Power Queryでマージ(結合)を使いこなそう!6種類の結合方法を徹底解説

Power Query(パワークエリ)は、ExcelやPower BIでデータを効率的に整理・分析するための強力な機能です。
中でも「マージ(結合)」は、複数のテーブルを一つにまとめる際に欠かせない操作です。
しかし、マージには「左外部結合」や「内部結合」など6種類の結合方法があり、どれを使えばいいのか迷う方も多いでしょう。

この記事では、Power Queryのマージの仕組みと6種類の結合の違いを、図解イメージを交えながらわかりやすく解説します。
初心者の方でも、この記事を読めば「どんな場面でどの結合を使うべきか」がしっかり理解できます。


Power Queryの「マージ(結合)」とは

Power Queryの「マージ」は、2つ以上のテーブルを「共通のキー(列)」を使って結合する操作のことです。
例えば、社員リストと部署リストが別々のテーブルにある場合、社員番号をキーとして一つの表にまとめることができます。

マージの基本的な流れは以下の通りです。

  1. ホームタブ → クエリの結合(マージ) を選択
  2. 結合したい2つのテーブルを選ぶ
  3. キーとなる列を選択
  4. 結合の種類を選ぶ(←ここが重要!)
  5. 新しい列を展開して必要なデータを取り込む

この中で最も理解しておくべきポイントが「結合の種類」です。
Power Queryでは主に6種類の結合方法が用意されています。


左外部結合(Left Outer Join)

左外部結合は、左側(最初に選んだテーブル)のデータをすべて残し、右側(結合先)のデータを一致する部分だけ取り込む方法です。

たとえば、

  • 左のテーブル:社員リスト
  • 右のテーブル:部署マスタ

とした場合、部署マスタに存在しない部署コードを持つ社員でも、左のテーブルには残ります。

特徴:

  • 左側のすべての行を保持
  • 右側に一致するデータがない場合は「null」になる

利用シーン:
「すべての社員リストに対して、部署名を付けたい」ときなど、左のデータを基準にしたい場合に最適です。


右外部結合(Right Outer Join)

右外部結合は、右側(結合先)のテーブルのデータをすべて残し、左側のデータを一致するものだけ結合する方法です。

左外部結合の逆バージョンと考えるとわかりやすいです。

特徴:

  • 右側のすべての行を保持
  • 左側に一致しない場合は「null」になる

利用シーン:
「部署マスタにある部署をすべて残したい」「左側(社員リスト)に該当社員がいなくても部署を表示したい」ときなど。


内部結合(Inner Join)

内部結合は、両方のテーブルで一致するキーを持つデータだけを抽出します。
共通部分のみを残すイメージです。

特徴:

  • 一致した行のみが出力される
  • どちらか一方にしかないデータは除外される

利用シーン:
「売上データと商品マスタの両方に存在するデータのみ分析したい」など、重複部分だけを取り出したいときに有効です。


完全外部結合(Full Outer Join)

完全外部結合は、左と右の両方のテーブルの全データを含めて結合する方法です。

一致する部分は1行にまとめられ、一致しない部分は「null」として残ります。

特徴:

  • 両方のテーブルのすべての行を保持
  • 一致しないデータもすべて表示

利用シーン:
「両方のテーブルを合わせて、抜け漏れがないか確認したい」
「すべてのデータを俯瞰して分析したい」場合などに便利です。


左アンチ結合(Left Anti Join)

左アンチ結合は、左側のテーブルのうち、右側に一致しないデータだけを抽出します。

つまり、右に存在しない“孤立データ”を探すときに使えます。

特徴:

  • 左にしかないデータのみを取得
  • 右に一致するものは除外

利用シーン:
「社員リストにあるが、退職者リストにいない現役社員を確認したい」
「売上データにない商品を確認したい」など、データチェックに最適です。


右アンチ結合(Right Anti Join)

右アンチ結合は、右側のテーブルのうち、左側に一致しないデータだけを抽出します。
左アンチ結合の反対です。

特徴:

  • 右側にしかないデータのみを取得
  • 左側に一致するものは除外

利用シーン:
「右のテーブル(商品マスタ)にあるが、左のテーブル(売上データ)に存在しない商品を確認したい」など、データ整合性のチェックに便利です。


結合の種類のまとめ

結合の種類残るデータ一致しない行の扱い主な用途
左外部結合左の全行右にない場合はnull左を基準に情報を補足したい
右外部結合右の全行左にない場合はnull右を基準に情報を補足したい
内部結合一致する行のみそれ以外は除外共通データを抽出したい
完全外部結合両方の全行どちらかにない場合はnull全体を比較・統合したい
左アンチ結合左のみにある行右にあるものを除外左だけに存在するデータを抽出
右アンチ結合右のみにある行左にあるものを除外右だけに存在するデータを抽出

実際の操作手順(例)

  1. Excelで「データ」タブ → 「データの取得」 → 「Power Query エディター」を開く。
  2. 左右2つのテーブルを読み込む(例:社員リスト・部署マスタ)。
  3. 「ホーム」タブ → 「クエリの結合」 → 「マージ」を選択。
  4. 結合するテーブルとキー列(例:部署コード)を指定。
  5. 「結合の種類」で希望の方式(左外部結合など)を選択。
  6. 結合後の列を展開し、必要な列だけ残す。

ポイント:

  • 結合キーのデータ型(数値・文字列など)が異なるとマージできません。
  • 必要に応じて「列の変換」でデータ型を揃えてから実行しましょう。

よくあるトラブルと対処法

① 結合がうまくいかない

→ キー列のデータ型が違う可能性があります。両方とも「テキスト」または「数値」に揃えてください。

② nullが多すぎる

→ 結合キーが完全一致していないことが原因です。前後のスペースや全角・半角の違いをチェックしましょう。

③ 重複データが増えた

→ 結合キーが一意(ユニーク)でない場合、1対多の結合が発生します。
 結合前に「重複の削除」や「グループ化」で整理するのがおすすめです。


どの結合を使えばいい?用途別おすすめ

目的おすすめの結合
左のテーブルを基準に情報を追加したい左外部結合
共通データだけを分析したい内部結合
データの整合性を確認したい完全外部結合
孤立データを探したい左アンチ結合/右アンチ結合
右のテーブルを基準に補足したい右外部結合

まとめ

Power Queryのマージは、データ統合に欠かせない強力な機能です。
結合の種類を理解することで、目的に応じた正確なデータ加工ができるようになります。

特に業務で多いのは「左外部結合(Left Outer Join)」と「内部結合(Inner Join)」です。
まずはこの2つを使いこなし、必要に応じて完全外部結合やアンチ結合も試してみましょう。

Power Queryのマージを理解すれば、Excelのデータ処理が劇的に効率化します。

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