建設業許可とは?初心者にもわかる基本知識と取得が必要な理由を徹底解説

「建設業許可」という言葉を耳にしたことはあっても、実際にどのようなものなのか、なぜ必要なのかを詳しく知っている人は意外と少ないかもしれません。建設業に携わるうえで、この許可は非常に重要な役割を果たします。本記事では、これから建設業界で仕事を始める方や、会社設立を検討している方向けに、「建設業許可」の基本から、取得する理由、取得しないことで起こりうるリスクなどを初心者にもわかりやすく解説します。


建設業許可とは何か?

建設業許可とは、一定以上の規模の建設工事を請け負う場合に必要な「国の許可」です。建設業法に基づいて国または都道府県が発行する許認可制度であり、工事の種類や内容、請負金額などに応じて取得する必要があります。

許可の対象となるのは、「500万円以上の建設工事」または「建築一式工事で1,500万円以上の工事、または延べ面積150㎡以上の木造住宅の工事」を請け負う事業者です。このような工事を行う場合には、建設業許可が義務付けられています。


なぜ建設業許可が必要なのか?

信頼性と信用の証明

建設業許可は、国や都道府県が審査し、法令や技術、財務面で一定の基準を満たしていることを認める制度です。つまり、許可を取得しているということは、社会的に「信頼できる業者」として認識される証でもあります。

例えば、元請け業者から下請けとして仕事を依頼される際にも、許可の有無が取引の判断基準になることがあります。許可を持っていることで、受注の幅が広がるという利点があります。

法令違反を避けるため

許可が必要な工事にもかかわらず、無許可で請け負ってしまうと、建設業法違反として罰則を受ける可能性があります。具体的には、「懲役6か月以下または罰金100万円以下」という厳しい罰則が科されることもあるため、許可取得は法令順守のためにも欠かせません。


建設業許可の種類

建設業許可には大きく分けて「一般建設業許可」と「特定建設業許可」の2種類があります。

一般建設業許可

下請けに発注する金額が「1件あたり4,000万円未満(建築一式工事の場合は6,000万円未満)」である場合に必要な許可です。中小規模の工事をメインに行う会社に向いています。

特定建設業許可

より大規模な工事を受注するための許可で、下請けに4,000万円以上(建築一式工事は6,000万円以上)の工事を出す場合に必要です。元請けとして大規模プロジェクトを手掛ける場合は、こちらの許可が必要になります。

また、建設業許可は29種類の工事業種(とび・土工工事、電気工事、管工事、塗装工事など)ごとに分かれており、それぞれについて許可を取得する必要があります。


許可を取得するための条件

建設業許可を取得するには、いくつかの要件を満たす必要があります。主なものは以下の通りです。

1. 経営業務の管理責任者がいること

建設業に関する経営経験が5年以上ある人物が、役員や事業主として在籍している必要があります。

2. 専任技術者がいること

請負工事の内容に応じた専門知識や資格を有する技術者が、専任で在籍している必要があります。たとえば、建築士や施工管理技士の資格などが該当します。

3. 財産的基礎があること

自己資本額500万円以上、または直前の決算で500万円以上の資金調達能力があることが求められます。

4. 誠実性があること

過去に建設業法違反をした者がいないことや、反社会的勢力との関係がないことなど、事業の誠実性もチェックされます。


許可の取得方法と流れ

建設業許可を取得するためには、以下のような流れで手続きを進めます。

  1. 要件の確認
     自社が要件を満たしているか確認し、不足があれば補強します。
  2. 必要書類の準備
     登記簿謄本、財務諸表、資格証明書など、多数の書類が必要です。
  3. 申請書の作成・提出
     都道府県庁または国土交通省へ申請書を提出します。一般的には、行政書士に依頼するケースも多いです。
  4. 審査・許可
     審査には30日〜45日程度かかり、問題がなければ許可が下ります。

許可を持たずに工事をするとどうなる?

無許可で規模の大きな工事を請け負った場合、建設業法違反として罰せられるリスクがあります。また、元請けや顧客からの信用も失い、ビジネスの継続が困難になる恐れもあります。

加えて、無許可業者との契約は「契約そのものが無効」と判断される可能性もあり、代金未払いなどのトラブルが発生した場合にも不利な立場になります。


建設業許可の更新と注意点

建設業許可には「有効期限」があり、5年ごとに更新手続きが必要です。更新手続きを怠ると、自動的に許可が失効してしまうため、スケジュール管理は非常に重要です。

また、会社の代表者や専任技術者が変更になった場合などは、速やかに「変更届」の提出が求められます。


まとめ

建設業許可は、単なる「書類上の許可」ではなく、建設業者としての信用力・法令順守・事業の持続性を証明する重要なステップです。これから建設業界での活躍を目指すなら、早い段階で許可の取得を目指すことが大切です。

初めは手続きが複雑に感じられるかもしれませんが、行政書士などの専門家のサポートを得ることでスムーズに進めることができます。確かなスタートを切るためにも、ぜひ建設業許可についての理解を深めておきましょう。

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