家庭内や小規模オフィスで複数のPCをネットワークに接続して、ファイルやプリンタを共有したいと考えたときに便利なのが「Workgroup(ワークグループ)」です。特にWindows 11では、シンプルなネットワーク設定で複数台のパソコンをグループ化し、共有機能を使うことができます。本記事では、Workgroupとは何か、その設定方法、そして共有時の注意点までをわかりやすく解説します。ネットワークに詳しくない方でも、この記事を読めばスムーズに設定できるはずです。
Workgroupとは何か?基本の仕組みを理解しよう
Workgroupとは、Windowsで提供されている「ピア・ツー・ピア(P2P)」型のネットワーク構成のひとつです。家庭や小規模オフィスにおいて、複数のパソコンを同一ネットワークにまとめて、相互にファイルやプリンターを共有する目的で使われます。
ドメインネットワークのような専用のサーバーを必要とせず、各PCが対等な関係で構成されるため、構築や管理が簡単なのが特徴です。
Workgroupの主な特徴
- 管理者サーバーが不要
- 各PCが対等な立場(主従関係なし)
- 最大20台程度までが推奨
- セキュリティは各PCごとに個別に設定
Workgroupを使うメリットとは?
Workgroupを使う最大の利点は「手軽さ」と「コストの低さ」です。以下のような場面において特に効果を発揮します。
- 家庭内で複数のパソコン間でファイルをやり取りしたいとき
- 小規模なオフィスでプリンタやスキャナを共有したいとき
- ドメイン管理サーバーを導入するほどでもないネットワーク構成
面倒な設定が少なく、各パソコンの設定だけで完結するため、ITに詳しくない人でも導入しやすい仕組みです。
Windows 11でWorkgroupの設定を確認・変更する手順
ここでは、実際にWindows 11の設定画面でWorkgroupを確認・変更する手順を紹介します。
1. 「システム情報」から現在のWorkgroup名を確認
- タスクバーの検索ボックスに「システム情報」と入力し、開きます。
- 「システムの要約」から「ワークグループ」の項目を探します。
ここに表示されているのが、現在のWorkgroup名です。初期状態では「WORKGROUP」となっていることが多いです。
2. Workgroup名を変更する手順
- 「スタートメニュー」→「設定」→「システム」→「バージョン情報」を開きます。
- 下のほうにある「このPCの名前を変更(またはドメインまたはワークグループの設定)」をクリック。
- 「システムのプロパティ」ウィンドウが表示されます。「変更」ボタンをクリック。
- 「コンピューター名」タブ内で、Workgroup欄に任意の名前を入力(例:HOME、OFFICEなど)。
- 「OK」を押して再起動すれば、設定は反映されます。
同じWorkgroupに属する他のPCと共有するためのポイント
Workgroupに属するだけでは、ファイルやフォルダーの共有は自動的に有効になりません。以下の設定もあわせて行いましょう。
ファイルとプリンターの共有を有効にする
- コントロールパネル → 「ネットワークと共有センター」
- 左メニューの「共有の詳細設定の変更」
- 「ファイルとプリンターの共有を有効にする」をチェック
- パスワード保護の共有は必要に応じて無効にする
共有フォルダーを作成する
- 共有したいフォルダーを右クリックし「プロパティ」を選択
- 「共有」タブ →「共有」ボタン
- 共有相手(Everyoneなど)を選び、「読み取り」や「読み取り/書き込み」などの権限を設定
Workgroup使用時の注意点とトラブル対策
注意点
- Workgroup名はすべてのPCで同じにする必要があります。
- ユーザー名やパスワードが一致していないと共有できない場合があります。
- セキュリティ設定(ファイアウォールなど)によっては通信がブロックされることもあります。
よくあるトラブルと対応
症状 | 原因 | 対処方法 |
---|---|---|
他のPCが見えない | ファイアウォールでブロック | プライベートネットワークに変更、共有設定の見直し |
アクセスが拒否される | パスワード共有が有効になっている | パスワード保護の共有を無効にする |
共有フォルダが表示されない | ネットワーク探索が無効 | ネットワーク探索を有効にする |
Workgroupの利用に向いているケースと向かないケース
向いているケース
- 家庭や個人事業レベルの簡易ネットワーク
- PCの台数が10台以下
- 管理者なしで運用したい場合
向かないケース
- ユーザーアカウント管理を集中したい企業環境
- セキュリティポリシーを厳密に運用したい場合
- 複数拠点を一元管理したい場合(この場合はActive Directoryを検討)
まとめ|Workgroupで簡単ネットワーク共有をはじめよう
Windows 11でも、Workgroupは小規模ネットワークを構築する上で非常に役立ちます。複数台のパソコンを効率よくつなぎ、ファイルやプリンターを共有する環境を整えるには、シンプルでコストがかからないWorkgroupは最適です。
この記事を参考に、まずはご自身のPCのWorkgroup名を確認し、必要であれば変更・統一して、便利な共有環境を構築してみてください。