秋が深まり、木々の葉が色を変え始める11月。その中でも 11月2日 は、文化・想い・祈りを感じさせるさまざまな記念日が重なっている日でもあります。「習字の日」「いいふたりの日」「都市農業の日」「阪神タイガース記念日」「死者の日」──同じ日付に生まれたこれらの記念日は、それぞれ異なる角度から「絆」や「記憶」「表現」、さらには「暮らし」を私たちに問いかけてくれます。本記事では、11月2日の記念日を5つピックアップし、その由来や意味、現代へのつながりを解説します。この日をきっかけに、昔を思い出したり誰かとの関係を見つめたりする “特別な1日” にしてみませんか。
1. 習字の日(書道の日/書をたしなむ日)
由来・趣旨
「習字の日」は、日本習字教育財団が制定した記念日で、語呂合わせの「いい(11)もじ(02)」に由来します。書道・習字文化を尊重し、手書き文字の美しさとその文化的価値を見直す日とされています。また、「書道の日」という表記も併用され、芸術としての書道、自己表現としての書のあり方にも目を向けるという意味合いを含む場合もあります。
現代とのつながり・意義
スマートフォンやパソコンで文字を打つ機会が増えた現代だからこそ、手で字を書く機会を意識的に持つことには価値があります。書くという行為は、手指の運動や集中力を必要とし、文字の配置やバランスを考えることで脳の異なる領域を使うことにもつながると言われています。
また、子どもたちの学習指導や地域の文化活動として「書道教室」や「作品展」などがこの日を中心に行われることもあります。こうした活動を通じて、古来からの文字文化を次世代に受け継ぐ契機になっています。
2. いいふたりの日
由来・意図
「いいふたりの日」は、ジュエリーブランド “SORA” を運営する有限会社ソラによって制定された記念日で、「11(いい)2(ふたり)」という語呂合わせに基づいています。 この日は、夫婦・恋人・友人・親子など、あらゆる “ふたり” の関係を見直す日とし、指輪やジュエリーを通じて感謝を伝える機会とすることを目的としています。
なぜジュエリー?
記念日を定めた趣旨として、「指輪を単なる装飾品ではなく、人生の指針や絆の象徴(いれもの)と捉える」という想いがあるとのこと。ふたりの存在をあらためて意識し、日常の中で感謝や想いを伝えるきっかけになることを期待しています。
活用のヒント
この日を記念日にして、パートナーと指輪を選びに行ったり、ペアアクセサリーを贈り合ったりするイベントやキャンペーンが企業側で行われることもあります。また、言葉で改めて「ありがとう」「これからもよろしくね」を伝え合う日としてもよいでしょう。
3. 都市農業の日
由来・登録と背景
「都市農業の日」は、東京都農業協同組合中央会(JA東京中央会)が制定した記念日で、2015年に日本記念日協会に認定登録されました。 日付の選定には、以下のような理由が関係しています:
- 11月は収穫を祝う農業祭のシーズンである点
- 「都市農業振興基本法」が成立した日から数えて194日後であり、1+9+4 = 14 → 「と(10)し(4)」と読むことにちなんでいるという語呂合わせ要素
- この日には、都内で農畜産物品評会や「東京都農業祭」が開催されることがある点が踏まえられている
意義・メッセージ
都市部での農業、つまり「都市農業」は、食料の地産地消、都市緑化、まちづくりの一環、教育的機能(食育)など複数の役割を持っています。この記念日は、都市に住む人たちにも身近な「農」とのつながりを意識してもらうことを目的としています。
たとえば、都市農園体験や共同菜園、学校での食育プログラム、地産地消フェアなどがこの日に関連して企画されることがあります。
4. 阪神タイガース記念日
由来・出来事
「阪神タイガース記念日」は、プロ野球・阪神タイガースのファンや関係者によって制定された記念日で、1985年の11月2日にこの球団が日本シリーズで西武ライオンズを破り、日本一を達成した日を記念しています。 これは、2リーグ制になってから初の日本一であり、ファンにとって非常に思い入れの強い日です。
ファンと地域文化のつながり
球団の勝利を祝う意味だけでなく、地域の誇りや応援文化を育ててきた象徴でもあります。毎年この日を機に、ファン向けのイベント、球団公式の記念企画、歴史を振り返る展示や特別グッズの販売などが行われることもあります。
野球ファンであれば、この日を通じて当時の記憶を語り合ったり、次世代にそのストーリーを伝えたりする機会としてもいいでしょう。
5. 死者の日(万霊節/All Souls’ Day)
宗教的背景・意味
「死者の日(万霊節)」は、キリスト教(特にカトリックや聖公会、あるいはその他教派)における宗教儀礼の日で、11月1日の「万聖節(All Saints’ Day/諸聖人の日)」の翌日にあたります。この日は、すでに亡くなった信仰者すべての霊魂を記憶し、祈りを捧げる日と位置づけられています。
元来、キリスト教の教義の中には、罪を清める過程を果たす場所(煉獄)という考えがあり、生者が行う祈りやミサを通じて、亡くなった人々の霊魂を助けるという信仰もあります。死者の日は、このような信仰に根ざした祈念の意味合いを持ちます。
世界各地での習慣と現代への感覚
中南米では「Día de los Muertos(死者の日/亡霊祭)」として、11月1日および2日に先祖を祝う風習が盛んです。 墓地を訪れて花やろうそくを捧げたり、故人の好物や写真を飾ったり、オレンジや黄色のマリーゴールド(花)が使われたりと、色彩豊かで温かい記憶と結びついた祭事となっています。
日本でも、キリスト教徒を中心にこの日に追悼ミサや祈念活動を行う教会があります。また、亡くなった人への想いを再確認する意味で、仏教や無宗教の人々にとっても重く受け止められる日になることがあります。
まとめ
11月2日は、一見平凡な秋の日かもしれませんが、そこには「文字と表現」「人との絆」「農と生活」「スポーツの軌跡」「祈りと記憶」と、異なるテーマが重なり合う日です。どの記念日も、私たちにとって当たり前になりがちな要素を再び意識させてくれるきっかけとなるでしょう。
もしあなたがこの日を意識して過ごすなら、たとえば午前中にペンをとって手書きの言葉を書いたり、夜に故人を思ってろうそくを灯したり、大切な誰かと「これから」を語り合ったりするのもいいかもしれません。11月2日が、あなたにとって記憶に残る“何か”を生む一日になりますように。