秋の夜空にぽっかりと浮かぶまんまるのお月さま。日本では昔から「中秋の名月」と呼ばれ、特別な日として親しまれてきました。
けれども「中秋の名月って必ず満月なの?」「2025年はいつ?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
本記事では、中秋の名月の意味や歴史、日付の決まり方、そして楽しみ方までわかりやすく解説します。お月見をもっと味わいたい方に役立つ情報をまとめました。
中秋の名月とは?
「中秋の名月(ちゅうしゅうのめいげつ)」とは、旧暦の8月15日の夜に見える月のことを指します。
「中秋」とは秋の真ん中を意味しており、旧暦では7月から9月を秋と考えていたため、そのちょうど真ん中の日が8月15日になります。
この日に見える月が特に美しいとされ、「名月」と呼ばれるようになりました。
古来より、農作物の収穫に感謝し、月に祈りを捧げる行事としてお月見が行われてきました。
中国から伝わった風習が日本で広まり、平安時代には貴族たちが和歌や管弦を楽しむ宴を開いた記録も残っています。
現代ではすすきを飾り、団子をお供えして月を鑑賞する習慣が定着しています。
中秋の名月はいつ?
中秋の名月は「旧暦の8月15日」にあたる日ですが、現在私たちが使っている新暦(太陽暦)とはずれがあります。
そのため、中秋の名月の日付は毎年変わり、9月7日から10月8日の間のいずれかになります。
例えば最近の例を挙げると以下のようになります。
- 2023年:9月29日
- 2024年:9月17日
- 2025年:10月6日
このように年によって9月中旬になることもあれば、10月上旬になることもあります。
中秋の名月は満月とは限らない?
「中秋の名月=満月」と思っている方も多いのですが、実は必ずしも満月になるとは限りません。
その理由は、旧暦の日付と実際の月の満ち欠けには少しズレがあるからです。
旧暦では月の満ち欠けを基準にして日付を決めていますが、正確に言えば満月になるタイミングと旧暦8月15日の夜が完全に一致するとは限りません。
そのため「中秋の名月の日は十三夜や十六夜になることもある」のです。
ただし、ほぼ満月に近い月が見えるため、見た目には十分「名月」と呼ぶにふさわしい美しさを楽しめます。
中秋の名月の由来と歴史
中秋の名月の起源は中国にあります。
中国では「中秋節」と呼ばれ、月に供え物をして豊作や家族の健康を祈る行事が盛んに行われてきました。
日本には奈良時代から平安時代にかけて伝わり、当初は宮中行事として楽しまれました。
特に平安貴族は、池に映る月を鑑賞しながら和歌を詠み、管弦を奏でる優雅な宴を開いていました。
やがてこの風習が庶民へと広まり、江戸時代には収穫祭と結びつき、豊作を祈願して団子や里芋、栗を供える習慣が根づきました。
そのため「芋名月」とも呼ばれることがあります。
中秋の名月に食べるもの
中秋の名月といえば「月見団子」が代表的です。
白くて丸い団子は月をかたどり、感謝や願いを込めて月に供えられます。
数は15個を積み上げるのが一般的で、十五夜にちなみ「豊作」や「円満」の意味を込めています。
また、すすきも欠かせません。すすきは稲穂に似ており、魔除けの意味もあるため、月見団子と一緒に飾る習慣があります。
さらに地域によっては里芋や栗を供えることもあり、「芋名月」「栗名月」とも呼ばれるのはそのためです。
中秋の名月の楽しみ方
現代ではお月見は「季節の行事」として気軽に楽しむ人が増えています。
楽しみ方の例を挙げると次のようになります。
- 家族で月見団子を食べながら夜空を眺める
- ベランダや庭にすすきを飾る
- 写真撮影をしてSNSに投稿する
- 月にちなんだ和歌や俳句を調べてみる
- 秋の夜長を生かしてゆっくり読書する
特別な準備をしなくても、夜空を見上げるだけで心が落ち着き、秋を感じることができます。
2025年の中秋の名月はいつ?
2025年の中秋の名月は 10月6日(月) です。
この日はほぼ満月に近い月が見られるため、美しい名月を楽しむことができるでしょう。
ただし天候によっては見られないこともあるため、予備日として「十六夜(いざよい)」や「十三夜」も一緒に楽しむのがおすすめです。
昔から日本では「十五夜と十三夜の両方を愛でるのが縁起が良い」とされており、どちらか片方しか見ないことを「片見月」と呼んで忌まれてきました。
まとめ
中秋の名月とは、旧暦の8月15日の夜に見える月を指し、必ずしも満月とは限りません。
中国から伝わった風習が日本で独自に発展し、団子やすすきを供えるお月見の行事として根づいています。
2025年は10月6日が中秋の名月の日です。
秋の夜、ぜひ空を見上げて月を楽しみ、古来から続く季節の風情を感じてみてください。