Linuxのファイルシステムを管理するうえで重要な役割を果たすのが/etc/fstabです。このファイルは、システム起動時に自動的にマウントするファイルシステムの情報を記述する設定ファイルであり、サーバーやデスクトップ環境の管理に欠かせません。本記事では、/etc/fstabの基本的な構造や設定方法、具体的な記述例について詳しく解説します。
目次
/etc/fstabとは?
/etc/fstab(ファイルシステム・テーブル)は、Linuxシステムにおいてマウントすべきデバイスやファイルシステムを定義する設定ファイルです。システム起動時にこのファイルを参照し、自動的に指定されたデバイスをマウントします。
主な役割
- システム起動時のファイルシステムの自動マウント
- デバイスとマウントポイントの対応付け
- マウントオプションの指定
/etc/fstabの基本構成
/etc/fstabの各行には、以下の6つのフィールドが順番に記述されます。
<デバイス> <マウントポイント> <ファイルシステムの種類> <オプション> <ダンプ> <fsck順序>
各フィールドの説明
- デバイス:マウントするデバイスやUUID(例:
/dev/sda1、UUID=xxxxxxxx-xxxx-xxxx-xxxx-xxxxxxxxxxxx) - マウントポイント:デバイスをマウントするディレクトリ(例:
/、/home、/mnt/data) - ファイルシステムの種類:ext4, xfs, vfat, nfsなどのファイルシステムタイプ
- オプション:マウントオプション(例:
defaults、noatime、ro) - ダンプ:ダンプバックアップの有無(通常
0) - fsck順序:ファイルシステムチェックの順序(
/は1、それ以外は2、チェックしない場合は0)
/etc/fstabの具体的な記述例
1. 基本的なext4ファイルシステムのマウント
/dev/sda1 / ext4 defaults 1 1
/dev/sda1をルート(/)としてext4形式でマウントdefaultsオプションは、rw, suid, dev, exec, auto, nouser, asyncの設定を含む
2. UUIDを使用したマウント
UUID=abcd1234-ef56-7890-gh12-ijkl34567890 /home ext4 defaults 0 2
- UUIDを指定することで、デバイス名(例:
/dev/sda1)が変わっても影響を受けない /homeディレクトリをext4でマウントし、fsckの順序は2
3. NTFSパーティションのマウント
/dev/sdb1 /mnt/windows ntfs-3g defaults 0 0
- WindowsのNTFSパーティションをLinux上で読み書き可能にする
4. USBドライブを自動マウントしない設定
/dev/sdc1 /mnt/usb vfat noauto,user 0 0
noauto:システム起動時に自動マウントしないuser:一般ユーザーが手動でマウントできる
5. NFS共有ディレクトリのマウント
192.168.1.100:/shared /mnt/nfs nfs defaults 0 0
- リモートのNFSサーバー(192.168.1.100)上の
/sharedをマウント
/etc/fstabの編集手順
1. バックアップを取る
誤った設定を防ぐために、まず現在の/etc/fstabをバックアップします。
sudo cp /etc/fstab /etc/fstab.bak
2. fstabを編集する
エディタ(例:nano)を使って編集します。
sudo nano /etc/fstab
変更を加えたら、保存して終了(Ctrl + X → Y → Enter)。
3. 設定の確認
編集後、以下のコマンドで設定が正しいか確認します。
sudo mount -a
エラーがなければ、正しく設定されています。
/etc/fstabのトラブルシューティング
1. システム起動時にマウントエラーが発生する
- 設定ミスの可能性があるため、レスキューモードで起動し、
fstab.bakを復元する
sudo cp /etc/fstab.bak /etc/fstab
2. UUIDを指定したのに認識されない
blkidコマンドで正しいUUIDを確認する
blkid
3. NFSマウントが失敗する
- NFSサービスが稼働しているか確認する
systemctl status nfs-server
まとめ
/etc/fstabはLinuxシステムのファイルシステム管理に欠かせない設定ファイルです。本記事では、基本構成、設定方法、具体的な記述例、編集手順、トラブルシューティングまで解説しました。適切な設定を行うことで、ストレージ管理を効率的に行い、安定したシステム運用が可能になります。
