Linuxでルートファイルシステムを再マウントして読み書き可能にする:mount -o remount,rw / の使い方

Linuxシステムでファイルの修正やログの確認を行いたい時、「読み取り専用ファイルシステムです」といったエラーに遭遇した経験はありませんか?
これはファイルシステムが読み取り専用モードでマウントされている場合に発生します。特に緊急対応時やリカバリモード中に多い現象です。
そんなときに役立つのが「mount -o remount,rw /」というコマンド。ルートファイルシステムを再マウントし、読み書き可能な状態に戻す方法について、わかりやすく解説していきます。
トラブル対応力アップにもつながる内容ですので、Linuxを扱う方はぜひ知っておきましょう。


ルートファイルシステムが読み取り専用になるのはなぜ?

Linuxでは、システムを保護するためやトラブル発生時に、ファイルシステムが読み取り専用でマウントされることがあります。
よくあるケースとしては以下のようなものです。

  • 強制終了や電源断などにより、ファイルシステムに不整合が起きた
  • 起動時のファイルシステムチェック(fsck)でエラーが発見され、読み取り専用として起動された
  • 意図的にリカバリモードで読み取り専用マウントにしている
  • SELinuxやパーミッションの問題で書き込みが拒否されたように見えるケース

この状態では、ログの確認はできても設定ファイルの編集やログの書き込みができず、対応が制限されてしまいます。


mount -o remount,rw / の意味を解説

mount -o remount,rw /」は、すでにマウントされているルートファイルシステム / を「再マウント(remount)」し、「読み書き可能(read-write: rw)」に変更するコマンドです。

それぞれのオプションの意味を簡単に解説します。

  • mount: マウント操作を行う基本コマンド
  • -o: オプションを指定するための引数(-o は “option” の略)
  • remount: すでにマウントされているファイルシステムの設定を変更する
  • rw: 読み書き可能(Read/Write)な状態でマウントする
  • /: 対象となるマウントポイント(この場合はルートディレクトリ)

つまり、「読み取り専用でマウントされているルートファイルシステムを、読み書きできる状態に変更する」ための非常に強力なコマンドです。


実行前に確認すべきこと

このコマンドを使う前に、以下の点を確認しておくことが重要です。

1. ファイルシステムの状態確認

まずは現在のマウント状態を確認しておきましょう。

mount | grep 'on / '

または

findmnt /

これで /ro(読み取り専用)でマウントされているかどうか確認できます。

2. 重要ファイルのバックアップ

読み書き状態の変更はファイルシステムに影響を与える可能性があります。
万が一に備えて、可能であれば重要な設定ファイルなどはバックアップしておきましょう。

3. root権限の確認

このコマンドは**管理者権限(root)**で実行する必要があります。
sudo が使える環境では、以下のように実行します。

bashコピーする編集するsudo mount -o remount,rw /

実行手順とサンプル

シンプルな再マウント

最も基本的な使い方は以下のとおりです。

sudo mount -o remount,rw /

これで / が読み書き可能な状態になります。
確認のために、再度 mount コマンドでオプションが rw に変わっているか確認しましょう。

mount | grep 'on / '

出力例:

/dev/sda1 on / type ext4 (rw,relatime,data=ordered)

エラーが出た場合の対処法

再マウントに失敗する場合、以下のようなエラーが出ることがあります。

mount: /: cannot remount /dev/sda1 read-write, is write-protected

この場合は以下の点を確認してください。

  • ファイルシステムが壊れていないか(fsckを実行する)
  • 物理的なディスクエラーが発生していないか
  • ブート時のオプションに「ro」が設定されていないか(/etc/fstabの確認)

トラブル発生時にfsckと併用する

再マウントに失敗する場合、ファイルシステムが破損している可能性があるため、fsck(ファイルシステムチェック)を行う必要があります。

fsck -y /dev/sda1

※マウント解除した状態で実行する必要があります。ルートファイルシステムの場合はLive CDやレスキューモードで起動し、対象ディスクに対してfsckをかけるのが一般的です。


fstabファイルの確認も忘れずに

再マウントでrwにできても、再起動時にまたroに戻ってしまうことがあります。
その場合は /etc/fstab の設定が原因です。対象の行を確認し、「defaults,ro」などと記述されていないかチェックしましょう。

例:

/dev/sda1   /   ext4    defaults,ro    0   1

これを

/dev/sda1   /   ext4    defaults,rw    0   1

のように変更して保存することで、次回以降の起動時にも読み書き可能な状態でマウントされます。


注意点とセキュリティ的な観点

意図しない書き込みに注意

読み取り専用でマウントされているのには理由があります。むやみにrwに変更すると、ファイルシステムを破壊してしまう恐れもあります。
特に、トラブルシューティング中に原因を調べずにrw化するのは避けましょう。

セキュリティの観点からも注意

ブート時に/を読み取り専用でマウントすることで、マルウェアや誤操作から重要なファイルを保護する運用もあります。
セキュリティポリシーに従って適切に使用しましょう。


まとめ

mount -o remount,rw / コマンドは、Linuxシステムでルートファイルシステムを一時的に読み書き可能にするための強力な手段です。
特にトラブル発生時やシステム修復作業中には欠かせない操作の一つです。

ただし、使いどころや目的を明確にし、ファイルシステムの状態やfstabの設定なども総合的に確認した上で使用することが大切です。

万が一の際に慌てないためにも、コマンドの意味や背景をしっかり理解しておきましょう。Linux管理者としての信頼性がぐっと上がるはずです。

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