海外から商品を輸入する際に必ず関わるのが「関税」です。関税の仕組みを知らずに輸入を行うと、予想外のコストが発生し、ビジネスに大きな影響を与えることもあります。本記事では、関税の基本的な決め方や計算方法、関税率の調べ方、関税を抑える方法について詳しく解説します。個人輸入や貿易ビジネスを始めたい方は、ぜひ参考にしてください。
関税とは？輸入時になぜ必要なのか
関税とは、海外から商品を輸入する際に政府が課す税金のことです。関税が存在する理由には以下のような目的があります。
- 国内産業の保護：国内の同じ業界を守るために、海外製品に関税をかけて競争力を調整する。
- 税収の確保：国の収入源の一つとして関税が活用される。
- 公正な貿易の維持：特定の国からの安価な輸入品が市場を独占しないようにする。
関税の仕組みを理解することは、輸入コストの管理に役立ちます。
関税の決め方：基本の流れ
関税の決定には、以下の要素が関わります。
1. 関税率の適用基準
関税は、輸入品の種類や原産国によって異なる関税率が適用されます。基本的な分類には以下のようなものがあります。
- 一般税率：基本的な関税率
- 特恵税率：発展途上国からの輸入品に対する優遇税率
- FTA/EPA税率：自由貿易協定（FTA）や経済連携協定（EPA）による優遇税率
2. 関税の計算方法
関税は「課税価格」に対して税率をかけて計算されます。
- 課税価格＝輸入品のCIF価格（商品価格＋運賃＋保険料）
- 関税額＝課税価格×関税率
例えば、課税価格が100万円で関税率が10%の場合： 100万円 × 10% ＝ 10万円（関税額）
3. 課税価格の決定
課税価格は、輸入申告時に提出するインボイス（請求書）などの書類をもとに決定されます。注意点として、税関が市場価格と比較し、価格が不適切と判断した場合は修正されることがあります。
関税率を調べる方法
輸入する際には、事前に関税率を調べることが重要です。関税率を調べる方法には以下のものがあります。
- 税関のホームページを確認する
日本の税関（財務省）では、関税率表（タリフ）を公開しています。 - HSコードを使う
HSコード（Harmonized System Code）は、商品を分類するための国際的なコードで、これを調べることで適用される関税率が分かります。 - 専門家に相談する
貿易業者や税関コンサルタントに相談すると、正確な情報を得られます。
関税を抑える方法
関税はビジネスのコストに直結するため、可能な限り節約する方法を知っておくことが重要です。
1. FTA/EPAの活用
日本は多くの国と自由貿易協定（FTA）や経済連携協定（EPA）を結んでおり、これを活用すると関税が免除または軽減される場合があります。特定の協定を適用するには、輸出国の原産地証明書が必要です。
2. HSコードの最適化
関税率はHSコードごとに異なるため、適用されるHSコードを正しく分類することで、低い税率を適用できる場合があります。専門家に相談しながら適切なコードを選びましょう。
3. 保税制度の利用
輸入品を一定期間保税倉庫に保管し、必要な時だけ取り出して関税を支払うことで、資金繰りの効率化が可能です。
4. 分割輸入を検討する
高額な商品を一度に輸入するのではなく、複数回に分けることで関税負担を分散させることができます。ただし、税関が意図的な分割輸入と判断すると、一括輸入として扱われる場合もあります。
関税申告の流れ
輸入時には、税関に関税を申告し、支払う必要があります。以下の流れで進められます。
- 輸入申告の準備
- インボイス（請求書）
- パッキングリスト
- B/L（船荷証券）またはAWB（航空運送状）
- 原産地証明書（必要な場合）
- 税関への申告
- NACCS（輸出入・港湾関連情報処理システム）を通じてオンライン申告する
- 税関で審査が行われる
- 関税の納付
- 銀行やオンライン決済で支払う
- 納付後、輸入許可が下りる
- 商品受け取り
- 関税を支払った後、商品を倉庫や販売先へ配送する
まとめ
輸入時の関税は、商品の種類や原産国、課税価格などによって決まります。関税率を事前に調べ、FTAやHSコードの適用を工夫することで、コストを最小限に抑えることが可能です。貿易ビジネスを成功させるためには、関税の仕組みをしっかり理解し、計画的に輸入を進めることが重要です。