Linuxを使い始めたばかりの方にとって、ユーザーの管理は少し難しく感じるかもしれません。
とくに「新しいユーザーを作りたいけど、何のコマンドを使えばいいの?」という疑問を持つ方は多いでしょう。
この記事では、Linuxで新しいユーザーを簡単に作成できる便利なコマンド「adduser」について、基本から実践的な使い方までを丁寧に解説します。
実際の操作例やよくあるエラーへの対処法も紹介するので、Linux初心者の方でも安心して読み進められる内容です。
adduserとは何か?
adduserは、Linuxで新しいユーザーアカウントを作成するためのコマンドです。
多くのLinuxディストリビューションで使用可能で、内部的にはuseraddコマンドを使って動作していますが、より使いやすく親切なインターフェースを提供してくれる点が特徴です。
useraddよりもインタラクティブに対話形式で設定できるため、初心者には特におすすめです。
基本的な使い方
コマンドの構文
sudo adduser ユーザー名
具体例
たとえば、「taro」というユーザーを作成したい場合は以下のように入力します。
sudo adduser taro
このコマンドを実行すると、パスワードの設定やユーザー情報の入力(フルネームなど)を求められる対話的なプロンプトが表示されます。
Adding user `taro' ...
Adding new group `taro' (1001) ...
Adding new user `taro' (1001) with group `taro' ...
Creating home directory `/home/taro' ...
Copying files from `/etc/skel' ...
Enter new UNIX password:
Retype new UNIX password:
adduserが行っていること
adduserコマンドは、単にユーザーを追加するだけでなく、以下のような処理を自動で行ってくれます。
/etc/passwdにユーザー情報を追加/etc/shadowにパスワード情報を登録/etc/groupに新しいグループを作成(通常はユーザー名と同じ)/home/ユーザー名のホームディレクトリを作成/etc/skelにあるテンプレートファイル(.bashrcなど)をコピー- ログインシェルを設定(デフォルトはbash)
これらをすべて手動で行うのは手間がかかりますが、adduserならワンコマンドで完了します。
オプションの使い方
adduserコマンドは、いくつかの便利なオプションも用意されています。代表的なものを紹介します。
–home
ホームディレクトリの場所を指定したい場合:
sudo adduser --home /custom/home/path taro
–shell
ログインシェルを変更したい場合:
sudo adduser --shell /bin/zsh taro
–uid / –gid
ユーザーIDやグループIDを指定したい場合:
sudo adduser --uid 1500 --gid 1500 taro
これらは企業のユーザー管理や、特別な要件のあるシステムで役立ちます。
グループへの追加
ユーザーを特定のグループに追加したいときは、--ingroupオプションを使います。
sudo adduser taro developers
または、ユーザー作成後にusermodでグループに追加することも可能です。
sudo usermod -aG developers taro
ここで「-aG」は「既存のグループに追加する」ためのオプションです。
よくあるエラーと対処法
「adduser: command not found」と表示される
このエラーは、adduserコマンドがインストールされていない場合に発生します。Debian系(Ubuntuなど)では標準で使えますが、RedHat系(CentOS、RockyLinuxなど)では使えないことがあります。
代わりにuseraddを使うか、以下でインストールしてください:
sudo dnf install util-linux-user
「Permission denied」と表示される
adduserは管理者権限が必要です。sudoを付けて実行しましょう。
sudo adduser taro
作成したユーザーでログインする方法
ユーザーが作成されたら、そのユーザーでログインするには以下のコマンドを使います:
su - taro
もしくは、システムのログイン画面から新しいユーザーでログインすることも可能です。
adduserとuseraddの違い
adduserとuseraddは似ていますが、以下のような違いがあります。
| 比較項目 | adduser | useradd |
|---|---|---|
| 操作形式 | 対話形式で親切 | コマンドラインで細かく指定が必要 |
| 推奨対象 | 初心者向け | 中級者〜上級者向け |
| 使用感 | 入力しやすい | 慣れが必要 |
| ディストリビューション | Debian系に標準搭載 | ほぼ全ディストリビューション対応 |
初心者にはadduser、より細かい管理がしたい場合はuseraddがおすすめです。
まとめ
Linuxでユーザーを追加するには、adduserコマンドを使えば簡単に実行できます。対話形式で進められるため、初心者でもミスなく設定が行えます。
また、--homeや--shellなどのオプションを活用すれば、さらに柔軟な設定が可能です。
よくあるエラーにも慌てず対処できるようにしておくことで、ユーザー管理のトラブルも減らすことができます。
Linuxのユーザー管理をしっかり理解して、より安全で効率的な運用を目指しましょう!
