贈ると不吉?知っておきたい“怖い花言葉”の世界

花束を贈るとき、思わず花言葉を気にしてしまうことはありませんか?
真っ赤なバラに込められた情熱的な愛、チューリップの色によって変わる意味など、美しくロマンチックな花言葉に心が踊ることも多いでしょう。
しかし、一見華やかに見える花にも、実は“怖い花言葉”が存在するのをご存じでしょうか? 由来をたどると寒気がするような言い伝えや、贈る人・贈られる人にとって不吉なメッセージを含むものなど、花言葉の世界は意外にも闇が深いのです。
この記事では、そんな“怖い花言葉”の背景や代表的な例、贈るときの注意点などをじっくり紐解いていきます。普段はあまり目を向けない、花言葉の“負の側面”を知ることで、さらに花の魅力を深く感じるきっかけになるかもしれません。ぜひ最後までお読みください。

1. 花言葉とは?

花言葉とは、植物に象徴的な意味を与え、その花を通じて想いや気持ちを伝えるための“暗号”のようなものです。
古くはヨーロッパの宮廷文化やオスマン帝国時代の“セラム”など、花の色や形状、開花時期、神話や伝承との結びつきから少しずつ形成されてきたといわれています。
日本にも、明治時代頃から西洋の文化が流入し、いわゆる「花言葉辞典」のような本が出始めました。今日ではインターネットや書籍で簡単に検索できるため、プレゼントや装飾を選ぶ際に“花言葉”を気にする人も多いでしょう。
しかし、花言葉が生まれた背景には宗教的なシンボリズムや歴史的エピソードが根付いており、ポジティブな意味だけでなく、ネガティブなイメージやタブー視されてきた言い伝えが結びついている花も決して少なくありません。


2. 怖い花言葉の背景

一般的に、花は「美しさ」「生命力」「祝福」を象徴し、特に贈答用のシーンでは相手への敬意や愛情が込められています。ですが、宗教や伝承の中で“死”や“不吉”を暗示する出来事と結びついてしまった花や、伝説の中で悲劇的なエピソードがある花もあります。
また、花や色のイメージが単純にマイナスと結びつくケースもあります。たとえば、黒い色合いは欧米や日本でも「死」「不幸」を連想させることが多く、それが花言葉に反映された結果、“怖い”意味を帯びた花が存在するのです。
こうした“怖い花言葉”は人々の記憶に残りやすく、ひとたび定着すると、プレゼントで贈りづらい花のイメージが付与されてしまうこともあります。中には、実際に地域的な迷信やジンクスとして語り継がれ、「○○の花を病室に持っていくと縁起が悪い」というような言い伝えに発展することもあるほどです。


3. 代表的な怖い花言葉とその由来

3-1. 彼岸花(マンジュシャゲ)

  • 花言葉:情熱、再会、あの世での再会、悲しき思い出 など
  • 背景・由来
    彼岸花は真っ赤な色合いと、細長く独特な形状が特徴です。日本では秋の彼岸の時期に咲くため、死者の世界を連想させることが多く、お墓の周辺でよく見かける花でもあります。「死人花」「幽霊花」といった不吉な別名で呼ばれることもあり、そのため「再会」という言葉にもどこか悲壮感が漂います。また、彼岸花にまつわる伝承や毒性も相まって、“怖い花”というイメージが強く根付いているのです。

3-2. クロユリ

  • 花言葉:恋、呪い、復讐心 など
  • 背景・由来
    ユリの一種ですが、黒紫やダークカラーの花弁を持つクロユリは、希少性もあって古くから神秘的な存在とされてきました。アイヌ民族の間では「クロユリを贈られたら愛が実る」というロマンチックな伝承もある一方で、西洋的な観点からは黒い花が「死」「呪い」と結びつきやすく、独特の不気味さから“怖い花”として扱われることもあります。現代の花言葉辞典を見ても、ポジティブな意味とネガティブな意味が混在しており、そのギャップがクロユリの魅力でもあり、恐ろしさでもあるといえるでしょう。

3-3. シクラメン

  • 花言葉:内気、はにかみ、嫉妬 など
  • 背景・由来
    シクラメンは冬場によく出回る鉢花で、華やかなピンクや赤の花を咲かせます。ところが、一部の国や地域の言い伝えでは、シクラメンを贈ると「悪いことが起こる」という迷信があるといわれています。英名である“Cyclamen”が“cycle(循環)”を連想させ、「ものごとの終わり」が繰り返されるという意味にとられる場合もあるようです。特に日本では“シクラメン=死暗面”といった語呂合わせから、不吉さを感じる人もいるとされています。

3-4. 黒バラ

  • 花言葉:憎しみ、死、絶望 など
  • 背景・由来
    バラは王道のプレゼント用の花ですが、真っ黒に近いバラ(実際には深紅や黒紫)は非常に希少で、高貴さやミステリアスな魅力を放ちます。その一方で、西洋文化では「黒は葬送の色」ということで、死や絶望を連想させ、“怖い花”の代表格ともいえます。黒バラというと、ゴシックファッションやホラー作品などでも象徴的に使われることがあり、マイナスイメージがつきまといやすいようです。

4. 怖い花言葉を贈るシチュエーションは?

「怖い花言葉」と一口にいっても、実際にそれを贈る場面はそう多くはないでしょう。基本的には相手にとって縁起の悪い意味とされる花は避けるのが一般的です。たとえば結婚祝いの席や、お見舞いのシーンで「死」や「別れ」を連想させるような花を渡すことはマナー違反と考えられています。
しかし、近年では「ホラー」や「ゴシック」をテーマにしたパーティーや、ハロウィンなどのイベントで、あえて“怖い花”のアレンジを楽しむケースも見受けられます。黒バラやダークカラーの花を主体にしたブーケやテーブルデコレーションは、独特の雰囲気を演出できるため、若い世代を中心に人気が高まっているようです。
また、相手との特別なストーリーやネタとして“あえて贈る”という場合もあります。たとえば、意外性を狙って冗談交じりにクロユリをプレゼントし、その花言葉を説明して笑いを誘う、というようなシチュエーションもあるかもしれません。ただし、贈る相手との関係性をしっかり考慮しないと、冗談が通じず不快な思いをさせるリスクも高いので注意が必要です。


5. 怖い花言葉をめぐる注意点

  1. 贈る相手や場面を選ぶ
    縁起の悪いとされる花は、基本的には慶事やお見舞いなどでは避けたほうが無難です。相手の宗教的・文化的背景などにも配慮しましょう。
  2. 花言葉の認知度を確認する
    花言葉は地域や時代によって大きく変化します。プレゼントの際には、こちらが思う以上に相手が「その花の怖い花言葉」を知っている可能性もあります。特にブラックカラーの花は要注意です。
  3. 日本特有の迷信にも気を配る
    「椿は落ち方が縁起悪い」「菊は仏花のイメージが強い」など、日本ならではのイメージがあります。怖い花言葉として扱われやすい花には、こうしたローカルな迷信も絡んでくることがあるため、プレゼント前には少し調べてみると安心です。
  4. ポジティブな意味が混在しているかも?
    たとえばクロユリは「愛情を告白する花」としての良い意味も存在します。花言葉は複数の解釈がある場合が多いので、相手にしっかり説明できるようであれば、一概に避ける必要はないかもしれません。

6. まとめ

花の美しさとは裏腹に、死や不吉さといったダークな面を感じさせる言い伝えや花言葉が数多く存在するのはとても興味深いことです。そうした“怖い花言葉”を知ることで、花の歴史や文化、社会的な背景が持つ奥深さを垣間見ることができます。
もちろん、プレゼントとして花を贈る際に、あえて“怖い花言葉”をもつ花を選ぶことは通常は好まれないかもしれません。特に祝い事やデリケートなシーンでは、慎重な配慮が求められます。しかし、ハロウィンやゴシック調の演出を楽しみたいときや、ユーモアや意外性を狙ったサプライズならば、“怖い花言葉”が逆に印象的な思い出を作ってくれる可能性もあるでしょう。
花言葉はもともと曖昧な部分も多く、一つの花に複数の意味があるのが当たり前です。ポジティブな側面も、ネガティブな側面も、どちらも含めて花の“語り”を楽しむ姿勢が大切なのかもしれません。ぜひ次回、花を選ぶときには、こうした怖い花言葉にも目を向けてみてください。思いがけないエピソードや物語に出会えるかもしれません。

タイトルとURLをコピーしました