毎年8月11日は「山の日」として、国民の祝日に定められています。比較的新しい祝日でありながら、その意味や目的をきちんと理解していない方も多いかもしれません。「なぜ山の日があるの?」「何をする日なの?」と疑問を感じたことがある方もいるでしょう。
この祝日は、自然に親しみ、山の恩恵に感謝することを目的としたものです。山と聞くと登山を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、実はそれだけではありません。日本人の暮らしの中で山は古くから深いつながりを持っており、文化や信仰、生活の場としても大きな役割を果たしてきました。
この記事では、「山の日」の由来や意味、どのように過ごせばいいのか、楽しみ方の例などを詳しく解説します。自然と触れ合うきっかけとして、今年の山の日を有意義な一日にしてみませんか?
山の日とは?祝日の目的と概要
「山の日」は2016年から施行された国民の祝日です。毎年8月11日に定められており、その目的は「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝すること」にあります。
それまで8月には祝日がなく、夏休み中の子どもたちにも自然と触れ合う機会を提供する日として設けられました。また、山国である日本において、山は水や空気、木材など多くの資源をもたらす存在であり、文化的にも神聖視されてきました。そうした山の存在に感謝する日として制定されたのです。
山の日の由来と制定の背景
山の日が祝日として制定された背景には、複数の要因があります。もともと日本は海の日(7月)を持っていましたが、山の多い日本にとって、山も同様に重要であるという認識が広がり、山の日の制定が求められるようになりました。
特に日本山岳会や自治体などが中心となって制定運動を推進し、多くの国会議員の賛同を得たことで、2014年に祝日法が改正されました。当初は8月12日が検討されていましたが、1985年の御巣鷹山の日航機墜落事故を避けるため、8月11日に変更されました。
山の日の過ごし方・楽しみ方
「山の日」は単に登山を楽しむ日というだけでなく、自然とふれあい、心身をリフレッシュする日として活用できます。以下におすすめの過ごし方を紹介します。
登山やハイキングに出かける
近くの山やハイキングコースに出かけて自然を体感しましょう。初心者は低山や整備された遊歩道から始めるのがおすすめです。
キャンプや自然観察
山のふもとでのキャンプや、川遊び、虫取りなど、自然とのふれあいを楽しむ活動も山の日にぴったりです。
地元の山にまつわる神社や文化にふれる
山に信仰を持つ地域も多く、山岳信仰や修験道に関連した神社仏閣を訪れるのも良いでしょう。
家で山に思いをはせる
外出が難しい場合は、山に関するドキュメンタリーや書籍、映画を楽しむことで、山への理解を深めることができます。
日本人と山の深い関わり
山は古来より日本人の暮らしに密接に結びついてきました。たとえば以下のような関係があります。
信仰と山
霊山信仰(れいざんしんこう)と呼ばれるように、多くの山は神が宿る場所とされ、修験者が修行を行う場でもありました。富士山、白山、吉野山などが有名です。
生活資源としての山
山は水の源であり、森林は木材、きのこ、山菜、野生動物など多くの恵みを人々に提供してきました。
日本の地形と山の多さ
日本の国土の約7割が山地であるため、人々の住環境や移動、産業も山と関係を持っています。山を越えて物流が行われ、峠道や街道が栄えたのもその影響です。
山の日に行われるイベントや取り組み
山の日には全国各地でさまざまなイベントが開催されます。主な例として以下があります。
- 記念式典や山岳イベント:各地の自治体や山岳団体による山の日の式典や登山イベント
- 子ども向け自然体験会:自然観察や登山教室、キャンプ体験などを通じた環境教育
- 清掃登山や保全活動:山の清掃や自然保護活動に参加するボランティアイベント
これらの取り組みを通じて、山の重要性を再認識し、次世代へ自然を大切にする意識を継承していくことが期待されています。
まとめ:山の日をきっかけに自然と向き合う時間を
「山の日」は単なる休日ではなく、自然に親しむ大切な機会です。忙しい毎日の中で、自然と触れ合い、心身をリセットする時間を持つことはとても重要です。
山は静かに、しかし確かに私たちの暮らしを支えてくれています。この祝日をきっかけに、山や自然との関わりを見つめ直してみてはいかがでしょうか?
登山でも、散策でも、山の映像を観るだけでもいいのです。自分なりの「山の日」の過ごし方を見つけて、自然への感謝の気持ちを大切にしましょう。