毎年訪れる「10月28日」。あなたは、この日にどんな記念日があるかご存じでしょうか?
普段何気なく過ぎてしまう日にも、歴史や文化、暮らしに根ざしたさまざまな意味が重ねられています。
本日は、「速記」や「おだし」、「県民の日」など、日本ならではの記念日を通じて、記憶に残る1日にしてみませんか?
この記事では、10月28日の主要な記念日を5つ取り上げ、それぞれの背景や雑学、楽しみ方を紹介します。さらに、この日にまつわるちょっとした豆知識も交えて、読み応えあるコンテンツにしました。ぜひ、今日という日を少し特別に感じていただければ嬉しいです。
記念日5選(10月28日の記念日)
以下は、10月28日に制定された、または広く認知されている主な記念日です。
- 速記の日(速記記念日)
- おだしの日
- 群馬県民の日
- 濃尾地震の日(岐阜県地震防災の日)
- 国際アニメーション・デー(International Animation Day)
それぞれについて、起源、意義、関連する豆知識を紹介していきます。
速記の日(速記記念日)
起源・制定
10月28日は日本における「速記」の普及・啓発を目的とした記念日です。公益社団法人・日本速記協会が制定しています。
その起源は、1882年(明治15年)のこの日、田鎖綱紀(たくさり こうき)が東京・日本橋で、彼自身が考案した速記法「日本傍聴筆記法」の第一回講習会を開催したことに遡ります。
後年、この日を記念する意味で、「速記記念日」として認知が定められました。
意義と現代での意義
速記という技術は、話し言葉を迅速かつ正確に文字化する技術であり、議事録・法廷記録・放送台本など、さまざまな場面で利用されてきました。
現代では音声認識技術や自動文字起こしツールの発達により、速記の需用は少しずつ変化していますが、手書きや手動記録の技術としての価値、速記者の技能や正確さ、聴覚-視覚の統合能力などは、今なお尊重されるべき技術です。
この記念日を通じて、「記録する」「文字に残す」ことの意義をあらためて考える契機として活かされるとよいでしょう。
関連イベント・取り組み
毎年、速記協会はこの日を中心に速記技能の普及イベントや展示、競技会を実施しています。
また、学校や議会、出版・放送関係など、記録を扱う職場で「速記文化」を振り返る機会になることも期待されます。
おだしの日
起源・制定
「おだしの日」は、和食の基本である“だし”に注目し、その魅力を広めることを目的とした記念日です。
この記念日は、大阪府箕面市に本社を置く飲食チェーン「太鼓亭」が制定。日付の由来は、「かつお節の燻乾(いぶし干し)・カビ付け製法」を考案した紀州・印南浦の漁民・角屋甚太郎(かどや じんたろう)の命日(1707年10月28日)にちなんでいます。
意義・魅力
だしは、昆布・かつお節・しいたけ・煮干しなどを使って素材の旨味を引き出す調味の要。和食文化において欠かせない出汁(だし)は、料理の基本=「出汁がきく」おいしさを支える存在です。
この日を機に、家庭でだしをとる時間を持ったり、だし素材にこだわった料理を味わう機会を設けたりするのも楽しい試みです。
雑学・豆知識
- 「燻乾カビ付け製法」とは、かつおをいぶして乾燥させ、さらに良質なカビを付着させて熟成させる方法で、悪カビ発生を抑え旨味を引き出す技法です。
- 和食のだしは「一番だし」「二番だし」「三番だし」と段階を重ねて使う手法がありますが、風味・濃さ・使い道の違いに着目すると面白い料理体験になります。
群馬県民の日
起源・制定
群馬県では10月28日を「群馬県民の日」と定めています。これは、明治4年10月28日(新暦では少しずれますが)、廃藩置県の際に「群馬県」という名称が初めて使用されたことに由来するものです。
群馬県民の日を制定したのは1985年(昭和60年)。この日を県民の休日と位置づけ、県の施設を無料開放したり割引を行ったりする自治体もあります。
意義・活用
県民の日は、県民として自分の住む地域を見つめ直す日、地域の歴史・文化を振り返る日として機能します。
例えば、地元の博物館・資料館、自然公園、文化施設などが無料開放されたり、特別イベントが催されたりするケースもあります。地元の人々にとって、郷土への愛着を再確認する機会となるでしょう。
他県の類似制度との比較
日本各地には似た「県民の日」「市民の日」があり、地域によって制定日や運用内容が異なります。群馬県民の日は、県名誕生の歴史性に基づく制定例として興味深い例です。
濃尾地震の日(岐阜県地震防災の日)
歴史的背景
10月28日は、明治24年10月28日(西暦1891年)、岐阜県本巣郡西根尾村(現:岐阜県本巣市)付近を震源とする「濃尾地震」が発生した日でもあります。
この地震はマグニチュード 8.0 相当と推定され、日本の陸域で発生した断層運動型地震としては観測史上最大規模のものの一つです。
根尾谷断層(ねおだにだんそう)が大きくずれ、その断層線の隆起・断層崖は現在も「断層観察地」として残され、地質学的な価値を持つ場所として保存されています。
防災啓発としての位置づけ
この歴史を踏まえ、岐阜県では10月28日を「地震防災の日」として、地域住民の防災意識を高める日としています。
例えば避難訓練、断層観察会、地震関連セミナーなどが実施されることがあります。
また、断層の露頭(断層跡が地表に現れた場所)を見学できる施設(例:本巣市立地震断層観察館など)は、地震の仕組み・地質構造を学ぶ場として貴重な資源となっています。
雑学・教訓
- 根尾谷断層のずれは、場所によっては垂直方向で数メートルにも達したとされ、断層崖や段差が視認できる場所が現存します。
- この地震を契機に、断層観察と地質学の研究・教育が進められたと言われています。
国際アニメーション・デー(International Animation Day)
起源・意義
10月28日は、国際アニメーション・デー(International Animation Day:IAD)として、世界的にアニメーション(動画・映像・アニメ)文化を祝う日です。
この日は、1892年10月28日にフランスの発明家エミール・レイノー(Émile Reynaud)がパリのグラヴィン美術館(Musée Grévin)で、世界初のアニメーション的映像パフォーマンスを公開したことに由来します。
アニメーションを通じて、映像芸術の可能性や世界の文化交流を促す日とされています。
活用・楽しみ方
この日には、世界各地でアニメーション作品の上映会、ワークショップ、トークイベントなどが行われます。日本国内でも有志団体や美術館、映画祭などで関連企画を催すことがあります。
アニメーションという枠組みを超えて、CG、ストップモーション、実験映像など多様な映像表現との接点を探るきっかけにもなります。
雑学・関連情報
- アニメーションの歴史を遡ると、19世紀末から20世紀初頭にかけて、手描き映像、回転視覚装置(フェナキストスコープ、ゾートロープなど)が発展してきた背景があります。
- 今日の日本アニメ・CG産業は世界的に注目されており、この記念日を機に “つくる側” と “見る側” の両方でアニメーション文化を再確認する機運が高まります。
10月28日に関する雑学・豆知識
ここでは、10月28日にまつわる興味深いトピックを2つか3つ紹介します。
パンダの来日記念日 — “パンダの日”
1972年10月28日、中国からジャイアントパンダの「カンカン」と「ランラン」が日本・上野動物園に初めて来日しました。これを記念して、日本ではこの日を「パンダの日」としていることがあります。
上野動物園では、この日を中心にパンダ関連の展示やイベントを行うこともあり、当時のパンダブームの記憶が今なお多くの人に残っています。
通天閣(2代目)開業の日
10月28日は、通天閣(大阪・新世界地区、2代目通天閣)が開業した日でもあります。
通天閣は大阪を象徴する象徴的なタワーであり、その歴史・風景は大阪の観光・地域文化と密接に関わっています。
“休火山/死火山”の区別見直し(御嶽山の噴火)
昭和54年(1979年)10月28日、御嶽山(長野・岐阜県境)が噴火し、それまで「死火山」「休火山」と分類されていた火山区分を見直す契機となりました。
この出来事以降、「火山活動の継続性・最新データでの評価」が重視されるようになり、単純な“休火山”という区分は見直されるようになりました。