Windowsの「cacls」コマンドは、ファイルやフォルダのアクセス制御を管理するための強力なツールです。
特に管理者がユーザーのアクセス権を設定・変更する際に活用されます。
本記事では、caclsコマンドの基本的な使い方から、具体的なオプション、実際の使用例まで詳しく解説します。
Windowsでアクセス権を簡単に変更したい方は、ぜひ参考にしてください。
caclsコマンドとは?
1. caclsコマンドの概要
cacls(Change Access Control Lists)は、Windowsでファイルやフォルダのアクセス制御リスト(ACL)を操作するためのコマンドです。
管理者権限を持つユーザーが、アクセス権限を設定・確認・変更できます。
2. caclsとicaclsの違い
Windows Vista以降では、より高機能な「icacls」コマンドが推奨されています。
icaclsの方が細かい権限管理が可能ですが、Windows XPなどの古い環境ではcaclsが依然として利用されています。
項目 | cacls | icacls |
---|---|---|
権限の管理 | 基本的な権限の設定のみ | 詳細な権限の設定が可能 |
適用範囲 | Windows XP以前で推奨 | Windows Vista以降推奨 |
適用対象 | ファイル・フォルダ | ファイル・フォルダ、継承権限も設定可 |
caclsコマンドの基本構文
1. 基本の書き方
shコピーする編集するcacls [ファイル名またはフォルダ名] [/T] [/E] [/G ユーザー:権限] [/R ユーザー] [/P ユーザー:権限] [/D ユーザー]
2. 主なオプション一覧
オプション | 説明 |
---|---|
/T | 指定したフォルダ内のすべてのファイルとサブフォルダに適用 |
/E | 現在のACL(アクセス制御リスト)を編集(指定がないと既存のACLは上書き) |
/G ユーザー:権限 | 指定したユーザーに新しいアクセス権限を付与 |
/R ユーザー | 指定したユーザーのアクセス権限を削除 |
/P ユーザー:権限 | 指定したユーザーのアクセス権限を置き換え |
/D ユーザー | 指定したユーザーのアクセスを拒否 |
権限の種類
caclsコマンドでは、以下のような権限を設定できます。
権限 | 説明 |
---|---|
R | 読み取り |
W | 書き込み |
C | 変更(読み取り・書き込み・削除) |
F | フルコントロール |
caclsコマンドの使用例
1. ファイルのアクセス権限を表示
shコピーする編集するcacls C:\test\example.txt
このコマンドを実行すると、example.txt
の現在のアクセス権限が表示されます。
2. ユーザーにフルコントロール権限を付与
shコピーする編集するcacls C:\test\example.txt /G User:F
User
にフルコントロール (F
) を設定します。
3. ユーザーのアクセス権限を変更
shコピーする編集するcacls C:\test\example.txt /P User:R
User
のアクセス権限を 読み取り(R)
のみに変更します。
4. 特定ユーザーのアクセスを拒否
shコピーする編集するcacls C:\test\example.txt /D User
User
のアクセスを完全に拒否します。
5. サブフォルダを含めて権限を設定
shコピーする編集するcacls C:\test\ /T /E /G User:F
C:\test\
以下のすべてのファイル・フォルダのアクセス権限を変更します。
6. ユーザーの権限を削除
shコピーする編集するcacls C:\test\example.txt /R User
User
のアクセス権限を削除します。
caclsコマンドの注意点
- 管理者権限が必要
caclsコマンドの実行には、管理者権限が必要です。
コマンドプロンプトを「管理者として実行」してから操作してください。 - 上書きに注意
/G
や/P
を指定すると、既存の権限を上書きします。/E
を付けないと、現在の権限が消えるため、慎重に設定しましょう。 - icaclsの使用を推奨
Windows 7以降では、より柔軟なアクセス管理が可能なicacls
を使用するのが一般的です。
まとめ
Windowsの「cacls」コマンドは、ファイルやフォルダのアクセス権限を変更するための便利なツールです。
ただし、Windows Vista以降では「icacls」の方が強力であり、最新環境では icacls
の使用が推奨されます。
重要ポイントまとめ
✅ 基本コマンド構文:cacls [ファイル名] [オプション]
✅ 主なオプション:/G
(付与)、/R
(削除)、/D
(拒否)
✅ 権限の種類:R
(読み取り)、W
(書き込み)、C
(変更)、F
(フルコントロール)
✅ 使用時の注意点:管理者権限が必要、上書きに注意、icacls
の利用推奨
シンプルなコマンドながら、適切に使用することでWindowsのアクセス管理を効率的に行うことができます。
ぜひ実践してみてください!