれる今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。」
- 「日ごとに暑さが増してまいりました。どうぞお体にお気をつけください。」
- 「蝉の声が聞こえはじめ、夏の足音が感じられるようになりました。」
このように、季節の兆しをとらえた言葉を入れると、文章に豊かさが出ます。
7月下旬に使える時候の挨拶（夏本番の表現）
7月下旬は梅雨が明け、夏本番。強い日差しや暑さに言及する時候の挨拶がよく使われます。
例文：
- 「盛夏の候、貴社ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。」
- 「猛暑が続く毎日ですが、皆様お変わりなくお過ごしでしょうか。」
- 「照りつける太陽がまぶしい季節となりました。どうぞお身体を大切にお過ごしください。」
とくに「盛夏」「酷暑」「猛暑」などの語句は、7月後半のビジネス文書でよく見られます。
ビジネスで使える7月の時候の挨拶例文（文頭＋結び）
ビジネスの場では、形式を重んじた表現が求められます。以下はその一例です。
例1：梅雨時期（7月上旬）
「梅雨空が続く今日この頃、貴社ますますご繁栄のこととお慶び申し上げます。」
「時節柄、くれぐれもご自愛のほどお願い申し上げます。」
例2：梅雨明け（7月中旬）
「梅雨明けが待たれる日々ですが、皆様におかれましてはご健勝にてお過ごしのことと存じます。」
「暑さ厳しき折、どうぞご自愛くださいませ。」
例3：盛夏（7月下旬）
「盛夏の候、貴社いよいよご隆盛のこととお喜び申し上げます。」
「酷暑の折、皆様のご健勝を心よりお祈り申し上げます。」
暑中見舞いや個人宛の手紙に使える時候の挨拶例
プライベートの手紙では、もう少し柔らかく親しみのある表現が好まれます。
例1：
「暑さが日ごとに厳しくなってまいりましたが、お変わりありませんか。」
「お体には十分お気をつけて、楽しい夏をお過ごしください。」
例2：
「毎日蝉の声がにぎやかに響く季節となりましたね。」
「ご家族の皆様もお元気でいらっしゃいますように。」
例3（暑中見舞い風）：
「暑中お見舞い申し上げます。連日の暑さに、どうぞお身体ご自愛ください。」
時候の挨拶に迷ったときのコツ
使い慣れていないと、時候の挨拶は難しく感じるかもしれません。迷ったときは、次のポイントを参考にすると良いでしょう。
- カレンダーや天気を確認：梅雨明けのタイミングに注意する。
- 丁寧すぎてもOK：ビジネスでは少し堅苦しいくらいがちょうどよい。
- 言葉の重複を避ける：暑い・夏・日差し、など似た言葉が連続しないように調整する。
また、定型文をアレンジすることで、オリジナリティのある文章になります。
まとめ
7月の時候の挨拶は、梅雨の名残と夏の始まりを表現する絶好のチャンスです。相手への気遣いとともに、季節感を上手に織り込むことで、文章に温かみや誠意が伝わります。ビジネスでも個人でも、日頃のコミュニケーションに少しだけ季節の彩りを加えてみてはいかがでしょうか。
慣れるまでは例文を参考にしながら、自分の言葉に置き換えて練習していくと、自然に使いこなせるようになります。7月のご挨拶に、ぜひ本記事の内容をご活用ください。