11月6日――特に大きな祝日にはなっていない日ですが、意外にも多彩な「記念日」が重なる日でもあります。木造アパート誕生の記念日、お見合いの文化を振り返る日、健康志向の麦の日、国際的な環境保護を訴える日など、その背景には時代のうねりや社会意識の変化が映し出されています。本稿では、11月6日に制定されている代表的な記念日を5つ取り上げ、それぞれの成立理由や意味を探りながら、「この日に思いを馳せる価値」を読み解いていきます。
アパート記念日 ～日本初の木造アパート完成の日
まず筆頭に挙げたいのが アパート記念日 です。
この記念日は、1910年（明治43年）11月6日に、東京・上野に日本初の木造アパート「上野倶楽部」が完成したことにちなんで制定されています。
「上野倶楽部」は5階建て、70室を備えた賃貸集合住宅で、浴室・洗面所を共同で利用するなど、当時としては画期的な設備を備えていたとされています。
このようなアパート形式の居住様式が普及する契機にもなったとされ、この日は「住まい」の近代化を象徴する記念日でもあります。
この記念日には、住宅政策や集合住宅の歴史、都市化に伴う住環境の変化などを振り返る機会にもなります。
お見合い記念日 ～集団お見合いの日を振り返る
次に紹介するのが、 お見合い記念日 です。
1947年（昭和22年）11月6日、東京都多摩川河畔で、結婚紹介雑誌『希望』が主催する集団お見合いが開催されました。
戦後、日本社会は結婚適齢期を逃した人も多く、また男女の出会いの場も制限されていたところ、このような形式が注目を集めたと言われます。
この「集団お見合い」は、当時で約386人もの男女が参加し、終了後には希望する相手の身上書を申し込めるという仕組みだったそうです。
現在では、結婚相談所やマッチングサービスによる出会いが主流になりましたが、この記念日は、伝統的な仲人文化や婚活の変遷を考える機会になります。
いいもち麦の日 ～健康志向と食文化の記念
3つ目は いいもち麦の日 です。
「いい（11）むぎ（6）」の語呂合わせから制定されました。
この記念日は、もち麦（もちむぎ）の美味しさと健康面での利点を広く知ってもらうことを目的としています。
もち麦は食物繊維が豊富で、噛み応えがあり、健康食品として注目を浴びています。
この日には、もち麦を使ったレシピ紹介や、機能性に関する情報発信が行われることが多いようです。
健康志向の高まりの中で、こうした食材記念日は日常の食選びを見直すいいきっかけとなるでしょう。
いいマムの日 ～菊（マム）の魅力を伝える日
4つ目に挙げるのが いいマムの日 です。
「いい（11）マム（6）」の語呂合わせにより、菊（マム）の魅力を広く伝えることを目的に制定されています。介
「マム」は英語で菊（chrysanthemum）を指し、園芸・切り花としての菊の文化的価値を見直す意味も込められています。
菊は日本において伝統的に重要な花であり、宮中や神社の象徴として扱われてきました。記念日を通じて、園芸愛好家や切り花業界、一般市民に向けてその多様性や美しさを訴える役割を果たしています。
戦争と武力紛争による環境搾取防止のための国際デー ～平和と環境の交点として
最後に、国際的な視野を持つ記念日、 戦争と武力紛争による環境搾取防止のための国際デー を挙げます。
この日は、2001年に国連が定めた国際デーで、武力紛争が自然環境に与える被害を訴え、平和と環境保全の関係を見つめ直す日です。
戦争や武力紛争は、土壌汚染、水源破壊、森林破壊、生態系への影響などをもたらすことがあります。この記念日は、そうした「見えにくい被害」に目を向け、紛争地域の環境修復や国際協力の重要性を訴える機会でもあります。
この日の成立には、環境正義や平和構築を両立させようというグローバルな動きが背景にあります。
まとめ
上記5つの記念日を並べてみると、11月6日という日は、一見地味な日でありながら、次のようなテーマが浮かび上がります。
- 暮らしと住環境の変化：アパート記念日からは、都市化・集合住宅文化の発展を振り返ることができます。
- 出会いと家族形成：お見合い記念日は、結婚文化や社会構造の変化を映し出しています。
- 食と健康：いいもち麦の日は、食生活の見直しや健康意識の高まりと結びついています。
- 文化・美意識：いいマムの日は、植物を通じた美意識や文化的価値を再評価させます。
- 平和と環境：国際デーは、戦争被害が残す影響を忘れずに、環境保護と平和構築を訴える日としての意味があります。
これらを縦横に結びつけて考えると、11月6日は「日常と文化」「社会と環境」「個人と公共」が交差する地点とも言えそうです。