LPIC-1は、Linux初心者向けの資格として多くのITエンジニアが最初に挑戦する試験です。その中でも頻出分野の一つが「パッケージ管理」です。Debian系とRed Hat系、それぞれのパッケージ管理コマンドを理解していないと、試験での得点に大きく影響します。本記事では、Debian系のdpkg・apt、Red Hat系のrpm・yumの基本的な使い方から違い、試験で問われやすいポイントまで丁寧に解説していきます。LPIC-1の対策はもちろん、日常のLinux運用にも役立つ知識ですので、ぜひ最後までご覧ください。
Debian系パッケージ管理の基礎:dpkgとは?
Debian系ディストリビューション(UbuntuやLinux Mintなど)では、.debパッケージを使用してソフトウェアを管理します。dpkgはこの.debパッケージを操作するための基本コマンドです。
dpkgの主な機能
- パッケージのインストール
- パッケージの削除
- インストール済みパッケージの情報取得
基本コマンド例
# .debパッケージのインストール
sudo dpkg -i sample_package.deb
# パッケージの削除
sudo dpkg -r sample_package
# パッケージの情報を表示
dpkg -s sample_package
# ファイルとパッケージの対応を確認
dpkg -S /usr/bin/sample_binary
注意点
dpkgは依存関係を自動で解決しないため、エラーが出た場合はaptを使って依存関係を解消する必要があります。
高機能なフロントエンド:aptとapt-getの違いと使い方
dpkgがローレベルのツールなのに対し、aptやapt-getはパッケージのダウンロードから依存関係の解決、インストール・削除までを一括で処理してくれます。
aptの主なコマンド
# パッケージの検索
apt search nginx
# パッケージのインストール
sudo apt install nginx
# パッケージの削除(設定ファイルは残す)
sudo apt remove nginx
# パッケージの完全削除
sudo apt purge nginx
# パッケージリストの更新
sudo apt update
# インストール済みパッケージのアップグレード
sudo apt upgrade
aptとapt-getの違い
aptはユーザー向けに使いやすくしたインターフェースapt-getはスクリプト向けの古くからあるツール
基本的にはLPIC-1の試験では両方の知識が求められるため、apt-getの以下のようなコマンドも押さえておきましょう。
sudo apt-get update
sudo apt-get install package-name
sudo apt-get remove package-name
Red Hat系パッケージ管理の基本:rpmとは?
Red Hat系ディストリビューション(Red Hat Enterprise Linux、CentOS、Fedoraなど)では.rpmパッケージを使用します。rpmコマンドは.rpmファイルの操作に使われます。
rpmの主な機能
- パッケージのインストール・削除
- 情報の表示
- ファイル検索
基本コマンド例
# .rpmパッケージのインストール
sudo rpm -ivh sample_package.rpm
# アップグレード
sudo rpm -Uvh sample_package.rpm
# パッケージの削除
sudo rpm -e sample_package
# インストール済みパッケージの一覧
rpm -qa
# パッケージに含まれるファイル一覧
rpm -ql sample_package
# ファイルが属するパッケージを調べる
rpm -qf /usr/bin/sample_binary
rpmの特徴
rpmはdpkgと同様、依存関係の解決を自動では行いません。.rpmパッケージのインストール時に依存性エラーが出た場合は、yumやdnfを使います。
Red Hat系のパッケージ管理を便利に:yumとdnf
yumはRed Hat系におけるパッケージ管理のフロントエンドで、依存関係を自動解決し、オンラインのリポジトリからパッケージを取得・管理できます。近年はyumの後継としてdnfが導入されていますが、LPIC-1ではyumの出題が中心です。
yumの基本コマンド
# パッケージの検索
yum search nginx
# パッケージのインストール
sudo yum install nginx
# パッケージの削除
sudo yum remove nginx
# パッケージの情報表示
yum info nginx
# キャッシュの更新
sudo yum makecache
# システム全体のアップデート
sudo yum update
dnfの基本コマンド(yumとほぼ同じ)
sudo dnf install nginx
sudo dnf remove nginx
sudo dnf update
yumの特徴
- 依存関係を自動解決
- リポジトリからの管理が簡単
.rpm単体での操作よりもトラブルが少ない
試験で出題されやすいポイントまとめ
LPIC-1では、以下のような点が問われやすいです。
dpkg -iとrpm -ivhの違いaptやyumでのアップグレード、削除コマンド- ファイルがどのパッケージに含まれているかを調べるコマンド(
dpkg -S,rpm -qf) - リポジトリの更新(
apt update,yum makecache)
また、試験ではコマンドのオプションに関する正誤問題が出ることもあるため、以下のような細かい点も理解しておきましょう。
| 機能 | Debian系 | Red Hat系 |
|---|---|---|
| パッケージのインストール | apt install, dpkg -i | yum install, rpm -ivh |
| パッケージの削除 | apt remove, dpkg -r | yum remove, rpm -e |
| 情報表示 | dpkg -s, apt show | rpm -qi, yum info |
| ファイル→パッケージ検索 | dpkg -S /path/to/file | rpm -qf /path/to/file |
実務にも役立つ豆知識:パッケージ管理トラブルの対処法
dpkgで依存関係エラーが出たとき
sudo apt install -f
このコマンドは、壊れた依存関係を修復し、必要なパッケージをインストールしてくれます。
rpmでエラーが出たとき
依存関係を手動で解決するのは大変なので、以下のようにyum localinstallを使うと便利です。
sudo yum localinstall sample_package.rpm
これは.rpmファイルを指定しつつ、依存関係も解決してインストールしてくれます。
まとめ
パッケージ管理はLPIC-1で必ず問われる重要分野です。Debian系ではdpkgとapt、Red Hat系ではrpmとyum(またはdnf)のコマンドをしっかり覚えておきましょう。それぞれの特徴と使い分けを理解していれば、試験だけでなく、実務においても大きな武器になります。
「なぜこのコマンドを使うのか」「このオプションは何をしているのか」まで意識しながら学ぶことで、応用力も身につきます。この記事がLPIC-1合格の助けになることを願っています!
