データのバックアップにはさまざまな方法がありますが、「合成バックアップ」という手法をご存じでしょうか?
フルバックアップ、増分バックアップ、差分バックアップなどと並んで、効率的にデータを保存する手法の一つです。
しかし、どのバックアップ方法を選べばよいのか迷うことも多いでしょう。
この記事では、合成バックアップの仕組みやメリット・デメリットを詳しく解説します。
さらに、従来のバックアップ方式との違いや、どのような環境に最適なのかも説明します。
バックアップ戦略を考える際の参考にしてください。
合成バックアップとは?基本概念を解説
合成バックアップとは何か?
合成バックアップ(Synthetic Backup)とは、過去に取得したフルバックアップに増分バックアップを適用し、最新のフルバックアップを仮想的に作成する手法です。
通常のバックアップでは、最新の状態を保持するために定期的にフルバックアップを作成する必要がありますが、合成バックアップではそれを省略できます。
ストレージの負荷を減らしながら、常に最新のバックアップデータを保持できる点が特徴です。
合成バックアップの仕組み
従来のバックアップ手法との違い
一般的なバックアップ方式と比較しながら、合成バックアップの特徴を見てみましょう。
バックアップ方式 | 特徴 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
フルバックアップ | データ全体を保存 | 復元が容易 | 容量を大量に消費 |
増分バックアップ | 変更があったデータのみ保存 | ストレージ効率が良い | 復元に時間がかかる |
差分バックアップ | フルバックアップ以降の変更データを保存 | 復元が比較的容易 | データサイズが増加しやすい |
合成バックアップ | フル+増分を統合して仮想的にフルバックアップを作成 | 容量削減+復元が速い | 高度な処理が必要 |
合成バックアップの具体的な流れ
- 最初にフルバックアップを作成(例:月曜日)
- 以降、増分バックアップを作成(火曜日~金曜日)
- バックアップ管理ソフトが増分データをフルバックアップに統合し、新しいフルバックアップを作成(例:金曜日の夜)
- 次の増分バックアップは、新しい合成フルバックアップを基準に取得
これにより、毎回フルバックアップを取らなくても、最新の状態が保持されるようになります。
合成バックアップのメリットとデメリット
メリット
✔ ストレージ容量の節約:増分データを統合することで、余分なデータを削減可能
✔ 復元速度の向上:フルバックアップが最新の状態に保たれるため、リストアが迅速に行える
✔ バックアップ時間の短縮:大規模なフルバックアップの取得が不要になり、システム負荷を軽減
デメリット
✖ 高度なバックアップ管理が必要:通常のバックアップより設定が複雑
✖ 専用のソフトウェアが必要:手動での管理は難しく、専用ツールが求められる
✖ 処理負荷がかかる:合成処理を行うための計算リソースが必要
合成バックアップはどんな環境に向いている?
合成バックアップは、特に次のような環境で有効です。
✅ 大容量データを扱う企業:頻繁なフルバックアップが難しい環境
✅ クラウドストレージを活用している企業:ストレージ容量を節約できる
✅ 業務停止を避けたい企業:システム負荷を最小限に抑えながらバックアップを実行可能
逆に、小規模なデータ管理や、リアルタイム性が求められる環境では、シンプルな増分・差分バックアップの方が適している場合もあります。
合成バックアップを実現するおすすめツール
合成バックアップを行うには、専用のバックアップソフトウェアを利用する必要があります。
以下のツールが代表的です。
1. Veeam Backup & Replication
- 仮想環境向けのバックアップソフト
- 合成バックアップを含む高度な管理が可能
2. Acronis Cyber Protect
- エンタープライズ向けの統合バックアップツール
- クラウドとオンプレミスに対応
3. Commvault Backup & Recovery
- 大規模データ向けのバックアップソリューション
- AIを活用したデータ管理が可能
これらのツールを活用すれば、バックアップ業務の効率化とデータ保全が両立できます。
まとめ:合成バックアップで効率的なデータ保護を実現しよう!
合成バックアップは、フルバックアップと増分バックアップを統合し、仮想的な最新フルバックアップを作成する手法です。
ストレージの節約や復元の迅速化といったメリットがあり、大規模なデータ管理に最適です。
しかし、導入には専用ツールが必要で、ある程度の設定や管理も求められます。
導入する際は、自社のデータ運用方針に合うかどうかを十分に検討しましょう。
適切なバックアップ戦略を構築し、万が一のデータ損失に備えましょう!