10月4日。特別に華やかな記念日ではないかもしれませんが、それだけに静かに心に響く日でもあります。この日は「世界動物の日」「天使の日」「陶器の日」「古書の日」など、さまざまな“静かな祈り”や“見守る眼差し”を感じさせる記念日が複数重なっています。この記事では、10月4日にまつわる記念日を紹介したいと思います。
世界動物の日:いのちと共に歩む気づき
10月4日は 世界動物の日(World Animal Day) として知られています。これは、すべての動物の命に敬意を表し、人々の動物愛護への意識を高めることを目的に制定された日です。
もともとは、イタリアのフィレンツェで、動物保護をすすめる活動家たちによって1931年に具体的な記念日の提案が出され、キリスト教の聖人である聖フランチェスコ(アッシジのフランチェスコ)を記念する日(10月4日)を選んだとの説があります。
この日は、動物園や保護施設で展示や講演会が行われたり、SNSで動物に関する投稿が増えたり、ペットを飼っている人たちが記念撮影や寄付をするなどの動きが見られます。人間と他の生き物との共存を改めて思う、優しいきっかけになる日と言えるでしょう。
たとえば、普段見過ごしている小さな虫にも「生きている存在がここにいる」という視線を向けてみる。踏みつけずにそっと別の場所へ逃がす。そんな小さな選択が、この日の意味をより日常に落とし込むことになるかもしれません。
天使の日:語呂合わせが生んだ優しさの記念日
10月4日は 天使の日 とも呼ばれます。「10(てん)4(し)」と読む語呂合わせから生まれた記念日で、主に日本で認知されています。
この記念日は、女性用下着メーカー・トリンプ(Triumph)の「天使のブラ」シリーズが1000万枚の販売を達成したことを記念して、同社が制定したものが起源とされています。
“天使”という言葉には、無垢・善意・見えないけれど守る存在といったイメージがあります。天使の日には、自分自身や周囲の人に対して、「あなたがそばにいてくれてよかった」と感じる言葉を贈ったり、天使をモチーフにした雑貨やカードを探したりする人もいます。
また、この日に合わせて「善意」をテーマにしたボランティア活動や寄付を募る企業・団体のキャンペーンも、近年では見られるようになりました。
陶器の日:土と炎の煌めきを讃えて
10月4日は 陶器の日 でもあります。これは、日本陶磁器卸商業協同組合連合会が制定した記念日で、「陶器(とうき)」の語呂「とう(10)き(4)」に由来しています。
陶器は、土という素材に、火と時間と技を注ぎ込むことで生まれます。日常のなかで器を選び、使い、手入れし、壊れればなおすという営みは、“素材と人”との対話とも言えるでしょう。陶器の日には、器を選びに出かけたり、陶芸教室に参加したり、また古い器を見直してみたりするのもいい機会です。
さらに、器を大切に扱う習慣を見直すきっかけにもなります。「割れたら捨てる」ではなく「割れたら修理する」「器を育てる」という視点は、人とモノとの長く続く関係を思い起こさせてくれます。
古書の日:過去と未来をつなぐ書物へのまなざし
10月4日は 古書の日 ともされています。全国古書籍商組合連合会が2003年に制定した記念日で、「古(こ)」の字を「十」「口」「口」「口」に分解し、「田」に見立てて、それを4冊の本に見立てたという解釈が語呂合わせの元になっているそうです。
この日は、古書店巡りや読書会、ブックマーケットなどが企画されることもあります。古書には、過去の思想や文化、作者の息遣いが詰まっています。その本を手に取ることで、時代を超えて人々と対話するような感覚を味わえるのが古書の魅力です。
また、自分の本棚を見直して、「もう読まないけれど手放すのは惜しい本」「誰かに渡したい本」を選び出すのもいいでしょう。本をめぐる循環を意識することが、読書文化を支える一歩になるかもしれません。
イワシの日:日常のなかのささやかな感謝
10月4日は イワシの日 という記念日もあります。語呂合わせで「い(1)わ(0)し(4)」と読ませたものです。
イワシは、日本の伝統的な庶民の魚のひとつで、家庭の食卓に馴染み深い魚です。イワシの日には、「魚を大切に食べる」「水産資源を見直す」「地元で取れる魚を味わう」といった視点で食事を考えるきっかけになります。
たとえば、イワシの缶詰をあれこれ買って食べ比べてみたり、自家製の南蛮漬けを作ってみたり、魚料理レシピをSNSでシェアしたりするのも楽しい過ごし方です。魚を通じて海や漁業、生き物のつながりを身近に感じる日になり得るでしょう。
証券投資の日・都市景観の日:現代社会を見渡す視点
10月4日には、ちょっと異なる性格の記念日も存在します。たとえば 証券投資の日 や 都市景観の日 などがその例です。
- 証券投資の日 は、資産形成や株式投資、金融リテラシーを考えるきっかけの日として設定されています。
- 都市景観の日 は、国土交通省が主導し、都市の風景・まちなみを大切にする意識を育てる日とされています。
これらの記念日は、私たちの暮らす街や社会そのものを見つめ直す視点を提供してくれます。証券投資に少し興味をもってみたり、街の建物や緑、街路樹、公共空間を観察する散歩をしてみたり。記念日は、ただ“祝う”だけでなく、“問いかける”機会でもあります。
10月4日の歴史的出来事と記憶
記念日とともに、10月4日に起きた歴史的な出来事も、私たちの想像力を刺激してくれます。以下は、代表的な出来事のいくつかです。
- 1872年:富岡製糸場が操業を開始。日本近代化の象徴的な施設として、群馬県に設立されました。
- 1957年10月4日:ソ連が世界初の人工衛星「スプートニク1号」を打ち上げ、地球を周回させることに成功。人類の宇宙時代の幕開けとされています。
- 同じく10月4日には、ソ連が月探査機ルナー3号を打ち上げ、月の裏側を撮影したという記録もあります。
- また、この日には日本で「都市景観の日」の制定や、さまざまな記念日が重なるようになった背景も、社会文化の変遷を感じさせます。
これらの出来事を知ることは、今日という日を歴史の流れの中へとつなげ、現在を深く味わう視点を与えてくれるでしょう。