Linuxユーザーにとって、Vimは非常に強力なテキストエディタです。軽量で起動も速く、ターミナル上で動作するため、サーバー管理や開発業務でも重宝されています。しかし、Vimはキーバインドやコマンドが独特で、慣れるまでに時間がかかるというイメージを持たれがちです。
この記事では、初心者から中級者向けに、Vimの作業効率を劇的にアップさせる便利な技を10個厳選して紹介します。普段の操作がぐっと快適になるコツばかりですので、ぜひ参考にしてください。
ノーマルモードとインサートモードの切り替えをマスターしよう
Vimの基本は「モードの使い分け」です。通常のテキスト編集はi
やa
でインサートモードに入って行いますが、Esc
を押してノーマルモードに戻ることで多くの便利な操作ができます。ノーマルモード中にx
で1文字削除、dd
で1行削除、yy
で1行コピーなどができます。
これらの切り替えをスムーズにできるようになると、Vimの本領を発揮できます。
行の移動をスピーディーにする「gg」「G」「:n」
長いファイルを編集していると、移動に時間がかかります。Vimでは以下のコマンドで高速に移動できます。
gg
:ファイルの先頭に移動G
:ファイルの末尾に移動:n
:n行目に移動(例::25
で25行目)
この3つを覚えるだけでも、スクロール作業の時間を大幅に短縮できます。
ビジュアルモードを使って複数行をまとめて編集
Vimのビジュアルモードは、範囲選択と一括操作を可能にします。v
で文字単位、V
で行単位の選択ができ、Ctrl + v
で矩形選択も可能です。選択した状態でd
を押せば削除、y
ならコピー、>
でインデント追加ができます。
特に矩形選択は、カラム編集などで大変便利です。
検索と置換で一括修正
Vimでは強力な検索・置換機能も使えます。たとえば、/keyword
でkeyword
を検索できます。次の一致はn
、前の一致はN
でジャンプします。
一括置換は以下のように書きます:
:%s/old/new/g
これはファイル全体で「old」を「new」に置き換えます。範囲を指定したいときは行数を加えればOKです。
マクロ機能で繰り返し操作を自動化
同じ操作を複数の場所に繰り返したいとき、マクロは非常に便利です。
qa
でレジスタa
に記録開始- 操作を実行(例:文字列の編集など)
q
で記録終了@a
でマクロを実行@@
で最後のマクロを再実行
繰り返し操作を自動化することで、作業時間を大幅に削減できます。
複数ファイル編集:バッファ、タブ、ウィンドウを使い分けよう
Vimでは、複数のファイルを同時に開いて編集できます。
:e filename
で新しいファイルを開く(バッファに追加):bnext
/:bprev
でバッファ間を移動:tabnew
で新しいタブを作成:vsp
や:sp
で画面を分割(縦・横)
用途に応じて使い分けることで、大規模な編集作業も効率的にこなせます。
よく使う操作をマッピングしてショートカットを作る
設定ファイル(~/.vimrc
)で独自のショートカットキーを設定できます。たとえば以下のようにすれば、保存と終了をワンタッチで実行できます:
nnoremap <leader>w :w<CR>
nnoremap <leader>q :q<CR>
\w
で保存、\q
で終了ができるようになります。自分好みにカスタマイズするのがVimの醍醐味です。
編集途中でも安心!アンドゥ・リドゥ機能
意図せずに文字を消してしまっても心配いりません。
u
:ひとつ前の操作を取り消し(Undo)Ctrl + r
:取り消した操作をやり直す(Redo)
これを知っているだけで、安心して編集作業ができます。
プラグイン導入で機能を拡張しよう
Vimは軽量ながら、プラグインを導入することで驚くほど高機能になります。たとえば:
vim-plug
:プラグイン管理ツールNERDTree
:ファイルツリー表示fzf.vim
:高速ファイル検索lightline.vim
:ステータスラインの強化
まずはプラグインマネージャー(vim-plugなど)を入れて、便利そうな機能を試してみるのがおすすめです。
.vimrcの書き方を工夫して快適環境を作る
~/.vimrc
はVimの設定ファイルで、よく使う設定をまとめて書いておくと毎回快適に使えます。たとえば:
set number " 行番号を表示
set tabstop=4 " タブ幅を4に設定
set expandtab " タブをスペースに変換
set shiftwidth=4 " 自動インデント幅
syntax on " 構文ハイライト
このような基本設定だけでも、操作性がかなり向上します。
まとめ
Vimは、知れば知るほど奥が深く、自分流にカスタマイズできる自由度の高いエディタです。最初は戸惑うかもしれませんが、今回紹介した便利技を活用することで、日々の作業効率がぐっと上がります。
「慣れると手放せない」と言われるVimの魅力、ぜひ体感してみてください!