会社や部署で使う文房具、パソコン、工具、備品類を管理する際、最も手軽に始められる方法が「エクセルを使った備品管理」です。特別なソフトを導入しなくても、Excelだけで在庫数の確認や貸出状況の管理、入出庫履歴の把握まで行えます。しかし、作り方や管理方法を間違えると「更新漏れ」「情報の重複」「どれが最新かわからない」など、混乱を招く原因にもなります。
この記事では、エクセルで備品管理を行う際のポイント、実際に使えるテンプレート例、効率的な運用方法、よくある失敗と改善策をわかりやすく解説します。
あなたの職場でも今日から使える実用的なノウハウばかりなので、ぜひ最後までご覧ください。
エクセルで備品管理を行うメリット
エクセルは誰でも使える便利なツールであり、備品管理にも最適です。まずはエクセルで管理するメリットを確認しておきましょう。
① 導入コストがゼロ
Excelはほとんどの職場で標準的にインストールされているため、新たなソフトを購入する必要がありません。
追加費用がかからず、すぐに運用を始められます。
② カスタマイズ性が高い
備品の種類や管理内容は会社によって異なります。
エクセルならカラムを自由に追加したり、計算式を入れたり、フィルターで絞り込んだり、オリジナルの管理表を作れます。
③ どの部署でも共有しやすい
OneDrive、SharePoint、Googleドライブなどに保存すればリアルタイムで編集できます。
複数人での備品管理に強いのも大きな魅力です。
④ 小規模〜中規模なら十分対応できる
備品数が数十〜数百点程度であれば、エクセルで十分管理が可能です。
中規模の企業でも、年間の入出庫がそこまで多くない場合はExcelで問題なく運用できます。
備品管理表に入れるべき項目一覧
備品管理で最も重要なのは「必要な情報が漏れなく、かつ重複せず管理できること」です。
基本項目は以下の通りです。
【基本的な項目例】
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 備品名 | 文房具・PC・工具など |
| 管理番号 | 一意の番号。重複を防ぐ鍵 |
| 種別 | カテゴリ(パソコン、椅子、ヘルメットなど) |
| 購入日 | 購入した日付 |
| 購入金額 | 経費計上にも便利 |
| メーカー / 型番 | 品質管理や保証で必要 |
| 保管場所 | どこにあるか |
| 使用者名 | 誰が使っているか |
| 状態 | 新品・良好・劣化・修理中など |
| 入出庫履歴 | 使用状況の追跡 |
| 備考 | 個別の注意点 |
特に重要なのは「管理番号」と「保管場所」。
この2つが曖昧だと探す手間が増え、不明・紛失が頻発してしまいます。
備品管理のExcelテンプレート例(構成・レイアウト解説)
ここでは、エクセルで作る備品管理表の具体的な形を紹介します。
そのまま真似するだけで、すぐに実務で使えるテンプレートです。
① メイン管理表(備品一覧)
シート名:備品一覧
| 管理番号 | 備品名 | 種別 | 購入日 | 金額 | メーカー | 型番 | 保管場所 | 使用者 | 状態 | 備考 |
|---|
★ポイント
- 管理番号はユニークにする(例:PC-001)
- フィルターを設定し、検索しやすくする
- 状態にドロップダウンを設定(データの入力規則)
- 購入日のセルを日付形式に統一
② 貸出管理表(貸出・返却の履歴)
シート名:貸出状況
| 日付 | 管理番号 | 使用者名 | 目的 | 貸出 / 返却 | 備考 |
|---|
★ポイント
- 入出庫を記録することで、過去の履歴を追跡できる
- ピボットテーブルを作れば「誰が多く借りているか」が一目でわかる
③ 在庫数の自動カウント(式で自動計算)
必要に応じて、こんな数式を使います。
●COUNTIF で数量カウント
=COUNTIF(備品一覧!C:C,"マウス")
指定した種類の在庫数を自動で数えることができます。
●VLOOKUP / XLOOKUPで詳細を自動表示
貸出シートで管理番号を入力すると、備品名や保管場所が自動で表示されるようにできます。
例:
=XLOOKUP(B2,備品一覧!A:A,備品一覧!B:B,"")
これにより、入力作業が大幅に効率化されます。
エクセル備品管理の運用ルール|これだけは決めておくべき
Excelで備品管理が失敗する原因の多くは「運用ルールが曖昧」なことです。
以下のルールを必ず決めておきましょう。
① 管理番号は必ず付与する(重複禁止)
番号が無いと同じ製品が複数存在する場合に混乱します。
例:
- PC-001
- PC-002
- CHR-001(椅子)
- STP-001(ステープラー)
アルファベット × 通し番号が最も使いやすい形式です。
② 貸出時・返却時は必ず更新する
更新漏れを防ぐための仕組みづくりが大切です。
- 貸出は原則本人が記載
- 返却時に管理担当がチェック
- 更新したらExcelの変更履歴も残す
③ 定期点検日を決める
備品は劣化します。
特に会社でよく使う備品(PC、ヘルメット、工具など)は定期チェックが必須です。
例:
- 毎月初めにPC台数の確認
- 毎年4月に備品棚卸し
- 破損品のリスト化と交換申請
④ シートは複製してバックアップを残す
Excelは上書きミスが起きやすいツールです。
最低でも週1回はバックアップを作っておきましょう。
備品管理でよくある失敗と対策
Excel管理で起きやすいトラブルをまとめました。
① 情報が更新されず古いままになる
原因:みんなが手間だと思っているから
【対策】
- 入力しやすくする(ドロップダウン・自動入力など)
- 記入者を限定する
- ルールを簡略化して「1分で記入できる状態」にする
② ファイルが複数できてどれが最新かわからない
【対策】
- OneDrive / SharePoint に保存し「常に1つ」を運用
- ファイル名に日付を入れない(重複を避けるため)
- 編集者を制限する
③ 担当者が変わると管理が崩壊する
Excelは属人化しやすいという課題があります。
【対策】
- 管理マニュアルを作る
- シートに説明文をつける
- 引き継ぎファイルを残す
Excel備品管理をもっと便利にするテクニック
ここでは、さらに管理を効率化するためのテクニックを紹介します。
① 貸出中の備品を色付きで表示(条件付き書式)
例:「状態」列が「貸出中」の行を赤色にする
条件付き書式 → 新しいルール → ルール式に
=$J2="貸出中"
色を変更すれば、視覚的に把握しやすくなります。
② QRコードで管理する
管理番号をQRコードにするとスマホで読み取って更新できます。
エクセルでもQRコードは作成可能(アドインを利用)。
管理効率が一気に上がります。
③ ピボットテーブルでデータを見える化
分析項目の例:
- 種別ごとの台数
- 部署ごとの備品利用数
- 劣化状態の備品一覧
月次報告や棚卸しの資料にも使えて便利です。
エクセル備品管理をやめるべきタイミング
Excelは便利な反面、限界もあります。
下記のような状態になったら、専用の備品管理システムの導入を検討すべきです。
・備品数が500点を超えた
・貸出履歴が毎日大量に発生する
・複数部署で同時編集することが多い
・棚卸しの作業時間が長すぎる
こうしたケースではExcelでは対応が難しくなり、
クラウド型の備品管理ツールの方が効率的です。
まとめ
エクセルによる備品管理は、
「無料で始められる」「誰でも使える」「自由にカスタマイズできる」
という大きなメリットがあります。
しかし、その一方で
- 更新漏れ
- ファイルが乱立
- 属人化
- 記入の手間
といった課題も生まれやすいため、
運用ルールを明確にし、使いやすい表を作ることが成功のポイントです。
