業務の効率化や自動化を考えている方にとって、「Excelデータの自動取得」は非常に重要なステップです。
そこで活用したいのが「Power Automate for Desktop(PAD)」です。
Microsoftが提供するこの無償のRPAツールを使えば、マウス操作やキーボード入力を記録するだけでなく、Excelのセル情報や範囲、テーブルのデータも簡単に取得して活用できます。
本記事では、Power Automate for Desktopを使ってExcelからデータを取得する基本的な方法を、実際の画面や操作の流れに沿って解説します。
初心者でも今日から始められるように、わかりやすく丁寧に紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。
Power Automate for Desktopとは?
Power Automate for Desktopは、Microsoftが提供するデスクトップ自動化ツールで、Windowsユーザーであれば無料で利用できます。
マウスやキーボード操作を記録して自動化できるほか、ファイル操作やアプリ連携、Web操作など幅広い用途に対応しています。
特にExcel操作との相性が良く、テンプレートも豊富なため、定型業務の自動化には最適です。
Excelデータを取得する主な手順の概要
Power Automate for DesktopでExcelデータを取得する基本的な流れは以下のとおりです。
- フローの作成
- Excelファイルの読み込み
- データ取得(セル、範囲、テーブルなど)
- 変数として保持、または他のアクションに渡す
以降の見出しで、この流れに沿って詳しく説明していきます。
Excelファイルを開くためのアクション設定
まずはExcelファイルを開くところから始めましょう。
- PADを起動し、新しいフローを作成
- アクションパネルから「Excelの起動」をドラッグ&ドロップ
- 「新しいExcelインスタンスを作成」のチェックはオフ(既存ファイルを開くため)
- 「ドキュメントのパス」に対象のExcelファイルのフルパスを入力
これで、ExcelファイルがPAD上で操作可能な状態になります。
Excelの中のデータを取得する方法(セル・範囲)
次に、Excelの特定のデータを取得します。
セル単位で取得する場合
「Excelワークシートからセルを読み取る」アクションを使用します。
- 「インスタンス」には先ほど起動したExcelインスタンスを選択
- 「セルアドレス」には
A1
やB2
などのセル番地を入力 - 出力は変数として保持されます(例:
ExcelData
)
範囲で取得する場合
「Excelワークシートから範囲を読み取る」を使います。
- 例:セルA1からD10まで取得したい場合は
A1:D10
を指定 - 出力はデータテーブル形式の変数(例:
ExcelTableData
)になります
テーブルデータとして読み込む方法
表形式のデータを扱う場合は、Excelの「テーブル」として整えておくと扱いやすくなります。
PADでは「テーブルを読み取る」アクションを使うと、簡単に全データを取得できます。
- テーブル名を事前にExcel側で設定しておく(例:
Table1
) - アクションで「Table1」を指定すると、全データがテーブル型で変数に格納されます
これにより、後続のアクションでループ処理などが可能になります。
取得したデータを他の処理に活用する方法
取得したデータは、以下のような処理に応用可能です。
- メール本文に挿入して送信(Outlook連携)
- CSVに書き出す
- Webフォームに自動入力
- データベースに転送する
たとえば「For Each」アクションを使えば、テーブルデータを1行ずつ処理して、別のアクションに渡すことが可能です。
実践例:売上データを取得してメールで送信する
簡単なシナリオを紹介します。
- 「Excelの起動」→売上ファイルを開く
- 「範囲を読み取る」でA1:D10の売上データを取得
- 「For Each」で1行ずつ処理
- 各行を文字列にして「Outlookでメール送信」
このように、Excelの情報を基に定型作業を自動化できます。
よくあるエラーとその対処法
ファイルが開けない
- ファイルパスが間違っている可能性あり
- Excelファイルが別のプロセスで開かれていないか確認
セルや範囲が正しく取得できない
- セル番地の記載ミス(例:全角やスペース)
- Excelの書式設定で空白扱いになることもあるので注意
テーブルが見つからない
- Excel側で「テーブルとして書式設定」していない可能性
まとめ:Power Automate for DesktopでExcel業務を一気に自動化
Power Automate for Desktopを使えば、Excelのデータを簡単に取得し、業務の自動化につなげることができます。
セル・範囲・テーブルなど目的に応じて取得方法を選び、ループや条件分岐と組み合わせれば、複雑な処理も自動化が可能です。
これから業務効率を上げたい方、RPAに初挑戦したい方は、まずExcelデータ取得から始めてみてはいかがでしょうか?
無料で利用できるPADは、学習コストも低く、実務に直結するツールです。